なぜ Snapchat のインフルエンサー処遇はお粗末なのか?

ローレン・リーヒマキ氏はDIY関連のインフルエンサーだ。LaurDIYというアカウント名で彼女は、YouTubeで500万人のサブスクライバーを抱え、Twitterとインスタグラムではそれぞれ200万人、そしてFacebookでは40万人によってフォローされている。Snapchat(スナップチャット)では、スナップ1枚ごとに25万ビューを平均して叩き出す。

ソーシャル界のスターであるリーヒマキ氏は当然、これらのプラットフォームから特別待遇を受けている。新しい機能が追加されたときはYouTubeのワークショップを受け、FacebookとTwitter、そしてインスタグラムからパフォーマンスアナリティクスを受け取っている。

しかし、Snapchatは例外だ。何の特別待遇も受けていないという。Snapchatで彼女は非活動的なわけではない。つい最近も、フォーエバー21(Forever 21)、ディズニー(Disney)、そしてマッド・ジーンズ(Mudd Jeans)のブランデッドコンテンツを公開したばかりだ。

「全員がインフルエンサー」

「私のSnapchatのフォロワーがどこ出身で、実際に何人いるかということすら知らない。Snapchatの誰とも会話をしたことがない」と、リーヒマキ氏は語る。

この状況は彼女だけではない。Snapchatに特化したグラフィックデザイナーであるサイリーン・クイアムコ氏は、スナップごとの平均ビュー数が数十万回になるインフルエンサーだ。ウォルマート、AMC、コカ・コーラといった大ブランドを相手に、月3回はプロモーションコンテンツを制作している。彼女もまたSnapchatと何の特別な関係を築いていない。Facebook上のインフルエンサーグループや独学でSnapchatについて学んできた。

「『全員がインフルエンサーだ』というのがSnapchatのポリシーだからだと思う。これでユーザーたちはもっとクリエイティブになろうとする。でも同時に、Snapchat上の全員がコンテンツを作りたいと思っているわけではない。だから、私は全員を同じように扱うというのは正しいやり方だと思う」と、クイアムコ氏は言う。

各社のインフルエンサー処遇

ソーシャルネットワークは、有名人やインフルエンサーたちと関係性を築こうとするのが通例だ。プラットフォーム上に人々がより長く滞在してくれるようなコンテンツ作りを促すためだ。YouTubeがはじめたYouTubeクリエイターズというプログラムがその一例だろう。サブスクライバーの数が伸びるに従い、選ばれたアカウントのユーザーたちが特別な待遇を受けられたり、イベントに参加したり、彼らのリソースを利用できるようになる。

Twitterは2015年にクリエーターネットワークのニッチ(Niche)を買収し、そこに所属するインフルエンサーの規模を2500人から4万人まで増やした。適切だと判断したときには、ニッチのクリエーターのポストを優先的に表示させるということもTwitterは行っている。Facebookとインスタグラムは影響力の大きいユーザーに対してアカウントアナリティクスのツールを提供。これは通常のユーザーには公開されていない。

しかし、Snapchatは違う。現時点ではインフルエンサーマーケティングに焦点を絞ってはいない。Snapchatの広報担当者によると、ソーシャル界のスターであっても、ほかのユーザーと同じように利用してもらうことで信頼性を確保しているという。また外部にアウトソースしてしまうことで、プラットフォーム上の広告のコントロールを失ってしまわないようにしているとのことだ。

とはいえ、親会社のSnap Inc.には自社持ちのパートナーシップチームがある。公式ストーリーをマネージメントすることを目的に、2015年に設立されたこのチームは、クリッシー・テイゲンやミシェル・オバマのストーリーなどを扱ってきたと、担当者は語る。

コミュニティーの不在

Snapchatでは約2/3のユーザーが広告をスキップしている。そのためエージェンシーの幹部たちには、YouTubeやインスタグラムを見習ってインフルエンサーマーケティングのコミュニティを上手くマネタイズするべきだと考えている者も多い。

「インフルエンサーマーケティングはSnapchatでとても盛んだ。Snapchatが透明性、信頼性を失いたくないというのは知っているが、インフルエンサーマーケティング業界に食い込むための手段が何かあるべきだ」と語るのは、エージェンシーであるキャロット・クリエイティブ(Carrot Creative)のシニアエンゲージメントマネージャー、シエラ・パーラー氏だ。

Snapchatにおけるブランドとスターたちにとっての最大の障害は、おそらくディスカバリー機能だろう。インフルエンサーテック会社であるシュート(Chute)のシニアマーケティングマネージャー、モニカ・ワトソン氏は、SnapchatはTwitterよりも初期のFacebookに似ていると考えている。人気のクリエーターを中心にコミュニティー形成を促すといったことが行われていない。その代わりに、すでにユーザーたちが気に入っている友人や有名人たちと、コミュニケーションをとるために使われているのだ。

開かれつつあるSnapchat

「Snapchatで誰がエンゲージメントの駆動となっているのか、それが可視化されるようなリーダーの集まりというのが存在していない。そのためマーケターたちはほかのプラットフォームでインフルエンサーたちを見つけて、それから彼らの(Snapchatでの)ビュー数がスポンサーに値するものかどうかを調べている。これはインスタグラムのストーリーズがSnapchatよりも優れている点だ」と、ワトソン氏は語る。

しかし、Snapchatが改善していないというわけではない。去年の1月に彼らは、カスタマイズQRスナップコードというのを開始した。これによってプラットフォームと、ほかのウェブサイトをつなげることができるようになった。

また同月、APIを公開した。これによって、第三者のベンダーが介入して、ビュー数、リプレイ、スクリーンショットといったメトリックスを広告主がキープできるようになった。ワトソン氏によると、オープンもしくはコンペティションのレートを作ることすらできるという。しかし、こういったアナリティクスサービスは無料ではない。

YouTubeを参考にすべき

リーヒマキ氏のようなソーシャルスターを抱えるタレントエージェンシー、セレクトマネージメント(Select Management)のファウンダーであるスコット・フィッシャー氏は、まだ若い会社としてSnapchatはインフルエンサーを巻き込んだ状況をより盛り上げる必要があると考える。インスタグラムのストーリーズが出てきたいまは、特にそうだ。彼のエージェンシーに所属しているタレントたちは、Snapchatよりもインスタグラムの方で高いビュー数をもっているという。

「YouTubeは10年も存在してきた。そのためコンテンツクリエーターとパートナーを組むことを学んだ。Snapchatといった、ほかのネットワークたちも徐々に学んでいくだろう」とフィッシャー氏は語った。

Yuyu Chen(原文 / 訳:塚本 紺)