アドブロックが世界的な流行のきざし。対応を迫られるすべてのパブリッシャーたち

アドブロックが世界的な流行を見せてきた。これまでユーザーに広告を遮断されるサイトといえば、ヨーロッパ地域のビデオゲームやテクノロジー関連サイトくらいだったが、いまや世界中のパブリッシャーにとって、解決困難な問題となりつつある。

アドブロックに関する調査を実施しているページフェア(PageFair)社とアドビ(Adobe)社の発表によると、アドブロックユーザーの総数は2013年と比較して、2015年には2倍以上増加。その数は、1億4400万人にまで膨れ上がっているという。もはや世界規模となりつつあるこの問題は、さまざまなサイトでマネタイズに深刻な影響を及ぼしている。

いまやジャンルを問わないアドブロック対象

特に影響を受けているのがビデオゲーム系サイトで30〜50%、続いてテクノロジー系サイトが25%とあり、ビジネス・ニュース系は15〜20%となる。また、エンターテインメント系は15%で、スポーツ・ニュース系は10〜15%と、その被害はいまやジャンルを問わない。

米大手放送局CBSインタラクティブが運用する各Webサイトは、業界が直面している試練の象徴といえる。同社はテクノロジーやスポーツ、一般ニュースなど、各ジャンルのサイトで、この問題に直面しているのだ。

CBSスポーツにおいてアドブロック率は約5%にとどまっているものの、ゲームサイトでは実に30%にまでなっていると、CBSインタラクティブの最高売上責任者であるデビッド・モリス氏は語った。同氏はこれについて厳しい見解を示しており、「5%だろうが30%だろうが、インプレッション数が落ち続けていることに変わりはない。小さなものが積もっていくからだ」と述べている。

これに追い打ちをかけるのが、ミレニアル世代のアドブロックユーザーたちだ。デジタルに詳しい彼らが台風の目となっている。特に若い男性をターゲットにしているパブリッシャーにとって、アドブロックの被害は甚大だ。

「この世代にこそ、我々の未来がかかっているというのに、ブロッカーになってしまうのは大きな問題だ。もちろん、小さな問題なんかでは済まない」と、モリス氏の懸念は収まらない。

不況でマネタイズを重視した落とし穴

さらに不安を煽るのは経済不況だ。パブリッシャーにとって不況は、コンテンツの見せ方に多大な影響を与える。多くのパブリッシャーが短期的なマネタイズのためにユーザー・エクスペリエンス(UX)をないがしろにするからである。ソーシャルメディアのクリックからやって来たビジターに立ちはだかる、ページ全体を覆ってしまうインタースティシャル広告や、コンテンツ内に現れる自動再生動画広告で「広告優先」方針を打ち出すサイトが氾濫するからだ。

ページフェア社のCEOシャーン・ブランチフィールド氏は「15歳から25歳までの年齢層を調べてみれば、どれほどアドブロックが認知されているかすぐに分かる」と話す。仲間内での評判や、クローム(Chrome)やファイアフォックス(Firefox)などのブラウザへ簡単にインストール出来ることも、火に油を注いでいる。

アドブロッキングがもっとも深刻な問題となっているのは、ビデオゲーム系のパブリッシャーだ。この分野のユーザーはテクノロジーに詳しく、広告に対して不快に思うユーザーだからである。その一例がビデオゲーム情報サイト「デストラクトイド(Destructoid)」だろう。このサイトのビジターの半数がアドブロックを使っていると、2013年に発表していたからだ。

この問題はヨーロッパでも際立つ。ドイツやオーストリアでは、アドブロックの利用率が20%にもなっているのだ。英国の放送局ITVやチャンネル4は、この問題と解決するため、アドブロックユーザーが自社のコンテンツを視聴しようとするのをブロックするという形で対策に躍起となっている

唯一残されたアドブロック対応策

このような、一見救いのないような問題にも解決策がないわけではない。それは、スポンサードコンテンツモデルに力を入れていくということだ。インフィード型やレコメンド型などアドサーバーから吐出されるネイティブ広告はブロックされても、直接フィードされる記事広告型はブロックされないからである。もちろんパブリッシャーは、ユーザーに読みたいと思わせるようなコンテンツ作りが求められるのは言うまでもない。

若年層向けのニュースメディア企業ミック社のCEOクリス・アルトチェック氏は「ミレニアル世代は、あからさまに出しゃばる広告を嫌がっている。だから、アドブロックは増え続けるだろう。そのために代理店と協力して、ブロックせずに見たいと思わせるだけの中身がある広告作りをしていかなければならない」と述べた。

Ricardo Bilton(原文 / 訳:南如水)
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