アルジャジーラに学ぶ、Snapchat「ストーリー」運用術:6カ月におよぶ全力投球の末に

アルジャジーラ・イングリッシュ(Al Jazeera English)はこの6カ月間、Snapchat(スナップチャット)を30カ国から投稿し、そのオーディンス拡大に全力を尽くしている。

同社は、80におよぶグローバル支局のネットワークを使って、同社TVチームに属する数十名の特派員がSnapchat向けにコンテンツを作成。アルジャジーラ・イングリッシュのアカウント、AJEニュース(AJENews)は、ホッキョクグマの追跡から、ローマ教皇のナイロビへの訪問、およびシリア最前線からのレポートに至るまで、週に3〜4本の動画を投稿している。アルジャジーラのアカウントは通常アカウントで、パブリッシャーなら誰もが望む「ディスカバー」チャンネルはまだ確保していない。

「Snapchatにおける我々のひとつの目標は、閲覧者が普段目にすることのないニュース記事へと誘うことだ」と、ソーシャルメディアおよびプラットフォームのリードプロデューサーのジアド・ラムレイ氏はいう。「英米では、すばらしいコンテンツを扱う報道機関がたくさんある。だが、我々はメディアでは報道されているかもしれないが過小評価されているストーリーを、Snapchatで掲載したかったのだ」。この6カ月の活動において、アルジャジーラが何を学んだのかを紹介する。

多くの数字は与えられない

アルジャジーラのSnapchat動画は、それぞれおおよそ3000回ほど閲覧されている。初期のころは、わずか数百回だった。Snapchatがライブストーリーとしてアルジャジーラのコンテンツを取り上げたときは、何百万回もの再生数を獲得したが、これらの視聴者がどこからきているのか、明らかではない。

「これは我々のアカウントの成長とイコールにはならない」と、同チャンネルのフォロワー数をおおよそ6000人と見積もるラムレイ氏は述べる。「この問題に私は関心を持っている。というのも、その再生回数が一時的なものである場合、再生回数が一体どういう意味をもつのかと考えざるをえないからだ」。

オーディエンス保持がラムレイ氏の最重要測定基準であり、通常1分半から2分半のあいだの動画に対して、70%のビュースルーレートを達成している。なお、フォロワー数や動画視聴のインテント、再生時におけるサウンドの有無(広告動画の3分の2は音声つきで再生されているとSnapchatは主張している)など、明確な数字をいまのところSnapchatは提供してくれない。

投稿は奇抜でなくてもいい

「我々の見解では、人々が何か奇抜なことを望んでいるのであれば、ほかの場所でそうしたものを手に入れるためのオプションがたくさんあると。我々はあえてそうしないのだ」と、彼はいう。「Snapchatでわざわざ自分たちのオーディエンスに迎合して語りかける必要はない。我々は彼らに何か新しいことを伝えたいのであり、視聴者からもらった数十のコメントからも、この種のコンテンツに対する非常に大きな需要があることがわかっている」。

たいていは、スナップの最後で視聴者にフィードバックを求めている。1週間以上かけて4大陸から動画を投稿したときは、視聴者にお気に入りの動画と、次はどこの動画を観たいかを尋ねた。「それは、我々がプロダクトを定義するのに役に立つ」。

おそらく想像どおり、Snapchatにおけるアルジャジーラのオーディエンスは、オンラインやTVオーディエンスよりも若年層に偏っている。しかし、彼らはたまたまSnapchatを使っているアルジャジーラファンなのだと、ラムレイ氏は話す。これまで同チャンネルは、散発的なツイートを通じてリーチを獲得していたが、これから開始する大きなマーケティング活動で、ニュースが好きなSnapchatユーザーへもそのオーディエンスを拡大したいと考えている。

より速報的になっても構わない

スバルバールでのホッキョクグマ追跡

スバルバールでのホッキョクグマ追跡

アルジャジーラは特派員向けにSnapchatスタイルガイドを用意しており、クリエーションを一手に集中させることを控えている。たとえば、テキスト(左揃えで白字)はスナップの半分以上に使用される。Snapchatは、これにより閲覧者保持数が増加するとラムレイ氏に伝えており、それは真実であることが判明している。テキストのない投稿は45%の閲覧者保持率であったのに対し、テキストが散りばめられた投稿は、90%にまで保持率が上がっている。

「我々は、特派員がスナップに登場しすぎないようにとも伝えてある。素晴らしい場所のなか、セルフィー(自撮り写真)を次々に見たいと、皆思わないからだ」。

最初の5枚のスナップはいつも、記事の概要を説明するストーリーボードとしている。アルジャジーラは、これが高い保持力につながることを発見した。その枚数以上になると、より即興的になる。通常、多くても10スナップくらいまでだが、それ以上の枚数にしてもいい。そして、ニュース速報のように、事前に計画することができない出来事もたくさんある。ウガンダの選挙期間中、アルジャジーラのSnapchat記事が野党リーダー逮捕について、一番最初に報道をした。

ディスカバーでなくてもいい

スリリスト(Thrillist)」や「ポップシュガー(PopSugar)」といった、より多くのパブリッシャーが、多くの閲覧数を獲得できる「ディスカバー」外に設けた独自アカウントに対して、相当数のオーディエンスを獲得している。「ディスカバー」で活躍するパブリッシャーには、簡単に見つけてもらえる点や自分たちのコンテンツに対して、より多くの分析と高い製品価値を得られるメリットがある。しかし、利用料金も高く、通常は最大12人の専属チームによって、日々コンテンツを更新することが求められるのだ。

ラムレイ氏は「ディスカバー」には欠点があると語る。それは「資源集約型であり、長期的なコミットメント」であるという。現在、コンテンツ制作の費用は、特派員がTV制作に並行して作業を行っているので安く抑えられている。今後、アルジャジーラには、Snapchatで収益化する計画はない。非営利組織のため、財務的なプレッシャーが少なくて済むからだ。

全体として、Snapchatは同組織内、およびその閲覧者とのコミュニケーションの効率化を図ることで、非常に大きな影響を生み出したとラムレイ氏はいう。「単に閲覧者に対して『これがあなたの観たいもので、それをどうやって観るべきか』を強要する代わりに、Snapchatは耳を傾け、必要であれば変更するという重要な教訓になっている。それはダイナミックなプロダクトだ」。

Lucinda Southern (原文 / 訳:Conyac)
Images: courtesy of Al Jazeera English via Facebook and Snapchat.