暗号化は諸刃の剣か? 1億MAUを突破したメッセージアプリ「テレグラム」

メッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」の月間アクティブユーザーは、いまや世界に1億人以上も存在する。

この数字は、月間アクティブユーザーが10億人いる「WhatsApp(ワッツアップ)」や、8億人いるFacebookの「Messenger(メッセンジャー)」と比べると、まだ少ない。だが、「テレグラム」には、数字以上のより大きな可能性が秘められていると、考える人たちも多い。

アメリカ国家安全保障局(NSA)のスパイ活動を内部告発したエドワード・スノーデン事件の影響もあって、「テレグラム」の人気は高まった。同サービスではメッセージが暗号化されているため、受信者以外はメッセージを読めないからだ。

エージェンシー、レオ・ブルネット(Leo Burnett)のビジネス戦略ディレクター、ロブ・スコットランド氏は、「スノーデン事件は文化的な分岐点だった」と語る。「ユーザーが『テレグラム』を重視するのは、自分の意思で情報漏洩を防止しようとしても無力感が漂ういま、わずかでも自分でコントロールできる要素を『テレグラム』がもっているからだ」。

マーケティングにとって宝の山

さらに、インターネットサービスプロバイダーや電話会社にブラウザー履歴の保存を義務づける「調査権限法(Investigatory Powers Bill)」が英国で成立すれば、「テレグラム」のように暗号化されるサービスは、より魅力的なものになるだろう。そして、オーディエンスのいるところにブランドもついて行く。

「特定の人だけが入手し、アクセスできるような、暗号化され、鍵がかけられたコンテンツというコンセプトは、実際のところ、マーケティングにとって可能性が秘められた宝の山だ」と語るのは、ソーシャルメディアエージェンシーHoller(ホーラー)社の創設者で、YouTubeベースのサッカーコミュニティー「Copa90」のリーダーでもあるジェイムズ・カーカム氏だ。

「たとえば、幸運な人だけがヒントやコードをもらえるような『製品の宝探し』や、あるいは、知っている人だけが限定された形で、事前にのぞき見できるコンテンツやメッセージや製品を考えられる」。

有名な「テレグラム」ユーザーには、四旬節の期間に毎日、「テレグラム」のチャンネルを利用してメッセージを出しているローマ法王や、購読者向けにロシア語のコンテンツを配信しているBBCなどがいる。

収益モデルの確立を早急に

「テレグラム」では、Facebookの「Messenger」と同様に、ユーザー側でボットを作ることが可能で、企業が顧客に自動応答することもできる。「エコノミスト(The Economist)」誌は現在、ユーザーからの要求に応じて、同誌のサイトから特定のコンテンツをボットで自動配信する実験を進めている。

一方で「テレグラム」は、堅実な収益モデルを早急に確立する必要がある。「テレグラム」を作ったニコライ・ドゥーロフ氏とパーヴェル・ドゥーロフ氏は、ユーザーがサービスを無料で利用し続けることができるよう奮闘していたが、手持ち資金を使い果たしてしまった。

ブランドがこうした収益モデルに参加するとすれば、より適切な測定能力を求めるだろう。暗号化を売りにしているメッセージアプリにとって、それは厄介な問題になり得る。

スコットランド氏は次のように語る。「『テレグラム』がこの問題にどう対処するかがとても重要になってくる。解析手法がないことは、次なる成熟段階に到達しようとするプラットフォームにとって、批判を受ける主な理由になる。ユーザーと、良好かつ明確に意思疎通ができなければならない」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)
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