プログラマティックとネイティブアド、共存共栄できるか?:前向きな融合を阻むもの

広告商品としてネイティブアドが有用であることは明らかになっている。しかし、ネイティブアドとプログラマティックバイイングというふたつの広告ビジネスの融合は、いまのところ実現にはほど遠い。

期待されたプログラマティックネイティブは、業界ふたつの流行語をただ組み合わせたものではなく、ふたつの長所、つまりプログラマティックのもつ効率性とターゲティング能力、そしてネイティブアドのもつクリエイティブ性を兼ね備えたものとされた。だが、そうした強い期待は、まだ現状では実現されていないと考える人たちもいる。プログラマティックネイティブは、バイヤーからの需要が少ないという現実に直面しているのだ。

「パブリッシャーは、実に多くのオプションを販売している。問題があるのは購入側のほうだ」と、コンテンツマーケティングプラットフォームを手がけるインスティンクティブ(Instinctive)のCEOマニ・ガンドハム氏はいう。「(昨今のアドエクスチェンジは)サプライパートナーの要求に応えるだけで手一杯の状況だ。プログラマティックネイティブに対する真の需要はまだ見られない」。

黎明期の混乱の最中

プログラマティックネイティブ業界の状況を正確に評価することは難しい。この言葉の意味がそもそもあいまいだからだ。

米インターネット広告業界団体「インタラクティブ広告協議会」(IAB)の定義によれば、一般的によく提供されるネイティブアドには、スポンサー記事、インフィード型、有料検索型、プロモーテッドリスティング型、そして関連の記事コンテンツに囲まれる形で配置されるインアド型といった種類がある(多くの人は、記事内の動画広告や記事内画像広告をネイティブアドとは考えていない。これらはせいぜいリッチメディアだ)。

多くのマーケターは、ネイティブアドの予算の大半をFacebookなどのソーシャルネットワークに振り向けている。残りの予算は、かなりの部分がFacebook以外の大手パブリッシャーのコンテンツスタジオに回される(自動的にではない)。そして余った予算が、インフィード広告のパートナーやネイティブアドのネットワークで使われているのだと、インタビューしたエージェンシーやベンダーは語っている。

是非をめぐるさまざまな見方

「アドエクスチェンジにネイティブの在庫はほとんどない」と、パブリッシャー向けアドプラットフォームを手がけるパブマティック(PubMatic)の共同創設者兼CEOラジーブ・ゴエル氏は話す。「ネイティブはいまのところ、我々の大きな関心事ではない。なぜなら、在庫がまだ初期の段階だからだ」。

だが、広告エージェンシーのPMGワールドワイド(PMG Worldwide)でシニアメディアディレクターを務めるクリスティーナ・フリーマン氏は、アドエクスチェンジにおいてネイティブアドの需要は確実にあると主張する。

ネイティブアドのプラットフォームを手がけるシェアスルー(Sharethrough)や、アドテクノロジー企業のトリプルリフト(TripleLift)、プログラマティック動画会社のティーズ(Teads)と仕事をした経験をもつフリーマン氏のチームは、プログラマティックを運用することで、ネイティブアドのネットワークを直接利用した場合に比べてCPMを50%削減できたという。

ただし問題もある。フリーマン氏によれば、「ネイティブアドがWebサイト上で実際にどのように見えるのかを確認できない」そうだ。

動画を中心に需要が急増

一方、シェアスルーのCEOダン・グリーンバーグ氏は、「ネイティブアドのリアルタイム入札を行なうブランドの支出の急激な増加が見られる」と強調する。

アドエクスチェンジで広告枠を購入するブランドは、2015年の292社から、2016年は2104社に増加。リアルタイム入札での購入は、動画を中心に、10カ月弱で500%以上増加した。ただし同社は、正確な収益の集計データ、インプレッション数、取引している広告数などは公開していない。

とはいえ、「プログラマティックネイティブはすでに、間違いなくリアルな存在だ」とグリーンバーグ氏は語る。

トリプルレフトの共同創設者兼最高戦略責任者(CSO)アリ・ルーイン氏も、「プログラマティックネイティブの需要に大幅な増加」が見られると話す。ルーイン氏によれば、同氏の会社がこの3カ月間にプログラマティックで取引したネイティブアドのインプレッション数は400億を超えたという。

また、同社のネイティブエクスチェンジは、現在までに62のデマンドサイドプラットフォーム(DSP)を統合している。同社でもっとも人気の高いネイティブアドのフォーマットは、動画、シネマグラフ、記事内画像、スポンサード記事だとルーイン氏は述べている。

適切なクライアントは少ない

広告主の視点から見ると、デジタルエージェンシーR/GAでメディアディレクターを務めるアンドリュー・ラ・フォンド氏は、ビッドテレクト(Bidtellect)のネイティブマーケティングプラットフォームで、あるクライアントのためにマネージドサービスモデル以上のテスト購入を行っている。「我々にはまだ、セルフサービス型のプログラマティックネイティブのオプションを試すのに適切なクライアントをもっていないし、タイミングではない」とラ・フォンド氏はいう。

ラ・フォンド氏の説明によれば、すべてのクライアントがネイティブを必要とするコンテンツをもっているわけではないし、すべてのエージェンシーが、ブランドのためにレシピを作成したり、銀行のために家計管理の記事を書いたりする力をもっているわけではない。また、クライアントによっては、プログラマティックネイティブが最優先の仕事に含まれていないため、予算を獲得してからコンテンツを作成して承認を得るまでに数カ月かかることがある。

「ブランドはおそらくこういうだろう。『この四半期中に予算を追加することはできないが、次の四半期にはたぶん追加できる』とね」とラ・フォンド氏。「よいかどうかは別にして、プログラマティック動画は、既存の15秒または30秒のテレビコマーシャルを利用できることから、採用が進む可能性はある」。

「状況は一夜で変わる可能性あり」

プログラマティックネイティブの採用はいまのところ、購入側より販売側のほうが速いペースで進んでいるようだが、これはほとんどのネイティブアドネットワークがサプライサイドプラットフォーム(SSP)になっているためだ。

一方、Googleは2015年にネイティブアドでのプログラマティックのサポートを開始し、2016年8月にはついに、この機能をデスクトップにまで拡大してパブリッシャーが利用できるようにした。だが、多くのデマンドサイドプラットフォーム(DSP)がネイティブをサポートできるテクノロジーを開発していないため「需要があまり多くない」のだと、プログラマティック企業のグッドウェイ・グループ(Goodway Group)の最高業務責任者(COO)ジェイ・フリードマン氏は語る。

「いまのところプログラマティックネイティブはまだ非常に少ないが、Facebookが彼らの需要を呼び込めば状況は一夜にして変わる可能性がある」とインスティンクティブのガンドハム氏は指摘する。「ただし、このような状況がいつはじまるのか、ディスプレイとネイティブのどちらにより重点が置かれるのかは、まだわからない。さらに、マーケターはオープンなWebだとユーザー体験の質に一貫性がなさすぎると考え、Facebook以外のネイティブを購入するかどうかは、まだわからない」。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)