【一問一答】「プログレッシブウェブアプリ」とは何か?:ネイティブアプリとウェブのハイブリッド

デジタルマーケティングの未来に示唆を与える用語をわかりやすく説明する、「一問一答」シリーズ。今回のテーマは、ウェブアプリの進化系「プログレッシブウェブアプリ(PWA:Progressive Web App)」です。

Googleは、PWA製品ならば、モバイルアプリの機能性をすべて備えた、モバイルウェブの恩恵を総取りできるとパブリッシャーたちに説明しています。モバイルウェブ構築の比較的新しい標準であるPWAが、5月に開かれた開発者カンファレンス「Google I/O」でクローズアップされました。ワシントン・ポスト(The Washington Post)が、モバイルウェブとアプリの新しいハイブリッドを披露したのです。

PWAとは何であり、なぜ関心を持つべきなのか、疑問に思っているブランドやパブリッシャーがたくさんいます。今回はPWAの初歩を手ほどきします。

PWAとは何ですか?

PWAは、「プログレッシブウェブアプリ」の略称です。PWAなら「まるでアプリのように振る舞う『超高速なウェブサイト』」を構築することができます。マイクロソフトでウェブ標準に取り組むアーロン・グスタフソン氏は、「ウェブサイトの機能が、インストールされたネイティブアプリに近づく改善策」だと述べました。たとえば、ワシントン・ポストのPWAは右スワイプの技術が組み込まれています。また、サイトのホームページをホーム画面にコピーすることでアプリのように開くことができます。わざわざダウンロードしなくてもアプリのように扱うことができるのです。

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なぜ「プログレッシブウェブアプリ」というのですか?

PWAと呼ばれるサイトは、画面サイズなどの仕様が異なるさまざまなデバイスやブラウザで読み込むことができます。ワシントン・ポストのモバイル製品担当シニアマネージャーのデビッド・メレル氏は、「『プログレッシブ』と呼ばれるのは、デバイスで利用できる技術次第でエクスペリエンスが進歩(progress)するからだ」と、説明しました。

PWAは、性能が低い、たとえば旧型のブラックベリーのようなデバイスでも基本的な機能を備えたウェブ製品として使うことが可能で、機能はデバイスができることに合わせて「進歩」します。どんなデバイスでも認識されるのです。グスタフソン氏はこれを、車いすが通れるように歩道と車道の段差をスロープ状にカットすれば、自転車、スケート、スケートボード、ショッピングカートなどでも通れることになぞらえました。つまり、開発者、パブリッシャー、ブランドが、プラットフォームごとにネイティブアプリを設計するのに必要な予算がなくても、エクスペリエンスを構築し、広く提供することができるのです。

ほかにはどんなメリットがありますか?

PWAが「進歩」的なのはそれだけではありません。PWAはユーザーがログインしなくても、訪問するたびにそのユーザーのことを少しずつ学んでいきます。そのため、同じPWAを繰り返し訪問していると、ホーム画面からPWAにアクセスするためのリンクをダウンロードするように促されることがあります。まるでアプリのように、通知を受け取るよう案内されることもあります。また、PWAはダイナミックです。新しいコンテンツの自動更新が可能で、それをオフラインで利用することができます。

PWAは今後、デバイスへの統合が進み高度化していくでしょう。たとえば、位置情報の設定を利用してBluetooth(ブルートゥース)で現実世界のビーコンと通信するようになるかもしれません。また、Siri(シリ)のような端末のパーソナルアシスタント機能と連携し、簡単に音声でコンテンツを管理できるようになるかもしれません。

Googleには、すでにAMPがあるのではないですか?

はい。PWAはAMP(アンプ:Accelerated Mobile Page)プロジェクトから生まれました。AMPのページはモバイルデバイスで高速に読み込まれるように設計されています。PWAは同じく高速で、しかも機能性が高いのです。ただ、AMPはPWAと違い、Google検索にインデックス登録されており、検索を通じてトラフィックが集まります。これに対しPWAはいまのところ、アクセスするにはURLかリンクが必要です。ワシントン・ポストのメレル氏は、AMPからPWAへのリンクを試してみると述べました。広告が配信されないことなど、PWAのマイナス面はほかにもあります。しかし、PWAはパブリッシャーに迫ってきています。

なぜ採用が広がっていないのですか?

それは、まだ新しいからです。まだワシントン・ポストなどのパブリッシャーが実験をしているところなのです。また、PWAの技術はすべてが十分に受け入れられているわけではありません。たとえば、オフライン機能などの高度な機能に役立つ「サービスワーカー(Service Worker)」と呼ばれるソフトウェアに、AppleのブラウザであるSafariは対応していません。

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Garett Sloane(原文 / 訳:ガリレオ)