フィンテックは5年で日本を様変わりさせる:SBI北尾吉孝氏

今月1日に東京都渋谷区で開かれた「FinTech Japan 2016」。SBIホールディングスCEOの北尾吉孝氏は数年で金融業界の急激なデジタル化が進むと予測した。ネット証券・バンキングのコングロマリットを17年で築き上げた、日本のインターネット産業の主要ベンチャーキャピタリストである北尾氏は、フィンテックの新しい生態系を築くことに意欲を示し「日本はこの5年で様変わりする」と語った。

SBIインベストメントはフィンテック企業への投資を目的とした「FinTechファンド」を組成し、300億円をSBIグループ、横浜銀行や島根県・山陰合同銀行といった地方銀行など金融機関20数行から集めた。ファンドは約70億円をフィンテックスタートアップ27社に投資していると北尾氏は説明した。

SBIはこのFinTechファンドを通じ、あるいは単体で、小誌で取り上げた会計ソフトウェアfreee、暗号通貨取引所bitFlyerに投資している。北尾氏は日経新聞による評価額を参照し、freeeが315億円、マネーフォワードが230億円、bitFlyerが200億円だと主張。FinTechファンドの出資先では2017年に3社、2018年に4社の上場などによるイグジットを見込んでいると話した。

freee、マネーフォワードに関しては「会計ソフトウェアだけでは価値にならない。トランザクション・レンディング(オンライン上の取引データを基にされる融資)で価値が出る」と語った。

SBIのフィンテック投資はとても戦略的だ。事業領域が重なる部分のある複数のスタートアップに投資している。同時に自社のユニットとの協業も進めており、投資と事業展開の両面を補うようだ。

SBIは米決済スタートアップRippleとは出資比率60:40で合弁会社SBI Ripple Asiaを設立。日本の金融機関42行とコンソーシアムを発足。全銀ネットやSWIFT(スイフト)を活用しない銀行間決済を目指している。北尾氏は「ブロックチェーンを使い国内外の送金オペレーションを一元化し、手数料を一気に引き下げる。いまの送金手数料は預金金利を考えると高すぎる。送金革命を起こす」と語った。

傘下の住信SBIネット銀行はfreee、マネーフォワードとはAPI連携をし、WealthNaviとはモバイルアプリ連携、少額資産運用サービスの開発を行う。

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北尾吉孝氏(SBIホールディングス代表取締役 執行役員社長)[撮影:吉田拓史]

北尾氏は2000年代以降、世界の時価総額ランクで上位をインターネット企業が食い込んでいることを指摘する一方、2000年代初頭のドットコムバブル崩壊を引き合いに出し「ベンチャーのほとんどは潰れる。ベンチャーは要素技術だけをもっているに過ぎず、マネタイズできない。そこを我々が支援する」。

「日本はこの5年で様変わりする。ものすごい革命になる。今度の革命は我々日本人もアジアにおいて主導権を取るようにしないといけない。欧米企業とも手を組んでいく。ガラパゴスになってはいけない」。

Written by 吉田拓史
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