アトリビューション分析、現状の問題点と模索される未来:アドテック東京レポート

多くの人々が複数のデバイスを利用するようになったいま、マーケティング施策の効果測定には課題がたくさん存在する。ユーザーたちは、ひとつのコンバージョンに至るまでに複数のデバイスで各施策に高頻度の接触を行い、しかも、それはオンラインとオフラインにまたがっているからだ。このそれぞれに粒が異なる接触をどう測定し、どう評価すればいいのか。9月20〜21日に開催されたアドテック東京でのセッションをまとめた。

ミクシィ・エックスフラッグスタジオ本部海外運用部の水谷翔氏は、多くの広告主がアトリビューションモデルを採用しはじめたが、大きな課題としては、広告主がアトリビューションをどう活用すればいいのかわからないでいる現状を指摘。ラストクリックモデルではフリクエンシー(接触頻度)などが評価指標から外れることになると語った。

Facebook Japanのヘッド・オブ・マーケティング・サイエンス、大志摩丈嗣氏はラストクリックモデルより、すべての接触点、ジャーニーを評価するマルチタッチモデルの方が理論的に優れているはずだと語った。オンライン、オフラインにまたがる性質の異なるタッチポイントを測定する方法を模索するべきとしている。

大志摩氏は独自調査を示し、クリックと『ニールセンブランドエフェクト』(ブランドリフトなどの指標)はあまり相関しない、と語った。米国のFacebookでは、大型小売業者の大半からトランザクションデータを収集する企業データロジックス(Datalogix)と協業することで、購買との直接的な相関性に関しても調査している。

ふたつの消費財ブランドが競合しているとき、消費者Aがひとつのブランドでラストクリックをしたが、その後にもうひとつの消費財BのテレビCMを見て、消費財Bを購入するケースはラストクリックモデルでは補足できないと語った。

大志摩氏はCookieベースのトラッキングは誤りが多いと指摘。Cookieはモバイル・アプリ内の行動をつかめないからだ。Cookieだけでは人々が多くのデバイスで頻繁にメディアに接触する傾向に対応することが難しいという。

東京放送ホールディングス(TBSホールディングス)社長室 国際部長を務める薄井裕介氏は、「テレビ局は開局以来60年間、この業界でビジネスを行ってきており、ブランドセーフなものを制作するクリエイティビティをもっている」と語った。「オフラインとオンライン広告のベース部分は似ているはずだ」。

またFacebookがTBSと同じ事業領域のビデオ(動画)に注力していることに触れ、「我々テレビ局も『Tver』を開始し。オンラインにいるオーディエンスを掴もうとしている」と語った。「Tver」は民放キー局5局が共同で立ち上げた、テレビコンテンツ無料配信サービスだ。

かねてから議論のある、テレビとデジタルをまたいだクロスプラットフォームでの効果を評価する指標に関して、薄井氏は多くの関係者と話し合う必要があると語った。

Written by 吉田拓史
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