Amazonがニューヨーク・タイムズに「決闘」を挑んだ場所:Twitterの進化系「Medium」がアツい!

「ニューヨーク・タイムズ」が職場環境を批判する報道をしたことに対し、Amazonが反論の場に選んだのは、ブログプラットフォームの「Medium(ミディアム)」だった。この一件は「『Medium』のプラットフォームとしての勝利」であり、機能を削ぎ落としたシンプルなブログが、Twitterに代わる「決闘」の場になる前兆かもしれない。

Amazonは2カ月前に掲載された「ニューヨーク・タイムズ」の記事に、まだ神経を尖らせている。同紙はAmazon元従業員らのインタビューをもとに、同社の職場を「精神を破壊する環境」と書いた。それに対し、Amazonは2015年10月19日、突如として反論の記事を「Medium」に掲載した。

「Medium」はTwitterの共同創業者、エヴァン・ウィリアムズ氏が2012年に開始したWebサービス。カスタマイズ機能が削ぎ落とされた代わりに、見た目が洗練され読みやすく、記事の作成も簡単なところが特徴だ。140字にとらわれないTwitterの進化版と呼ぶ者もいる。米国では比較的リテラシーの高い層が利用し、議論が繰り広げられる場になっており、日本における「はてなブログ」のような存在だ。

元ホワイトハウス高官が「Medium」で反論

記事のタイトルは「『ニューヨーク・タイムズ』が教えてくれないこと」。2011〜2014年にオバマ大統領のホワイトハウス報道部長を務め、現在はAmazonのスポークスマンを担当するジェイ・カーニー氏が執筆している。内容は「『ニューヨーク・タイムズ』は不機嫌な記者が執筆した事実誤認の記事を掲載した」と、舌鋒鋭い。

「我々が知っていることは、もし記者たちが事実を確認したならば、記事は今回のようにセンセーショナルにはならず、よりバランスが取れ、正直、よりつまらない記事になっていた」と、カーニー氏は述べた。「紙面の1面を飾ることもなかっただろうが、事実には近づいていたはずだ」。

カーニー氏は、「Amazonの社員は日頃からデスクで泣いている」と発言した元Amazon従業員のボー・オルソン氏は、信頼に値しないと主張する。オルソン氏が取引先から金銭を詐取したことを理由に解雇されたため、オルソン氏の主張を正当な意見として取り扱うべきではないとした。

「重大なニュースであったとしても、ジャーナリスティックな基準から重要な情報源をめぐって、偏りを取り除く努力をすべきだ」と、カーニー氏はニューヨーク・タイムズに対し反論。「記事を書くのに6カ月もかかったのならば、ジャーナリズムの基準は絶対に適用されるべきだ」。

「ワンパターン」と編集局長も「Medium」で反論

「ニューヨーク・タイムズ」の編集局長、ディーン・バケット氏は紙面の柱としてこの問題を取り扱ってきた。また「できる限りAmazonの記事を取り扱う」ことも目指しており、その日の午後に「Medium」で反論を投稿した。

バケット氏は数百人に対してインタビューをしたことを反復し「(Amazonの反論は)よくあるパターン」と話した。カーニー氏のあてこすりにはメリットがないと発言したのだ。

記事のポイントは、現在もしくは過去にAmazonの従業員として働いた24人以上の発言のうち、4人の発言に信用性がないと主張したことである。提供された情報の多くは元職員が我々に話した内容と食い違いがないにも関わらず、あなたはこの元職員らが説明したことは記録されていないと主張するばかりである。もちろん、職場で起きる会話や職員同士の関わり合いの多くは記録に残さないものではあるが。

このやり取りが「Medium」に投稿され、ブログプラットフォームの頂点が誰かはっきりした。

アレックス・ウェプリン(新興政治メディア「ポリティコ」ディピュティメディアエディター)@alexweprin
今日の一番の勝者である「Medium.com」におめでとうを言いたい。

アマンダ・コルミエール(ニューヨーカー誌シニアWebマネージャー)@amadalcormier
編集されたくないが、「プラットフォーム」という高級な価値がほしい人々や機関にとって、「Medium」はハブになっている。

マイク・イサーク(ニューヨーク・タイムズ記者)@MikeIsaac
今、「Medium」は人生で一番最高の日を送っている。

フォール・ゴード(プロダクトデザイナー)@ftrain
Amazonと「ニューヨーク・タイムズ」。2つの巨大組織が自信満々に「Medium」で戦うのを見るのは面白い。

日本でもTwitterで著名人から一般人まで「決闘」を繰り広げることがよくあり、Twitterまとめサイト「Togetter」にまとめられていたりする。しかも「Medium」に類するサービスは、ちらほら存在しており、いつの日かパラダイムシフトが起きるかもしれない。

Jordan Valinsky(原文 / 訳:小嶋太一郎)
photo by Thinkstock / Getty Images