低迷するTwitterに光明?:パブリッシャー動画の視聴が増加

このところ、Twitterにまつわるニュースは凶報ばかりだ。2月9日に発表された決算報告によると、2016年第4四半期の新規登録ユーザーは200万人にとどまり、四半期売上は前年比で微減。株価もこれを受けて下落した。だが、朗報もひとつある。ニュースパブリッシャーいわく、Twitterは動画を配信して売上を得るプラットフォームとして成長しているというのだ。

ビジネスインサイダー(Business Insider)によると、同媒体とふたつの姉妹メディア用、3つのTwitterアカウントを合わせて、1月のTwitter動画閲覧数は600万ビューを超え、半年前から100万ビューを上乗せした。同様にナウディス・メディア(NowThis Media)も、Twitter動画は「有意義な」ビュー数を獲得しつつあり、「毎月、徐々に順調に伸びている」と話す。マッシャブル(Mashable)のTwitter動画ビュー数は過去4カ月で3倍になったという。さらに4番目のあるパブリッシャーは、Twitter動画閲覧数が1月に急増し、7カ月前の13倍ものビューをたたき出した。

「我々は1月、互いに顔を見合わせ、Twitterはもはや実験段階ではないと口にした」と、ビジネスインサイダーの動画編集長、ジャスティン・メイマン氏は振り返る。「閲覧数はもはや無視できないレベルに達している」。

それは事実かもしれないが、オーディエンス数で比べるなら、パブリッシャー各社がFacebookで獲得している数字には依然として遠く及ばない。たとえばビジネスインサイダーは、全メディアブランドの全プラットフォームをあわせて月間30億ビューを獲得しているが、その大部分をFacebookアカウントが占めている。また、アナリティクス企業チューブラー・ラボ(Tubular Lab)によると、ナウディスのFacebookメインページの動画閲覧数は8億8400万ビューに上るという。

売上をもたらすが、まだ少額

パブリッシャーがTwitterに動画を直接アップロードする利点のひとつに、配信初日から売上を得られることがある。Twitterの「アンプリファイ(Amplify)」プログラムにさえ参加すれば、メディアはオリジナル動画にプリロール広告を設定し、販売することができる。一方、Facebookはつい最近になって少数のメディアパートナーを対象にミッドロール広告の試験運用を開始したばかりだ。

米DIGIDAYは昨年の記事で、一部のメディア企業はアンプリファイに助けられ、Facebookよりも多くの売上をTwitterから得ていると報じた。当時、Facebookがメディアパートナーに提供していたのは「おすすめ動画(Suggested Video)」だけで、そこからの売上は取るに足らないものだった。

だがそれ以降、Facebookはメディアによるスポンサー動画の投稿に対する制限を緩和し、大きな成果をあげた。TwitterとFacebookの両方で広告とスポンサー枠を販売しているメディア企業のある幹部によると、両プラットフォームからの売上の差はまるで「小銭と札束」だという。「FacebookとTwitterの動画視聴の規模が、売上に如実に現れている」。

Twitterは規模も売上も小さいことから、一部のニュースパブリッシャーはアンプリファイへの参加を見合わせてきた。「Twitterが将来における好機にならないというわけではないが、現時点ではもっと大きなチャンスがある」と、あるニュースメディア幹部は語る。

価値を見出すパブリッシャー

こうした状況にもかかわらず、大半のニュースパブリッシャーはTwitterで動画を配信している。リーチも売上もわずかな上乗せだとしても、Twitterで動画を配信するのに追加投資はほとんど、あるいはまったく必要ないと、情報筋は口をそろえる。

たとえば、ビジネスインサイダーとナウディスは、Twitterのようなプラットフォームに最適な短いニュース速報動画を大量に制作している。ビジネスインサイダーは本家サイトに加え、「テックインサイダー(Tech Insider)」「インサイダー(Insider)」の3メディアのTwitterアカウントを合わせて1日約30本の動画を投稿する。ナウディスの動画投稿も1日30~40本だ。絶え間なく更新されるTwitterのニュースフィードにあわせ、両社は往々にして同じ動画を1日に複数回投稿する。

「オーディエンスと売上の規模が小さく思えるからというだけで、参入を見合わせるべきではない」と、ナウディス・メディアのプレジデント、エイサン・ステファノプロス氏は指摘する。「つまるところ、報道機関としてTwitterにいることは重要なのだ」。

オリジナル番組の拡大

多くのニュースパブリッシャーと違い、ブルームバーグ・メディア(Bloomberg Media)にはTwitterでの明確なアドバンテージがある。同社は毎週ふたつのテレビ番組、「ホワッド・ユー・ミス(What’d You Miss?)」と「ブルームバーグ・テクノロジー(Bloomberg Technology)」のライブストリーミングを行っているのだ。これらの番組は、Twitterのメインページの右側にある専用エリアで視聴できる。

ブルームバーグのデジタル部門を率いるスコット・ヘイブンズ氏は、番組の視聴者数や売上への言及を避けつつ、「健全かつ安定している」と述べた。

「Twitterは検討対象から外れたガラクタなどではない」と、ヘイブンズ氏は語る。「微増とはいえ、重要な売上なのだ」。

ブルームバーグはTwitterと、同プラットフォーム上で配信する番組を増やす方向で交渉を重ねている。同メディアはまた、Twitterとタッグを組んで大型イベントに合わせた生番組も検討している。現在まさにTwitterが力を注いでいる分野だ。

Twitterが目指すライブ動画

2016年の最終四半期、Twitterは約400のイベントで600時間以上のライブ動画をストリーミング配信した。Twitterのパートナーには、ナショナルフットボールリーグ(NFL)、ナショナルホッケーリーグ(NHL)、メジャーリーグベースボール(MLB)などの主要スポーツリーグや、ブルームバーグ、Buzzfeed、PBSなどのニュースパブリッシャーがいる。

Twitterは第4四半期決算報告で、こうしたライブストリーミングのユニークビューワーは3100万人に達したと述べた。米大統領候補の最終討論会(ブルームバーグ)、大統領選の開票速報(BuzzFeed)、ドナルド・トランプ大統領就任式典(PBS)のユニークビューワーは、それぞれ420万人、750万人、860万人だったという。

Twitterのライブ動画ストリームの38%がニュースと政治に集中している状況で、ニュース企業がTwitterとライブ動画で協働する機会は増えるだろう。複数の情報筋は、それぞれ所属する企業が主要な出来事に合わせてライブコンテンツを編成する交渉を一貫して続けていると口をそろえる。

今後に残された課題

問題は、Twitterはコンテンツの制作費を調達するのに十分な広告収入を得られないかもしれないことだ。ライブストリーミングの提携を辞退したあるパブリッシャーは、広告主の関心が薄いため、Twitterと価格が折り合わなかったと明かす。

「新たな収入源としてTwitterと我々が提携することは、当面実現しそうにない。それを正当化するだけの確証が皆無だからだ」と、このパブリッシャーの幹部は語る。「Twitterとの交渉は続けるが、事業性の点で合理的でなければならない」。

これとは対照的に、ブルームバーグによる大統領候補最終討論会報道をTwitterが同時配信したライブ動画や、BuzzFeedと共同制作した大統領選の夜の開票速報は、広告主にも好意的に受け止められたと、「フォーチュン(Fortune)」などが報じた。Twitterは、どちらのライブストリーミングも当初広告主に保証した数字の2~3倍のインプレッションを達成したと述べた。

Twitterの最高執行責任者(COO)アンソニー・ノト氏は決算報告で、「広告事業の動画部門は、アンプリファイのプロダクトもライブ動画プロダクトを筆頭に、極めて好調だ」と述べたと、クラウド経済ニュースサイト「シーキングアルファ(Seeking Alpha)」が報じている。「我々は今後も、これらのプロダクトに投資を続けていく」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)