ヤフージャパン株の行方が日本市場を左右する:米ヤフーの事業売却

米ヤフーの事業売却は暫定買収案の提出期限を迎えた。買収側はコア事業に価値をあまり見出さず、米ヤフーが保有するヤフージャパンとアリババ株式に興味を示している。特に日本最大のネット企業、ヤフージャパンの株35.5%(約1兆円相当)の行方によっては、日本のインターネット、メディア、広告と広範な業界に波紋が広がる可能性がある。

米ヤフーは当初、さまざまな売却案を検討したが、ヤフージャパンとアリババ株式を売却しなければ、米ヤフーの役員が退任に伴う報酬を受け取れない状況に直面(参照:WSJ日本版)。このため、経営陣は両者の株式売却に向かっており、取引に織り込まれる公算は高い。

YJからの恒久的なロイヤルティ

投資会社サントラストのアナリスト、ロバート・ペックによると、ヤフージャパンは毎年利益の3%をロイヤルティとして米ヤフーに渡している。36.4%保有の筆頭株主ソフトバンクは米ヤフーからヤフージャパン株式を買い取る可能性があるが、仮に取引が成立したとしても、失効しない恒久的なロイヤルティ契約を結んでいるとみられる。ロイヤルティは2015年に9000万ドル(約100億円)に達しており、買収側は価値を見出しているという。

ヤフージャパンのIR情報によると、同社は18期連続で増収・増益。2014年度、売上高4287億円、営業利益率46.0%と極めて利益率の高い経営をしている。ヤフージャパンはメディアパートナー300社から14000本のニュース供給を受けるヤフーニュースのほか、いくつかのサービスにより月間100PVを握り、収益につなげている。

ベライゾン買収は日本市場に影響か

買収先としてはベライゾンがもっとも近い位置にいると言われる。米出版社タイム、Googleの親会社アルファベット、米ケーブルテレビ最大手コムキャストなどは見送る見通しで(参照:CNBC)、ベライゾンの競争相手はプライベート・エクイティ・ファンドのほか、「イエローページ」のデジタル広告事業を運営する米YPホールディングスを残しているという状況だ。

ベライゾンによる買収の場合、日本市場への影響には注視が必要だ。ベライゾンは米ヤフーを傘下AOLに統合する考えを示していた。AOLは、ハフィントンポスト、Techcrunchなどの大型デジタル媒体を持ち、独自の広告自動配信網を築いている。仮にベライゾン買収・ヤフージャパン株式取得の場合、同様の事業構造をもつヤフージャパンとは、日本市場でどのような関係を結ぶことになるか。ソフトバンクがヤフージャパン株の買収交渉を求めるか。

eMarketerの昨年8月の分析によると、米国のデジタル広告収益(2015年)においてGoogle233億ドル(約25600億ドル)で35.4%、Facebook766000万ドル(約8400億円)で13.2%。両者で市場の半分を占めている。3位米ヤフーと5AOLは合計すると369000万ドル(約4000億円)、6.4%となり、新しい第三極といえる。ただし、「デジタル広告」の定義はeMarketerによるもので、2015年収益は推計を含んでいる。

Written by 吉田拓史