バイサイドのCriteoがヘッダー入札に参入:広告主と媒体社に高ROI

バイサイドのアドテクプレイヤーであるCriteo(クリテオ)。このリターゲティング広告のトップランナーが、セルサイドのソリューションであるヘッダー入札に参入した。「Criteo Direct Bidder(以下ダイレクトビッター)」は世界の上位250社以上の大手プレミアムパブリッシャーに導入済で、日本でも導入が開始されている。

グローバルでは買い手と売り手を「直通」に近づけていく流れがあり、直通は大手プラットフォームの成功の一要因でもある。Criteo Japan ヘッドオブビジネスデベロップメント 植田一樹氏はDIGIDAY[日本版]の取材に対し、「第三者を介さず取引することで、透明性が増し、メディアは収益を増やし、広告主はパフォーマンスを拡大できる」と主張した。

ダイレクトビッターはパブリッシャーのページにタグを挿入するか、ラッパーソリューションを経由し実装できる。「ダイレクトビッターでは、Google提供のアドサーバー『DFP』を利用しているパブリッシャーの採用を想定している。グローバルではDFPのシェアは極めて高く、日本でも比較的高いはずだ」。

このソリューションではデジタル広告取引のステークホルダーをシンプルにすることになる。「従来型のリアルタイム入札(RTB)では、Criteoは単価がフィックスで、買うか買わないかの選択を求められた。ダイレクトビッターメディアにとってはインプレッションごとに我々の正確な入札価格が伝えられるので、高い単価を実現する。平均20%の収益増をもたらした」。

広告主から見ると、買い付けるメディア・枠の「透明性」が向上し、Criteoの買い付けを支える機械学習エンジンの効果が向上するため、ROI(投資利益率)が上昇すると、植田氏は説明する。「広告主が、どこの枠に出ていくかも把握し、どれだけユーザーが訪問しているサイトの情報を、エンジンに入れるかが重要だ。掲載面の情報もエンジンにフィードバックすると、エンジンはどんどん学習する。『どの掲載面でどれくらいのクリック率(CTR)だったか』がエンジンに入っていけば(マッチングの)精度が増す可能性が高い」。

Criteoが提供するリターゲティング広告の需要元は旅行、eコマース、人材関連であり、インターネット上でコンバージョンするためROIを測りやすい。「第三者を介さず取引することで、透明性が増し、メディアは収益を増やし、広告主はパフォーマンスを拡大できる」。

Criteoのヘッダータグのみを入れていると、Criteo以外のデマンドが高値を指す可能性があっても、パブリッシャーは採用できない。RTBが確保していると説明されている「競争性」は失われないだろうか、と質問した。

植田氏はダイレクトビッダーの透明性が「競争性」に勝るという考えだ。「RTBはセカンドプライスオークションを採用しているが我々はファーストプライス。カオスマップを介さず直接つなぐことで透明性を確保し、RTBより高い価格が実現する」。

米パブリッシャーはヘッダーにヘッダー入札のタグを多数入れ、最も好ましい需要を取り込もうとする試みを行う。しかし、ページ読み込み時間が長くなり、ユーザー体験が劣化する恐れがある。「ヘッダーに20個もタグを入れているとページロードが遅延し、本末転倒になるのは確か。メディアは取捨選択しなくてはいけなくなる。ヘッダー入札の提供者は淘汰されるだろう。我々はそのなかの1社に選ばれる自信がある。我々のようにECサイトやトラベルというユニークな広告主をリターゲティングという形でもっているDSPはほかにない」。

criteoCriteo Japan Head of Business Development 植田一樹氏=吉田拓史撮影

AmazonもAmazon Advertising Platform (AAP)というDSPを提供し、同時にヘッダー入札ソリューションをパブリッシャーに提供している。バイサイドからセルサイドのソリューションに拡大するCriteoの展開と重なる。「AmazonはCriteoとは異なり、自分自身がECサイトという巨大なデマンド。できればCriteoの広告主になってほしいが、難しいかもしれない。両者のデマンドは異なり、我々はリターゲティングとアプローチも異なる。パブリッシャーには『両方のタグを入れてください』と伝えたい」。

日本のパブリッシャーでも「デイリースポーツ」「All About」が導入済み。導入を検討する媒体社も多数と植田氏は語っている。

Written by 吉田拓史
Photo by GettImage