Amazon Echo Show、大手媒体社を惹きつける新デバイス:なにがそんなに魅力的なのか?

2017年5月上旬に発表されたばかりのAmazon Echo Show(エコーショー)は、230ドル(約2万6000円)のオーディオ/ビデオ端末で、しばらくはニッチな商品のままだろう。だが、デジタルの大手パブリッシャーらは、すでにその小さなスクリーンの前に群がっている。CNN、CNBC、ブルームバーグ(Bloomberg)、スクリップス(Scripps)やタイム社(Time Inc.)など、こぞって動画中心のスキルを発表した。

Amazon Echo Dot(エコードット)やGoogle Home(ホーム)などの、音声アシスタント端末は、当初の予測を大きく上まわるスピードで浸透しているが、Echo Showが成功するための道のりは険しい。BIインテリジェンス(Business Insider Intelligence)の調査・予測によると、アメリカ国内において1年で900万台が売れる見込るだが、同じ調査で、回答者の72%が「おそらく買うことはないだろう」または「この端末の良さが全く分からない」と答えていることがわかった。

だが、動画がプラットフォームに縛られることなく、幅広く普及することを何年も前から予測してきたパブリッシャーにとって、これは不安材料にはなっていない。むしろ、以前から行ってきた投資を活かすため、こうしたプラットフォームへいち早く乗り込みマネタイズしようとしている。

この発売されて間もない製品に対して、パブリッシャーがエネルギーとリソースを費やそうとしている理由を見てみよう。

先行投資

プラットフォームが成熟するまでは一歩引いて静観するタイプの企業がある一方で、パブリッシャーの多くは、すばやく行動することを重視している。「こうしたプラットフォームでは、先にスタートダッシュを切って優位に立つために投資する」と、ブルームバーグメディア(Bloomberg Media)国際デジタル部門のトップ、M. スコット・ヘイブンズ氏は語る。「人々が(こうした端末を)導入・設置しようとしているときに、そこにあなたが存在しなければ、多くの場合、二度目のチャンスはない」。

「音声にフォーカスしたAmazonのEcho端末でスキルを構築した最初のパブリッシャーのひとつであるブルームバーグは、予測を超える人数のユーザー基盤を作り上げた」と、ヘイブンズ氏は語ったが、その具体的な数字については公表しなかった。

ブルームバーグのスキルによって、ユーザーは市場をチェックしたり、ライナープログラミング(線形計画法)のライブを見る機会が増え、Echo Showは同社のストリーミングを視聴できる4つ目のデジタルプラットフォームとして成長する。それらのプラットフォームを合わせると、1日に100万人以上もの視聴者を獲得することになるという。

ヘイブンズ氏によると、ブルームバーグはこうしたプラットフォームの垣根を超えて活動の場を広げることに注力している。だが、従来のテレビの膨大な数の視聴者の「共食い」に対しては、そこまで大きな心配をしていない。

導入が簡単

デジタルの世界で「どこにでもいる存在」であることに力を入れているCNNは、デジタルプラットフォームの種類に関係なく、動画コンテンツを導入できるシステムをすでに構築している。「新しいプラットフォームが増えてきているが、これまでに行ってきた投資のおかげで、我々がそこに(コンテンツを)届けることは非常に簡単になっている」と、CNNのデジタル製品担当バイスプレジデント、ロウヒット・アグラワル氏は語る。

アグラワル氏は、ニュースのヘッドラインを届けるだけでなく、音声だけのエコー端末では不可能な、特定のトピックに関する動画を同時に提供できるEcho Showの有益性を確かなものにするために尽力した、と強調する。ここに注力した理由は音声スキルにより獲得した早期の運用益に基づいており、ユーザーは単なる一般的なヘッドラインの寄せ集めよりも、ある話題を掘り下げた記事を読む、という使い道を早くも見出しているためだ。「導入には予想の倍の時間が必要だが、倍のスピードで勢いを増している」と、アグラワル氏は語る。

マネタイズが簡単

サードパーティはプラットフォームでマネタイズするための手法を、それぞれの自己責任のもとで開発している。ボイスラボ(VoiceLabs)は、人口知能のAlexa(アレクサ)のアナリティクスサービスがはじまってからわずか6週間で、Alexaのプラットフォーム上にアドネットワークを立ち上げ、ESPNなどのパブリッシャーが登録した。しかし、Amazonは開発者向けの利用規約を更新し、閉鎖を余儀なくされてしまった。

だが、Amazonは少なくともこれまでは、個々のパブリッシャーのこうした取り組みに対して寛容な姿勢を見せていた。たとえばブルームバーグやワシントン・ポストはどちらも、立ち上げから数カ月以内には、ホストリード型の広告とともにフラッシュブリーフィング(Flash Briefings:ニュースの配信用のスキル)でマネタイズできる環境を整えていた。また、CNNも、Echo Showが十分流通した際には、即座に利用者からマネタイズできるような社内技術の準備が整っていると語る。

「我々は(動画)ストリームのなかに、マネタイズできる要素を盛り込める仕組みを持っている」と、アグラワル氏は語る。「Amazonがそれに対して禁止措置を取る様子も、いまのところない。(このマネタイズ能力は)なかなか素晴らしいものだと感じている」。

見て、学ぶ

動画のストリーミングが蔓延しているにも関わらず、誰もがまだ時代に取り残されている。CNBCで製品技術部のシニアバイスプレジデントを務めるディープ・バグチー氏はこう語る。「問題はスケールではなく、学習することだ」。

バグチー氏は、Echoの採用はCNBCにとって嬉しい誤算だったという一方で、動画が果たして本当にうまくいくかどうかについてはまだ疑問が残っていると語る。CNBCがEcho Showのスキルに提供しているコンテンツのほとんどは、Echo Showのためにカスタマイズされている。ただ、YoutTubeや、YouTubeが管理・運営するサイトなどのプラットフォームで公開された短編動画「クレイマー・リミックス(Cramer Remix)」のように、すでに既存のプラットフォーム上にありながら、(Echo Showでも)すでに公開準備ができているものもある。

バグチー氏は画面のサイズについて、7インチという小さな画面は、寝室のベットサイドテーブルやコーヒーテーブルよりも、キッチンカウンターのほうがマッチすると述べている。これは、Echo Show向けの動画は短いほうが良いということを意味しているのかもしれない。「これが、ゆったりとくつろいで見るような長編動画のプラットフォームとなるかどうかは、まだ分からない」と、バグチー氏は語る。

Max Willens(原文 / 訳:Conyac