Amazonビデオダイレクト、動画事業者の確かな収入源に

半年前にセルフサービス方式の動画配信プログラム「ビデオダイレクト(Video Direct)」をローンチしたAmazonは、パブリッシャーや独立系映画制作者に等しく売上をもたらすプラットフォームとしての存在感を強めている。

このプログラムは、さまざまなパブリッシャーがAmazonの「プライムビデオ(Prime Video)」エコシステムに加わるのを支援するもの。ビデオダイレクトを介してコンテンツを配信する際、パブリッシャーには複数の選択肢が用意されている。

まず、プライムの会員制ストリーミングサービスで公開されている多数の映画やテレビ番組と並ぶ形で、コンテンツを提供できる。既存のサブスクリプション制ストリーミングチャンネルを追加サービスとして販売も可能だ。また、個々のタイトルを購入またはレンタルの対象にもできる。あるいは、コンテンツに広告を付けて無料公開することも可能だ。

需要と供給の摩擦を解消

パブリッシャーによる選択はひとつに制限されているわけではない。だが、Amazonでビデオダイレクトを率いるエリック・オーム氏によると、プライムビデオでのコンテンツ配信がもっとも人気があるという。プライムビデオは、数千本の映画とテレビ番組を提供し、数千万人の会員を抱える。

「一流サービスでコンテンツを公開するとき、複雑な要素と障害が多いため、摩擦が起こりやすい」とオーム氏は語る。「しかし、我々はそうした問題を解決している」。

パブリッシャーは、ビデオダイレクトのプログラムに参加したあとも、コンテンツの配信方法に対するコントロールを保持する。当然ながら、各オプションには最初からレベニューモデルを用意。たとえば、プライムビデオにコンテンツをアップロードしたパブリッシャーは、米国でのストリーム1時間につき15セント、国外でのストリーム1時間につき6セントを得る。

プライムビデオ関連の売上だけではない。Amazonは、「ビデオダイレクトスターズ(Video Direct Stars)」プログラムを介して100万ドル(約1億円)の月間ボーナスも用意している。このボーナスは毎月、ビデオダイレクトの月間上位100タイトルのコンテンツ所有者に分け与えられる(ビデオダイレクトを介したほかのマネタイズとしては、無料公開するコンテンツの広告売上利益の55%や、販売およびレンタル売上利益の約50%などもある)。

恩恵に預かる媒体社たち

ビデオダイレクトは、ただちに大金を生むわけではないが、提携パブリッシャーに売上をもたらしはじめた。たとえば、教育サイトのハウスタッフワークス(HowStuffWorks)は、プログラムの開始以来、プライムビデオに500本以上の動画をアップロード。

ビデオダイレクトからの売上は、ときどきYouTubeに匹敵すると、ハウスタッフワークスの最高コンテンツ責任者(CCO)を務めるジェイソン・ホック氏は語る。なお、同社はYouTubeで9つのチャンネルを運営し、200万人近い登録者を抱えている。

同様に、ヤング・タークス・ネットワーク(The Young Turks Network)のビデオダイレクトに関連した売上は、少ないながらも毎月成長していると、同社COOのスティーブン・オウ氏は語る(両社は、ビデオダイレクトスターズのプログラムからもボーナスを得ている)。

独立系映画制作者でさえも

過去に有料モデルを試したことがなかったハウスタッフワークスにとって、これはまったく新しい収入源だ。同社は来年からAmazonプライムで配信できる複数の長編番組を制作中であり、その取引規模はさらに拡大するだろう。Amazonにそのようにするよう奨励されたと、ホック氏は明かす。

「コンテンツの配信方法は未定。我々の判断次第で、レンタル、広告付き、あるいは視聴時間に基づいて支払いを受けるプライムになるかもしれない」と、ホック氏は語る。「柔軟に選択できて、同時に売上が伴うというのは、実に素晴らしい」。

Amazonにとって、ビデオダイレクトは動画エコシステム全体のための事業だ。たとえば、独立系映画制作者もビデオダイレクトのプログラムを介した成功を手にしつつある。

Amazonは一例として、90年代のカルト的名作『処刑人(原題:The Boondock Saints)』が1カ月間に50万時間以上ストリーム再生されたことを挙げた。別の独立系プロジェクト、たとえばデイニシュカ・エスターハージー監督の『ブラック・フィールド(原題:Black Field)』なども、2009年の映画祭でプレミア上映されたのち米国では劇場公開されなかったが、今年10月に視聴回数が特に多い作品であった。

累計視聴時間は数十億分

Amazonによると、パブリッシャーがビデオダイレクトのセルフサービスを介して配信するコンテンツに対し、同社のユーザー全体が視聴した累計時間は数十億分に達するという。

「我々のカスタマーは多種多様なコンテンツを求めている」と、オーム氏は語る。「もし我々が、特定のカテゴリーや特定のコンテンツプロバイダーだけに注力するなら、取りこぼすものは多いだろう」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)