Twitterの「購入」ボタンに、飛びつく中小企業:販売機会の幅広がるeコマース

2014年9月よりテスト運用されてきたTwitterの「購入(Buy)」ボタンが、2015年9月30日よりアメリカにて本格運用が開始された。これにより、数百万もの中小企業がこぞって、ソーシャル内での商取引に挑戦し始めている。

Twitterは、eコマースのソフトウェアプラットフォームを提供するディマンドウェア、ビッグコマースとショピファイ3社との協業を実現。これらのプラットフォームにおいて、eコマース店舗を運営する企業が「購入」ボタンを利用できるようにした。「購入」ボタンは企業からのプロモツイートと、商品リンクのツイート内に表示される。

eコマースプラットフォームと協業

仮にビヨンセが、先述のビッグコマースが運営する、簡易的なメタリックタトゥーのブランド「フラッシュタトゥー」とのコラボレーションについてツイートしたとしよう。それは同社にとって、大規模なコンバージョンに繋がることを意味するはずだ。

もっともビヨンセは2013年以降、ツイートを行っていないようだが、それでも「フラッシュタトゥー」は彼女とのコラボがソーシャルメディアのバズを引き起こすことに賭けている。そして、ビヨンセと「フラッシュタトゥー」のファンが、Twitter上でその情報をキャッチすれば、そこに「購入」ボタンが設置されているのを見つけるだろう。

‘Fierce, Flawless and Fabulous’ like its #beyoncexflashtattoos’ description! #Beyoncé

voguethailandさん(@voguethailand)が投稿した写真 –

Vogueのインスタグラムに掲載された、ビヨンセと「フラッシュタトゥー」のコラボアイテム

「私たちのブランドは、ソーシャルメディアの口コミによって成長した」と、「フラッシュタトゥー」の創設者であるミランダ・バーネット氏は話す。タトゥーのビジュアル性によりインスタグラムはとても重要なプラットフォームであったが、Twitterの「購入」ボタンがブランドの新たな成長につながることをチームは願っているともバーネット氏は付け加えた。

「私たちのマーケティングで、もっとも重要なことは口コミです。ファンたちが着用し、商品を共有する」と、バーネット氏は言う。「リアルタイムな反応を見て、会話を弾ませ、顧客の意識を変えるためにツイートする」。

買い物への抵抗感なくせる

Twitterがソフトウェア企業ストライプ・リレイの技術を採用した「購入」ボタンを導入した理由には、商品購入に対する違和感をなくすためだ。ユーザーは一度だけクレジットカード情報と住所情報を入力するだけでいい。1つの商品ページと2回のクリックで、直接Twitter内で購入できるようになる。上記の3つのプラットフォーム以外にも、オンライン靴販売のPacSunとスポーツアパレル大手アディダスが「購入」ボタンを導入する予定だ。

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実際に「BUY」ボタンが表示されたTwitter投稿

男性用の美しく装飾されたギフトボックスに特化したオンラインの小売業者である「マン・クレイツ」は、「購入」ボタンを導入する別のビッグコマースブランドだ。創設者であるジョー・ビークマン氏によると、「マン・クレイツ」はソーシャルメディアとコマースをつなぐ、早期のプレイヤーになることが目標という。彼はこのことについて「世界の動き」と話している。

「仮に数年後、『購入』ボタンとはまったく違う仕組みについて話していても、これがソーシャルアクティビティと購入をつなぎ合わせる最初のステップになる」と、ビークマン氏は話した。「私たちは最初のイノベーションを見ている」。

だが、多くのブランドは「購入」ボタンの技術に懸念を示す。Twitterのような第三者プラットフォームで取引を容易にするには、ブランドは顧客データと購入エクスペリエンスの管理を放棄しなくてはならないからである。しかし、まだ小さく、成長過程である「フラッシュタトゥー」と「マン・クレイツ」の両社とも、新たな顧客を獲得できる魅力は、ほかの懸念事項すべてに勝ると話した。

「物流の懸念よりも、商品をより広い範囲に提供することの方を優先します」と、バーネット氏は話す。

「購入」ボタンは諸刃の剣

ビークマン氏によると、Twitterは最高のスタート地点だと付け加え、「マン・クレイツ」はインスタグラムや写真共有プラットフォームPinterest(ピンタレスト)など、ほかのプラットフォームでの「購入」ボタンの試験的運用に賛成するとも話した。

インスタグラムも、すべての企業を対象とした独自の「購入」ボタンを最近開設したが、広告のみにしか使用できない。結果として、オシャレな場であったはずのインスタグラムに、近所のスーパーのいまいちイケていない広告が表示されるようになってしまった。

しかし、そもそもさまざまな情報が行き交うTwitterは、当面このような心配はしなくてもよいだろう。

Hilary Milnes(原文 / 訳:小嶋太一郎)
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