アルジャジーラが試みるテレビとFB「ライブ動画」の融合:ライブ配信のあるべき姿とは?

無秩序に広がったFacebookのライブ動画に対する、従来の考え方とは(新しいものに対して「従来の考え方」というものがすでにあればの話だが)、これまでテレビで放映されていたライブ番組とは異なるべきだというものだ。

だが、アルジャジーラ・イングリッシュ(Al Jazeera English)はシンプルなやり方に賭けている。同社は2016年6月中旬、テレビで24時間放映しているライブ番組を、Facebookの新しいAPI「Continuous Live Video」のフィードでストリーミング配信をはじめた。また、いくつかの90分番組も同様に配信し、どの程度うまくいくのかをテストしている。このフィードは保存や再視聴が不可能で、ライブ放送であることはユーザーに通知されることはない。

また、アルジャジーラは、YouTubeでも同様のアプローチを行っている。

数字に表れるメディアの信頼度

デジタルエディターのヤシール・カーン氏は米DIGIDAYに対して、「ユーザーは、訪れたことのない場所に連れて行ってくれるような番組を視聴し、通常では見られない情報に接触する。このことはFacebookのライブ動画についても当てはまるだろう。我々は、状況についてのストーリーより、人々についてのストーリーを伝えている。我々がレポートしているのはウガンダの選挙やフィリピンの政治だ。独占的にそのような環境にいる人々のストーリーを報じているため、我々は信頼を得ている」。

アルジャジーラが2016年6月18日に配信した10分間のライブ番組は、オリンピックの開催によって財政危機に陥ったリオの話などを報じたものだったが、リアルタイムで3万ビューを獲得。その後、ビューは倍増して6万近くになり、同時視聴者数は最高で2000人に達した。これに対し、スカイニュース(Sky News)のライブ動画のビューはおよそ3万5000、ロイター(Reuters)のビューは平均で1万から3万だ。

「さらに意味のある取り組みといえるのは、いまも高い関心を集めるテレビのニュース速報だろう。たとえば、エジプト航空のハイジャック事件などだ」と、ソーシャルメディアおよびプラットフォーム担当リードプロデューサーのジアド・ラムレイ氏は語る。

ならではの双方向性も重視

ただし、非常に重要なことだが、テレビ番組のライブ配信だと、オーディエンスとのインタラクティブな関わりが失われる。しかしカーン氏は、オーディエンスのコメントを掲載することで、ロイヤリティを高め、自分もその番組に関わっていることを視聴者に体験してもらえると考えている。

そのため、アルジャジーラは解説員とやり取りできる番組のライブ動画も配信している。たとえば、亡命中のチベットの首相ロブサン・センゲ氏や、東アフリカの民主化の現状について取り上げた番組だ。

このような動画の人気は長続きするが、ゆくゆくはスタジオで収録されたライブ動画でなく、世界のあちこちに散らばっている50人の特派員が、それぞれの現場からもっと多くのライブ動画を製作できるようにしたいとアルジャジーラは語る。そのために同社は予行演習を行っている最中だ。

現場からのライブはテスト中

具体的には、特派員が映像を撮影しているのだが、どのような機材や設備が必要になるのかをすべて把握してから、新しいワークフローを特派員に伝えるため、そのような映像はFacebookのライブ動画ではまだ公開されていない。ユーザーの目に公開されないところで問題を洗い出しておきたいと同社は考えている。

「いまは学習の段階だ。試験段階を終えてうまくできるようになるまで、公開する考えはない」とカーン氏は述べる。視聴者のコメントをリアルタイムでどのようにリポーターに伝えるかなど、運用上の問題がまだ解決していないのだ。

このような状況だが、ライブ放送には信ぴょう性と刺激的な要素も必要になる。これに対してラムレイ氏は次のように述べている。

「1日に膨大な数のライブ動画を配信しているメディアもあるが、ライブにする編集上の理由がないように思えた。ニュース速報は、ライブ配信を行うかどうかの大きな決定要因となるだろう。これこそ、我々のリーチとポジションが強味となる分野なのだ。それほどリアルなやり取りができることはめったにないが、我々は視聴者に本当の意味でそのストーリーに関わってもらっている」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)