2015年、有名パブリッシャーによるM&Aから学ぶべき5つのこと

2015年、多くの有名パブリッシャーがM&A(合併買収)を行った。

その目的には、いくつかの傾向が見られる。媒体の規模を拡大することや、ミレニアル世代(16〜35歳の若年層)の読者を獲得すること、グローバル展開などが主な理由といえる。

以下が、2015年における有名パブリッシャーの買収から学ぶべき5つのことだ。

サイト規模はいまだ重要

広告主がプログラマティックチャンネルを通じて、大量の広告費を投じるなか、スケール(規模)はいまだ重要な本質だ。

新興経済メディア「ビジネスインサイダー(Business Insider)」を例に見てみよう。同メディアは、ビジネスを取り扱うバーティカル・ブログ(当初は「Silicon Alley Insider」と呼ばれていた)として誕生したが、広範囲の記事を取り扱うことでオーディエンスを拡大させた。2015年だけでも、50%以上読者を増やしている。

評論家たちは、「ビジネスインサイダー」のクリックを誘発するような、いわゆる「釣り見出し」をバカにしていた。しかし、2015年9月、ドイツの新聞最大手アクセル・シュプリンガーが3億4300万ドル(約410億円)という高額で同サイトを買収。最後に笑ったのは「ビジネスインサイダー」だった。

ミレニアル世代を掴め

ミレニアル世代をターゲットにしたい多くの広告主に対して、老舗メディアたちはミレニアル世代へリーチする方法がわからず苦しんでいる。「もし勝てないのであれば買収しろ」という言葉に則り、米4大テレビネットワークのひとつ、NBCユニバーサルは、Vox MediaとBuzzFeedに出資した。

また、ハースト(Hearsts)は、男性ライフスタイルのパブリッシャーであるコンプレックスメディア(Complex Media)に投資。さらにタイム社(Time Inc.)は、「ダサ可愛い」女性メディア「ヘロー・ギグルス(Hello Giggles)」を取得している。

しかし、注意は必要だ。多くのメディア企業は自らブランドを作り、成長させるよりも、すでに人気を確立したブランドを購入したがっていると、メディア専門の投資会社デシルバ・フィリップス(DeSilva + Phillips)のCEOであるリード・フィリップス氏はコメントする。

メディア企業によるブランドの買収は、多くの場合は投資であり、全面買収はあまりない。「多くのメディア企業はニューズ・コーポレーションが『マイスペース』などのメディア買収を繰り返し、失敗するのを見てきた。なので、メディアはデジタルメディア企業の買収に慎重になっている」。

質の高いブランドは健在

2015年7月、ピアソンによる日本経済新聞社への「フィナンシャルタイムズ(The Financial Times)」の売約額が13億ドル(約1560億円)に上った。ピアソンは「エコノミスト(The Economist)」の株も半数である7億3000万ドル(約880億円)も保有しており、開いた口が塞がらない。

ピアソンは新聞や雑誌の企業というよりも、テック企業のように評価されている。「フィナンシャルタイムズ」の売却額は、アメリカにおける新聞社の平均販売価格を10倍ほど上回り、2013年にAmazonのCEOであるジェフ・ベゾスが「ワシントンポスト(The Washington Post)」に支払った2億5000万ドル(約300億円)を優に超えた。しかしこの高い価格設定は、影響力の強いビジネスマンたちと作り上げてきた、力強いブランド力のおかげだ。

老舗メディア企業の多くはデジタルコンテンツを無料で提供しているが、ピアソンは印字でもデジタルでも最高額を得られる能力を持っている。

一番大事なのはアドテク

広告が自動化されたチャンネルで配信されるなか、テクノロジーはメディアの重要要素となっている。これがベライゾンにとってAOLが魅力的に見えた理由だ。

2015年、AOLは独自のプログラマティック・プラットフォームを設立し、広告代理店に勝利した。AOLの買収にあたり、ベライゾンは現在のコンテンツのパイプ役から、広告の販売やコンテンツの配信役にもなろうという野望を秘めている。

もちろん動画も重要

メディア企業であるゼニース・オプティ・メディア(ZenithOptiMedia)によると、人々が毎日オンライン動画を視聴する平均時間は、2015年に23.3%上昇し、さらに2016年には19.8%上昇するという。

広告費は次の通りだ。オンライン動画はオンライン広告のなかで、もっとも成長している分野であり、2015年までには28.9%上昇し、161億ドル(約1兆9000億円)に到達する。2016年には22.5%ほど上昇する見込みだ。

動画への欲望は、ベライゾンが動画に強いAOLを買収した理由のひとつでもある。短編動画を専門とするディトー・コンプレックス・メディア(Ditto Complex Media)も2015年、ハーストから2100万ドル(約25億円)の投資を受けている。

Lucia Moses(原文 / 訳:BIG ROMAN)