Twitterにフラストレーションを抱えるパブリッシャー:シェア数表示廃止の影響とは?

Twitterなどのソーシャルプラットフォームは、絶え間なくアップデートを繰り返しているような印象を与える。

ニュースサイト「スレート(Slate)」の幹部は2015年11月20日、自社サイトからTwitterのシェア数(シェアカウント)表示が消えていることに驚いたという。ソーシャルサービスにおける記事の重要度をモニタリングするのに、シェア数表示を利用していたのだ。「我々は不意を突かれた」と「スレート」のダン・チェック副会長は認めた。

シェアボタンのシェア数表示を廃止したTwitter。「スレート」だけでなく、記事ページにカウント表示していた「ハフィントン・ポスト」や「エンターテインメント・ウィークリー」などのパブリッシャーにも影響を与えている。

青天の霹靂、パブリッシャー

Twitterは、2015年10月6日にブログで今回の変更を発表。同年11月20日には、すべてのシェアボタンから数字が消えた。Twitterのシェアボタンは、記事の上部に「Facebook」「Google+」「LinkedIn」といった共有プラットフォームのシェアボタンと並んで設けられていることが多い。

今回の動きは、プラットフォームをまたいだ合計シェア数にも影響することから、パブリッシャーからは不満の声が上がっている。コンテンツの実績を判別する社内用の指標としてだけでなく、人気度を示して読者にコンテンツを宣伝する方法としても重要なデータだったというのが、彼らの言い分だ。

チェック副会長は次のように述べている。「シェア数表示を復活させたい。当社にとっては意味のあるものだ。コメント数の横にシェア数を表示するのは、当社の記事をめぐって会話が行われていることを強調する有力な手段である。そのような会話が交わされていることを数値で読者に示唆したい」。

シェア数表示は有料化

Twitterによると、今回の措置は技術的な理由によるもので、さらなる性能向上を図るため、実施することに決めたという。加えて、いずれにしても、パブリッシャーが記事にシェア数を表示するのに利用してきたAPIは、非公式のハッキングにあたると指摘した。ちなみに、Twitterは、傘下のAPIアグリゲーション企業Gnipから有料でデータを提供している。

これまで、このデータは無料で利用できた。データ分析会社シンプルリーチ(SimpleReach)はTwitterと提携しているので、既存顧客のパブリッシャーには今後もこのデータを提供できると、同社のエドワード・キム最高経営責任者(CEO)は述べている。そのほか、新規にデータを希望するパブリッシャーに対してTwitterは、現在Gnipの利用を促しているという。

だが、掲示板やブログでは、Gnipは費用が掛かるし、以前ほど包括的ではないという不満が飛び交っている(料金は顧客ごとに設定され、提供されるデータの容量によって異なるが、月額300~5万ドル[約3万〜600万円]の範囲と推定されている)。さらには、怒りが高じて、「#SaveOurShareCounts」というハッシュタグまで出現した。

影響は軽くない

規模が比較的小さいパブリッシャーにとって、Gnipは法外な費用がかかる、と、ネイテヴ(Naytev)の共同創設者であるパトリック・コステロ氏は指摘。同社は、ソーシャルプラットフォームにおける、ブランドやパブリッシャーのリーチ拡大を手助けしている。

「トップクラスの多くのパブリッシャーも、今回の変更に大いに不満を抱いている。軽く受け止められるようなことではない」と、コステロ氏は語る。

ジャーナリズムに関するブログメディア「ニーマン・ラボ(Nieman Lab)」は最近、URLが含まれたツイートのなかで、パブリッシャーのサイトにあるシェアボタンによって生成された投稿の割合を確認するために、簡単な実験を行った

その結果、かなりの幅があったという(「ニューヨーク・タイムズ」紙は、この割合が16%にとどまったが、「ガーディアン」紙は30%近くに達した)。また、「レッド・ステイト(Red State)」や「デイリー・コス(Daily Kos)」のようなイデオロギー色の強い政治関連サイトは、傾向として、シェアボタンから生成されるツイートの割合が高かった。

Facebookはシェア数表示残す

ニュース配信が盛んになるにつれ、パブリッシャーは、読者による記事の拡散を重視するようになっていた。シェアボタンはそのひとつの手段だ。それとともに、いかに人々に記事を読んでもらって、ソーシャルネットワークで共有してもらえるかを解明する作業が生じる。

その分析の結果、Twitterのシェア数表示は大勢に影響がないと結論づけた、一部のパブリッシャーも存在するという。従来のシェア数表示では、リツイートやモバイルアプリを通じた記事の共有など、共有活動の全体像がわからなかったからだ。しかも、現状Facebookへの記事共有のほうがはるかに多く、少なくとも現時点では、Facebookはシェアボタンからシェア数表示を削除してない。

だから、すべてのパブリッシャーが憤慨しているわけではないのだ。

読者はシェア数を重視するか

「シェアボタンのシェア数にはあまり頼っていない。コンテンツがどのように回覧されているのか、全体像がわからないからだ。『Adobe Analytics』『Shareablee』『Facebook Insights』『Twitter Analytics』といったツールを使って、もっと総体的に共有を追跡している」。タイム社が発行する「ピープル」誌や「エンターテインメント・ウィークリー」誌のオーディエンス・エンゲージメント担当ディレクターであるクリス・ラックリフ氏はこう語る。

それに、シェア数表示が、考えられているほどは読者へのシグナルになっていない可能性もある。「ニューヨーク・マガジン」誌が、カウント表示があるボタンとカウント表示がないもっと大きなボタンを用いて実験したところでは、カウント表示よりもボタンの大きさのほうが共有行動に影響を及ぼしているようだ、と同誌のデジタル担当ゼネラルマネージャーであるマイケル・シルバーマン氏は述べている。

「『シェア数表示がさらなる共有を促している』という前提でさえも間違っている証拠がある。また、当社のサイトでもほかの多くのサイトでも、当然ながらモバイルでは、タップして共有しない限りシェア数を確認できない」(シルバーマン氏)

そういうわけで、「ニューヨーク・マガジン」誌は、別の方法を用いて、記事がTwitterへどれくらい共有されているのかを調べているという。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)
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