Snapchatの新広告プロダクト、販促資料で明らかに:「スナップ・トゥ・アンロック」の全容

Snapchat(スナップチャット)から社名変更したSnap(スナップ)が、新規株式公開(IPO)を準備しつつ、広告主を獲得すべく懸命に取り組んでいる。これまでに、新規採用を盛んに行い、広告主による広告出稿を容易にするAPIをローンチしたほか、広告のパフォーマンスを追跡する外部の測定企業とも提携した。

Snapが最近エージェンシーに提示している販促資料からも、同社の広告獲得への力の入れようが伝わってくる。同プラットフォームを使いにくいと考えているようなブランドにとって、Snapchatの広告プロダクトをより魅力的なものにしようというのだ。

この資料は、価格や指標ではなく広告フォーマットを紹介するものだが、そのなかで売り込んでいる新しい特徴は、Snapchatの広告の独自性を明らかにしている。

新メニュー「スナップ・トゥ・アンロック」

その資料で、Snapが売り込んでいる新しい広告プロダクトが、「スナップ・トゥ・アンロック(Snap to Unlock)」だ。これを利用すれば、スナップコードを読んでもらうことで、同アプリをブラウザのように利用させることができる。このメニューは、すでに一部のブランドでは利用されており、以下の『ウォーキング・デッド(The Walking Dead)』のツイートがそのいい例だ。

これまで、スナップコードは、フレンドを追加する際に利用するツールだった。だが、「スナップ・トゥ・アンロック」により、まさにQRコードのように利用されるようになる。アメリカではデイリーのアクティブユーザーが1億5000万人を超えるSnapchat。街角のポスターなどからWebサイトへ誘導する場合、QRコードを利用するより、スナップコードで代用した方が、より早く広まることは間違いない。

Snapは別の文書で、四半期支出が75万ドル(約7500万円)といった一定の条件を満たす広告主が、「スナップ・トゥ・アンロック」の機能を11月から利用できると説明。ちなみに、この文書に掲載されたスナップコード(下の画像に含まれるお化けのアイコン)をSnapchatアプリで撮影すると、過去の通常メニューの成功事例を閲覧できる。この閲覧機能こそが「スナップ・トゥ・アンロック」だ。

広告主向けに新機能を説明したSnapの資料

広告主向けに新機能を説明したSnapの資料

この事例集では、5月5日のメキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ」に2億2400万ビューを獲得したタコベルのスポンサーレンズや、400万ユーザーに訴求しブランド認知度が11ポイント増加したというトローリ(Trolli)の「スナップ広告(Snap Ads)」キャンペーンのほか、クラフト(Kraft) 、ゲータレード(Gatorade) 、コカ・コーラ(Coca-Cola)などのケーススタディが紹介されている。

Snapchatの「サクセスストーリー」

Snapchatの「サクセスストーリー」

その他のオススメ商品

Snapchatの広告プロダクトは安くない。祝日がテーマのパッケージは通常、費用が高くなる傾向がある。同資料でSnapは、祝日をテーマとした「ライブストーリー(Live Stories)」のパッケージも売り込んでおり、これは590万~860万インプレッションのリーチで最大30万ドル(約3000万円:推計のCPMはおよそ2500~3700円)となるという。

これは同社が2016年夏にリリースした、CPMを従来の2倍の40ドル(約4000円)にしたインタラクティブ動画広告よりも安いが、非インタラクティブ系動画広告よりは高い。Snapはまた、祝日向け「レンズ」の買い手も募集している。推計1000万~2000万アンロックの料金が最大65万ドル(約6500万円)だ。

Snapchatはスポーツ向けパッケージも売り込んでいる。スーパーボウルのパッケージは、価格の詳細は明らかにしなかったものの(2015年のスーパーボウルの際は、180万ドル[約1億8000万円]の広告販売を試みた)、予算は22万5000ドル(約2250万円)だとしていた。ほかに、9万5000~450万ドル(約950万〜4億5000万円)の全米プロバスケットボール協会(NBA)パッケージや、15万ドル~60万ドル(約1500万〜6000万円)の全米大学体育協会(NCAA)およびそのトーナメント「マーチ・マッドネス」のパッケージも売り込んでいる。これらのパッケージについては詳細がなかった(価格はすべて、米DIGIDAYに提供された販促資料とは別のSnapの文書に基づく。同社はこの記事へのコメントを避けた)。

さらなる新機能広告も

Snapは同時に、マーケターが使いやすいようにする試みも行っている。広告主はSnapchatを利用する若いオーディエンスへのリーチを熱望しており、同社も米国の18~34歳の41%にリーチしていると主張している。その一方で、「ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)」の報道によると、Snapは、ほかのプラットフォームで出した広告の再利用ではない、特色のある広告の制作を強く要望。そのため、同アプリの広告クリエイティブへのコントロールが厳しくなるとともに、承認にかかる時間も長くなることで、広告主の不満を招いているという。

Snapchatの特色ある広告プロダクトとして、ブランドのロゴをユーザーがスナップに追加できるようにするレンズと、特定の場所にいるユーザーだけがスナップに画像を追加できるジオフィルターの2つがある。レンズについては、顔だけではなくスナップの背景にオブジェクトを追加できる3Dレンズを売り込んでいる。「ビーツ・バイ・ドクター・ドレー(Beats by Dr. Dre)の3Dレンズの例を以下に紹介しよう。

ビーツ・バイ・ドクター・ドレーの3Dレンズ利用例

ビーツ・バイ・ドクター・ドレーの3Dレンズ利用例

「彼らは広告ユニット内でイノベーションを進めている。新機能やバリエーションを追加して、オーディエンスに広告との新たなインタラクションの方法を提供したり、イマーシブ(没入的)な広告体験をもたらしたりしている」と、広告代理店RPAのデジタル戦略マネージャー、マイク・ドセット氏は評価する。

Snapはまた、記事、ロングフォーム動画、アプリのインストールといった、広告へのアタッチメントを推進している。資料で挙げられた例は、ベアミネラル(bareMinerals)の動画広告で、1分以上に渡って化粧をする女性を映している(右下の画像はスクリーンショット)。

ロングフォーム動画広告の例

ロングフォーム動画広告の例

ストーリーテリングの場として

「思うに、彼らはストーリーテリングのプラットフォームとして売り込みたいのだろう。短いスナップでは、長めのストーリーを語れないから」と、クリエイティブエージェンシー、メディアキッチン(The Media Kitchen)でアソシエイトディレクターを務めるコートニー・ブラント氏は指摘する。「ロングフォームは、その問題に対する彼らの回答だ。動画であれ記事であれ、長めのストーリーを伝える機会として、アタッチメントを位置づけている」。

Snapはまた、アタッチメントではSnapchat特有のスタイルである縦動画ではなく、横向きの動画を広告主が使えるようにしている。これにより、一部のブランドにとっては導入の敷居が下がるだろう、とブラント氏は予想する。「CPMが高くなり、トップのスナップにはSnapchat向けのものが必要になる。それでも、ブランドによっては、すべてを縦動画で撮影するのは無理かもしれない」。

測定手段がないことも、広告主たちがSnapchatに抱く不満だった。しかし、複数のエージェンシーによると、Snapはレンズの平均利用時間や動画の視聴完遂率といった指標を共有するなど、さまざまな広告プロダクトでパフォーマンス予測の透明性を高めてきたという。エージェンシーに提供されたSnapの文書では、スナップ広告、ジオフィルター、レンズといったSnapchatの各広告プロダクトについて、以前に発表したDoubleClick(ダブルクリック)、ニールセン(Nielsen)、ミルウォード・ブラウン(Millward Brown)といったサードパーティーとの提携を通じ、リーチやパフォーマンスを測定していくことを説明している。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)