「2017年は血で血を洗う争いの年になる」:独立系パブリッシャーの告白

デジタルパブリッシャーが生き残るのは難しい。規模が大きいわけではなく、頼りになるほかの事業もないデジタルメディア専業の独立系企業なら、なおさらのことだろう。

匿名で本音を語ってもらう「告白」シリーズ、今回は、ある独立系のパブリッシャーの幹部に話を聞いた。この幹部は、広告費のほとんどがGoogleとFacebookに流れるいまの状況で、どうすればうまくやっていけるのか、不安を感じているという。

――独立系のパブリッシャーとして、いまもっとも心配していることは?

デュオポリー(GoogleとFacebookの2社による独占)がパブリッシャーを実質的に殺してしまっていることだ。我々の誰もがファウスト的契約(ゲーテの戯曲『ファウスト』では、主人公が悪魔と取引し、永遠の命を得る代わりに魂を奪われる)を結ばざるをえなくなっているが、その原因は、我々の生殺与奪権を握っているプラットフォーム(GoogleとFacebook)が、我々のコンテンツを利用して、すべてのデータとすべてのオーディエンスを所有できる独占的な立場を強化していることにある。

そこにSnapchat(スナップチャット)を加えても、5%増えるだけ。Amazonを加えても、やはり5%増えるだけだ。いまは、パイの分け前がますます小さくなるのを眺めている状況。独立系で十分な資金がないブランドや、資金が回らなくなったブランドは、つぶされてしまうことになる。

――Facebookと仕事をしていて、もっともフラストレーションを感じることは?

彼らはパブリッシャーに対し、スポンサードコンテンツの代価を支払うことを強制している。これが新たなプレッシャーになっていることは明らかだ。素晴らしいコンテンツであっても、目につく場所に掲載してもらわなければならない。FacebookはGoogleと似たような戦略を採っている。アルゴリズムに同じような調整を加え、SEM(検索エンジンマーケティング)経由で(ブランドに)トラフィックを購入させようとしているのだ。

――パブリッシャーとの取り引きについていえば、彼らプラットフォームは、自分たちの好みで取引相手を選んでいるようにも見える。

ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)に資金を提供してコンテンツを作ってもらっているFacebookであれ、「ディスカバー(Discover)」で排他的な取り組みを行っているSnapchatであれ、えこひいきのようなことが理由もなく次々と行われているのは理解できない。誰が寵愛を受けることになるのかわからないというのは、本当に厄介だ。

――ほかに心配していることは?

デジタルディスプレイ広告のコスト構造だ。エージェンシーは100%のビューアビリティ(可視性)を求めてくる。そのため、我々が10ドル(約1100円)のCPM(インプレッション単価)で販売した広告のビューアビリティが70%であった場合、これでも実現可能な最高の割合なのだが、CPMは10ドルから6ドル(約680円)に下げられる。ビューアビリティのせいで、ディスプレイ広告は全体として大きく縮小しているのだ。2017年は、独立系のパブリッシャーにとって血で血を洗う争いの年になるだろう。

――ネイティブアドはパブリッシャーの救世主となるはずだった。何が起こったのか?

成功を見極めるための万能な評価手段がない。問題の一端は、ビジネスをうまくまとめることにある。広告の運用からコンテンツにいたるビジネスをどのようにまとめればいいのか、カスタマイズする場合はどのように規模を拡大すればいいのか、といったことだ。利益はディスプレイ広告より少ない。FacebookとGoogleに頼るブランドは増えるばかりだ。この2社だけではないのだ、ということをマーケターに理解してもらう必要がある。

――コンテンツレコメンデーション・エンジンについてはどうか。ウィジェットを利用しているパブリッシャーに、あまり多くのお金は支払われていないのだろうか?

コンテンツレコメンデーション・エンジンはインターネットの暗部を示している。あんなものは優れたユーザー体験ではない。ただのクズの山だ。

――Snapchatが広告費の争奪戦に参入し、「ディスカバー」セクションにパブリッシャーのコンテンツを掲載している。これはパブリッシャーにとってよいことなのだろうか?

Snapchatは、インスタグラムやFacebookやYouTubeと比べて非常に排他的なプラットフォームだ。だが、彼らはパブリッシャーに対してはるかに大きな共感をもっており、パブリッシャーの成功を願っている。彼らの閉鎖的な環境は、ユーザーが作成するコンテンツではなく、エディトリアルコンテンツによって作られている。

彼らはパートナーの選択をきわめて慎重に行っており、各パブリッシャーがもっている独自の価値を尊重している。「蝿の王」のように何でも取り込むのではなく、自分たちに足りない分野を埋めてくれるコンテンツを探しているのだ。

――だが、Snapchatは、広告を販売する方式からライセンス料を取る方式へと移行している。このことは「ディスカバー」のパブリッシャーにどう影響するだろうか?

「ディスカバー」は収入源となっているが、マーケターとのミーティングにおけるブランドの発言力は弱まるだろう。したがって、今後はそのような問題がないインスタグラムの注目度が増すと思う。2017年には、インスタグラムとSnapchatのあいだで争奪戦が起こるだろう。

――あなたの会社で注目度が減っているプラットフォームはほかにあるか?

Twitterが大きな利益をもたらすソリューションであった時期を見たことがない。したがって、Twitterがほかのプラットフォームほど頻繁に利用されることはなかったと思う。(Twitter傘下の)ペリスコープ(Periscope)より、Facebookやインスタグラムのほうがはるかに利用されている。Twitterには、ほかのプラットフォームほどの魅力はない。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)