FBミッドロール動画広告はYouTubeへの宣戦布告:デジタルマーケティングサマリー

今週は動画トレンドの強まりを表すニュースが飛び交った。Facebookが動画にミッドロール広告を挿入可能にするとリコード(Recode)が9日(現地時間)報じた。ミッドロールはよりテレビに近い形式であり、広告主が価値を見出しやすいフォーマットで、動画投稿者への収益分配は55%でYouTubeと同じ。

Facebook傘下のインスタグラムも12日に投稿内容が24時間で自動的に消える「インスタグラムストーリーズ」における広告の試験運用開始を発表した。

インスタグラムストーリーズでは、資生堂、ナイキ、ユニリーバの「ダヴ」、ゼネラルモーターズ、エアビーアンドビーなど30を超える広告主が広告を試験運用している。

Facebookは2016年から急激に動画にシフト。フィードに表示できる広告数に限りがあるなか、単価が高くなる動画に力を入れ始めたが、インスタグラムストーリーズはSnapchat、ミッドロール広告はYouTubeに近い仕様だ。

このFacebookのライバルであるAlphabet(Googleの親会社)はどうか。同社の2016年第3四半期のアーニング・コールによると、モバイル広告とともにYouTube広告が売上をドライブしている。YouTube広告の販売に関しては、2015年夏ごろ在庫取引方法をプロプライエタリ(専売)にし、その後、販売方法をプログラマティックに絞りはじめ収益が著しく拡大した。大手企業がテレビ広告とYouTube広告の組み合わせの効果に説得されつつあるという。

米DIGIDAYのユー・ユー・チャン記者はYouTubeが定額制動画配信サービス「YouTube Red」に大きく投資していることを取材。本記事筆者もYouTubeが昨年12月に東京国際フォーラムで開いたファンイベントを取材し、テレビが当たらない若年層を集めていることを実感した(トップ画像)。

Google、Facebookとは異なり、サブスクリプション型の動画配信を提供するAmazonは12日(現地時間)、プライム会員限定の独自アニメチャンネル「Anime Strike」をローンチ。ケーブルテレビのネット版「TVストリーミング」にはAmazonを含むさまざまな企業に参入観測がある。

他にもビデオ(テレビ+デジタル動画)には以下のようなトレンドがある。

  • 「TVストリーミング」は2016年末から競争がはじまり、2017年は市場拡大の方向
  • 大手通信事業者、ケーブル/衛星テレビ事業者、テレビネットワーク事業者のコングロマリット間で買収劇が起きている。彼らはサブスクリプション、インターネット通信プロバイダー事業などの多様な収益源をもっている
  • 広告世界最大手WPPが2016年末にテレビ広告枠取引において、テレビとデジタル動画の共通指標を目指している
  • モバイルライブ動画の普及
  • Netflixなどの定額制動画配信(SVOD)はグローバルに利用者を拡大。モバイル・タブレット視聴は少なくない

モバイル動画は2020年にワイヤレス通信量の75%を占めるまで成長する見通し。今年のビデオ(動画)戦争は昨年よりも激しいものになりそうだ。

■ピーター・ティール「Appleの時代は終わった」

PayPal元CEO、Facebookの最初の外部投資家であり、ドナルド・トランプ次期米大統領のアドバイザーであるピーター・ティール氏はニューヨークタイムズに対し「Appleの時代は終わった。われわれはすでにスマートフォンがどんなものかを知っている。ティム・クックの責任ではなく、スマートフォンがもはやイノベーションを望めない分野だということだ」と語った。

■日本コカ・コーラ豊浦氏「IoT時代はリアルタイム性が重要」

日本コカ・コーラは日本向けの公式スマートフォンアプリ「Coke ON(コーク オン)」をローンチして、対応自販機と連携させた。同社の豊浦洋祐氏はDIGIDAYの取材に「自販機のリアルタイムデータをファーストパーティデータとしてリアルタイムに抽出・分析できるのは大きな強み」と話した。

■スマニュー菅原氏「2017年はデータドリブンな企業が優位に」

スマートニュースのブランド広告責任者である菅原健一氏は2017年の予測に関して「成長に役に立つデータを自らの意思で取得し、そのデータをもとに意思決定の回数とスピードを上げることで、他企業ではできない意思決定の量と質を向上させ、成長へと向かうことができる」「ファネル上部で認知や理解を得たいとき、バナー広告では難しい」と指摘した。

■メイヤー氏、Yahoo CEO退任へ

Yahoo CEOのマリッサ・メイヤー氏は「進行中」のベライゾンによる買収が完了し次第、退任する方向。Yahooが証券取引委員会に申請した書類で明らかになった。

■クォーツのラーフ氏「広告モデル生きている」

先週のMedium CEO、エヴァン・ウィリアムズ氏が「広告モデルのデジタルメディアは壊れたシステム」と発言したことについて、経済デジタルメディア「クォーツ(Quartz)」のジェイ・ラーフ氏はクォーツは広告型で収益を上げていると主張。自社の独自広告やスポンサードコンテンツをマーケターや代理店に直接売ることで収益を得たと話した。昨夏のDIGIDAYパブリッシングサミットで最初に「質と量」の議論したのが、ラーフ氏だった。

■Alphabet、ネット接続用ドローン開発を停止

AlphabetのXリサーチラボは11日(現地時間)「タイタン・エアロスペース」の事業を停止した。下図の巨大ドローンからのレーザービームでインターネットの高速通信を実現する計画だった。

スクリーンショット 2017-01-12 19.49.17 (1)

Facebookがこのネットインフラを構築をめぐって競り合い、大型ドローンAquilaを投入。世界中にインターネットを張り巡らし、その根幹を握ることに2社はただならぬ意欲をもっている。

Written, Photograph by 吉田拓史