パリのアドテク業界、教育&支援を受けて急成長!:国際展開の成功事例も続々

パリは、ワインとチーズ、博物館がすべてではない。いまや、アドテクの街でもある。

「フランスは現在、自国技術を国際展開しようと多額の投資を行っている」と語るのは、データ管理プラットフォームのロテーム(Lotame)で欧州・中東・アフリカ担当市場開発ディレクターを務めるイアン・カード氏だ。「規模は大きいがまだ新興のフィンテック市場で、シェアを拡大することを目指している」。

動きが活発なパリのアドテク企業

パリのアドテク企業数社は、米国で大成功してきた。さらに多くの同業者が、成長やインスピレーション、そしてもちろん、お金を求めて米国に注目している。フランスのオンライン広告会社クリテオ(Criteo)は、直近四半期の売上高が、前年比55%増の3億6200万ユーロ(約470億円)。また、パリのプログラマティック動画会社ティーズ(Teads)は、米国での展開で、2015年には前年比50%増である1億4400万ドル(約145億円)の売上高を報告した

国際会計事務所デロイト(Deloitte)が発表している「テクノロジー・ファースト(Technology Fast)500」では、6年連続でフランス企業がもっとも多くランク入りした。その数は2015年で86社だ。インタラクティブ広告協議会(IAB)欧州支部によると、フランスは欧州第3位のオンライン広告市場だという。それに、大型買収もある。米ケーブルテレビ大手のコムキャスト(Comcast)は5月、フランスの広告動画技術会社スティッキーADS.tv(StickyADS.tv)を1億ドル(約100億円)超で買収した。

なぜ国際展開に夢を抱くのか

「フランスにおいてアドテクは成長分野で、多くの新興企業が原動力となっている」と、パリのモバイル向けアドテク企業S4Mでグローバル最高執行責任者(COO)兼米国最高経営責任者(CEO)を務めるフレッド・ジョセフ氏は語る。「今後2年間に、米国で成功するアドテク企業を数多く目にするだろう」。

S4Mは、フルタイムの従業員を世界で約105人抱え、そのうち55人がパリにいる。ジョセフ氏は、売上が見込めるので、ニューヨークの4人編成チームを年内に倍増させたいと考えている。「我々にとって次のステップは、米国で成功することだ」。

S4Mのように、国際展開への野心を抱くパリのアドテク企業が増えている。これは主に、フランス政府がここ数年、新興企業の支援に積極的なアプローチを進めてきたからだ、とジョセフ氏は説明する。たとえば、政府の輸出促進機関であるフランス貿易投資庁は、フランス公的投資銀行(Bpifrance)と共同で「ubi i/o」プログラムを立ち上げ、米国における新興企業の成長を支援している。一方、フランスの通信業界の大物であるザビエル・ニール氏は2017年、パリに世界最大のスタートアップ・インキュベーターを開設する予定だ。こうした動きは、より深い文化的アイデンティティーと関連がある。フランスの学校制度は、データ業界にとって重要な分析能力と数学を、若年齢から大いに重視しているのだ。

成功事例が生まれる背景

「いま、フランスで新興企業の勢いが強いのは、多くのアドテク企業がクリテオやスティッキーADS.tvの成功を目の当たりにしたからだ」と、デジタル広告会社アンダートーン(Undertone)で共同創業者を務めるエリック・フランキ氏は説明する。なお、同社の親会社でイスラエルに本拠を置くアドテク企業ペリオン(Perion)は、2015年2月にパリのソーシャルメディアプラットフォーム、メイクミーリーチ(MakeMeReach)を約1300万ドル(約13億円)で買収した。

フランスは欧州連合(EU)に加盟しているので、労働者はEU圏内を自由に移動できる。これが結果的に、より優れた人材の獲得や、コンプライアンスの改善、国内の大きな需要につながっているのではないかと、ロテームのマーケターおよびエージェンシー向けソリューション担当グローバル責任者、マイルズ・プリチャード氏は語る。同氏はさらに、「その一方で、企業にとってフランスは、規制が厳しいうえに就業規則にうるさく、一般に官僚主義的である傾向が強い」と付け加えた。

パリのアドテク業界が流動的になるなかで、S4Mのジョセフ氏は、フランス企業はリスクを比較的許容する米国企業から学ぶべきだと考えている。「フランス人は往々にして、時間をかけてさまざなな問題をつぶしてから、大きな夢を描き始める。だが米国人は、すぐに機会に飛びつくことが多い。大きく夢を描くことが、米国のビジネス文化において大きな動機となり、素晴らしい要素となっている」。

Yuyu Chen (原文 / 訳:ガリレオ)