アドテクに傾倒する、米大手パブリッシャーAOL。広告売上の80%をプログラマティックに

「ハフィントンポスト」「テッククランチ」など、多数の有力メディアを保有するパブリッシャーAOLは、プログラマティック広告にリソースを集中させている。

月間ユーザー3億6000万人を抱える、巨大メディアグループAOL。この動きは、2015年6月に同社を買収した、米大手モバイルキャリアのベライゾンとシナジーをともにする戦略の表れといえる。はたして、これを機にパブリッシャーがアドテクノロジーを管理するロールモデルになるのだろうか。

マイクロソフトともプログラマティック広告で協業

同6月AOLは、マイクロソフトからディスプレイ、モバイル、動画広告の販売を委託された。マイクロソフトが運営するmsnとXbox、スカイプにおける広告が対象だ。委託対象はグローバル市場の上位9位、アメリカ、英国、カナダ、ブラジル、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、日本まで広がる。AOLサイト内でマイクロソフトの検索エンジン「Bing」を採用する際に、合わせて合意していたという。

AOLグローバル・メディア・セールス部長のジム・ノートン氏は2015年8月、マイクロソフト広告営業部員約1200人を雇い入れる姿勢を示し、営業部員たちの大半はこれを受け入れたという。この1200人に対してAOLは、自社が運営するアドテクノロジーの仕組みを入念に叩き込むことになる。最も重要な部分は、AOLが注力するプログラマティック広告だ。

ノートン氏によれば、AOLとマイクロソフトが抱える広告枠を、プログラマティック広告やネイティブアドの形で売れるようにするという。顧客の業種に合わせて、営業部員を個別に最適化する。マイクロソフトはプログラマティック広告について有用な知識を持っていないからだ。新人営業部員の教育には、業界概論からAOLのプラットフォームに関する講義までを網羅するビデオ教育プログラム「ラーンコア」が用いられる。

「AOLの広告売上の80%が、何らかの形でプログラマティック広告になるだろう」と、ノートン氏は予測。AOLを買収したベライゾンの第2四半期決算によれば、プログラマティック広告の売上は前年比で80%増(第2四半期)、グローバルの広告事業の45%を占めるという。

さらに拡大するAOLのプログラマティック広告戦略

ライバルの「BuzzFeed」「Vox Media」は記事広告型ネイティブアドに傾いたが、AOLはプログラマティック広告へ怒涛の投資を進めている。2015年4月には、プログラマティック広告「ONE by AOL」の提供を開始。同年6月のベライゾンによる買収後、同年8月には2億3800万ドル(約287億円)でモバイル広告とモバイルアプリを手がけるミレニアル・メディアを買収した。

AOLのリリースによると、ミレニアル・メディアが保有する6万5000本のアプリへ繋がるネットワークを利用して、SSP(サプライ・サイド・プラットフォーム)を提供することで、AOLの広告プラットフォーム「One by AOL」は10億人のアクティブユーザーを手に入れることになる。日本、シンガポール、英国、フランス、ドイツの重要国際市場で、モバイルにおける地位向上を狙うという。

流行する動画広告でも拡大を図る。同年7月、自社動画プラットフォーム「AOL On」 では、スキップ可能な動画広告の配信を全世界で開始。AOLフォーマットの動画は「ハフィントンポスト」「テッククランチ」など、多数のオーディエンスを抱えるサイトに掲載されるため効果が期待できると、同社は訴えている。

(吉田拓史)
Images provided by AOL

<参考文献・サイト>
Verizon Q2
AOL『AOL TO DEEPEN ITS PROGRAMMATIC LEADERSHIP WITH AGREEMENT TO ACQUIRE MILLENNIAL MEDIA』
AOL『AOL AND MICROSOFT EXPAND GLOBAL ENTERPRISE-LEVEL PARTNERSHIP』
AOL『AOL CONTINUES COMMITMENT TO PREMIUM AD SOLUTIONS WITH VIDEO』
DIGIDAY『AOL plans to train more than 600 Microsoft salespeople on programmatic』
DIGIDAY『AOL embraces the skippable video ad』