WeChat 攻略! ブランド・パブリッシャー向けの活用法

WeChat(微信)はアジア、とりわけ中国でもっとも人気のあるメッセージアプリのひとつだ。このプラットフォームは、中国のテクノロジー系持ち株会社のテンセントが2011年に開発し、現在の月間アクティブユーザー数は、6億9700万人に上る。

アジアへのビジネス拡大を狙う欧米のマーケターの多くが、WeChat(微信)の重要性を認識しているものの、敷居が高いと感じている。その大きな要因が言葉の壁だ。本記事では、WeChatの3大要素となるモーメント、サブスクリプション、ウォレットをそれぞれ噛み砕いて紹介し、ブランドやパブリッシャーにどのような恩恵をもたらすのかを説明していく。

WeChatのモーメンツとは?

モーメンツ(朋友圏)はWeChatの基本的な機能。FacebookのタイムラインやTwitterのニュースフィードと同じように、テキストメッセージや最大9枚の画像や動画、そして記事を投稿できる。

モーメンツが上記のソーシャルネットワークと異なるのは、よりユーザー間の親密性が高く、プライバシーが守られている、という点だ。個人の友達リストはほかのユーザーには把握できない。また、アップデート内容も利用者が登録した友人以外には公開されず、コメントのやり取りも、自身の友達リストに載っているユーザーのものしか表示されない。たとえば、ユーザーが画像を投稿し、その友人が卑猥なジョークをコメントとして載せた場合でも、それがコメント投稿者の友達以外の目に触れる心配はないのだ。

Yuyu(筆者)のモーメントの見た目。

Yuyu(筆者)のモーメントの見た目

数あるソーシャルネットワークのなかでもWeChatを選ぶユーザーの多くは、そのプライバシー保護機能に魅力を感じており、テンセントは、WeChatを商業化することについてかなり消極的であると考える。

クローズドな環境に広告が入り込む機会はあるか?

間違いなくある。Facebook、Twitter、LinkedInと同様、ブランドがスポンサーコンテンツをモーメンツのタイムラインに載せることは可能だ。テンセントは2015年1月にスポンサーモーメンツを公開し、その後、広告主はモーメンツを利用できるようになった。WeChatは当初、コカ・コーラやBMWなど、50ほどのブランドを広告主として選び、テスト配信を実施。広告メニューとして、ブランドアカウント、テンセントのサーバーをホストとするHTML5のリンク、6枚以内の画像、そして40文字以内の説明文を提供した。

BMWの広告。

BMWの広告

どのような見た目かというと、たとえば、BMWの広告には画像が6枚と短いキャプションが付き、右上に小さく「パブリシティ(推广)」ボタンが表示されている。興味をもったユーザーは「詳細を見る(查看详细)」ボタンをクリックすればBMWのサイトに直接移動できる。また、「興味がない」ボタンでそのスポンサード投稿を非表示にすることも可能だ。

2015年8月、すべての広告主がWeChatのモーメンツにアクセスできるようになった。中国のメディアによると、1広告あたりの費用は77万4000ドル(約7740万円:画像最大6枚、6秒動画、「詳細」ボタン1つ、HTML5は6ページまで)から7738ドル(約77万円:画像1枚、「詳細」ボタン1つ、HTMLを1ページ)程度となっている。

サブスクリプションはどう活用されている?

広告の観点から見ると、サブスクリプション(订阅号)はパブリッシャーやブランドにとって強力なコンテンツマーケティングを展開できる。サブスクリプションすることで、ユーザーの友達リストにアカウントが載る。それをクリックすることで、ユーザーはさまざまな企業のコンテンツを購入したり、ブランドのアプリをダウンロードしたりできる。欧米のパブリッシャーとブランドがどのようにサブスクリプションを利用しているかを、以下で紹介する。

LinkedIn中国版。

LinkedIn中国版

テスラモーターズの広告。

テスラモーターズの広告

テスラモーターズは3つのタブを挿入(訳:「世界を変える」、「試乗・購入」、「あなたの体験」)。そして、ユーザーは商品を360度画像で確認できる。「トライアル」のタブを利用すると、同社の最新車種Model Xの詳細情報が確認でき、さらに同社のWebサイトから商品を申し込むこともできる。

パブリッシャーも活用できるのか?

もちろん、以下のパブリッシャー企業はすでに参入している。

WeChatのBuzzFeed。

WeChatのBuzzFeed

WeChatウォレットとは?

Facebookのメッセンジャーにモバイル決済機能が付いたとき、アメリカの人々は胸を躍らせただが、WeChatのユーザーはそれを微笑ましく見ていた。なぜなら、WeChatユーザーは、すでに長いあいだ、WeChat上で決済機能を使いこなしていたからだ。

テンセントは、WeChatウォレット(微信钱包)にかなり力を入れており、2015年1月には香港へ、そして2015年11月には南アフリカへ拡大している。WeChat決済の取引額は2016年1年で5560億米ドル(約57兆円)を超えると試算されている。これは2015年にペイパルで取引された金額の2倍近くだ。

どのように利用できるのか?

WeChatウォレット。

WeChatウォレット

WeChatユーザーの各パーソナルアカウントには「ウォレット」というセクションがある。これを開くと「送金」、「公共料金」の取引が可能で、仮想通貨である「QQコイン」といったものから、「タクシーを呼ぶ」メニュー、「映画チケット購入」メニューなどのオプションが表示される。事前にデビットカード(中国国内の銀行や一部の外資系銀行)またはクレジットカード(マスターカードもしくはビザカードのみ)を登録していれば、アプリ内ですべての支払いを済ませることが可能だ。

WeChatウォレットの仕様画面。

WeChatウォレットの仕様画面

さらに、WeChatは、QRコードを利用して、オンラインとオフラインをつなげることも可能である。ウォレット利用開始すると、ユーザーが利用している銀行と提携しているQRコードが送られる。セキュリティ保護のため、このQRコードは1分ごとに更新される。一方、小売店側はコードをスキャンするだけで決済を受理できる。中国国内の街なかでは、アイスクリームショップのデイリークイーンやユニクロ、そしてマクドナルドをはじめ、多くのブランドがWeChatウォレットのQRコードに対応している。

QRコードはアジアでは広く導入されているが、アメリカではまだあまり利用されていない。消費者行動は地域によって異なり、ある場所で流行っているからといって、別の場所でも必ず人気が出るかというとそうではない。逆もまた然りだ。また、AppleとAndroidにはまだQRコードが搭載されていないため、WeChatをダウンロードすると、同時にQRコードとQRリーダー機能がついてくる。

どうやったらWeChatをはじめられる?

WeChatを利用するためには中国のIDを持っていること、もしくは、現地登録法人である必要がある。これらの条件を満たさない場合は、テンセントに直接アカウント作成を依頼できる。その場合、中国本国のユーザーにアカウントは公開されない(英語バージョンのアカウントの利用者は、中国国内外を問わず、すべてのコンテンツにアクセス可能だ)。

Yuyu Chen(原文 / 訳:Conyac