訃報:電子メールの発明者レイ・トムリンソン氏が逝去

インターネットユーザーなら誰もが利用する電子メールの礎を築いたエンジニア、レイ・トムリンソン氏が2016年3月5日、この世を去った。74歳だった。

トムリンソン氏は1971年に、コンピュータ・ネットワーク上ではじめての個人間メッセージである電子メールを生み出した。それと同時に、いまではメールアドレスの代名詞とも言える記号となった「@(アットマーク)」を最初に使用した人物でもある。

同氏が勤務した米軍需機器メーカーのレイセオン社は、「彼はネットワーク化されたコンピュータ時代の黎明期に、電子メールという技術をもたらしたのだ」との声明を出している。また、当時は現在のようなインターネットは存在せず、最初の電子メールがやりとりされたのは、インターネットの原型となった米国防総省の研究ネットワークである「アーパネット(ARPANET)」であった。なお、レイセオン社の声明では、トムリンソン氏の死因については明らかにしていない。

レイ・トムリンソン氏

レイ・トムリンソン氏

米テック系メディア「The Verge」による2012年のインタビューにおいてトムリンソン氏は、電子メールを開発した経緯について「電話でのコミュニケーションを成立させるためには、誰かが受話器の前にいなければならないという問題があった」と話す。

当時はボイスメールといった留守番電話サービスが一般化していなかった時代でもあり、コンピュータユーザーにとって便利な情報伝達手段として、広く使われるようになったと述べていた。

ネット上では、ちょっとしたジョークを交えながらも、彼への賛辞の言葉が多数寄せられ続けている。

 

トムリンソンさん、電子メールを発明し、世界に「@」をもたらしてくれてありがとう。ご冥福をお祈りします(@Gmail)。

 

おお、偉大なる電子メールの発明者が天に召された。遺族は献花のかわりにナイジェリア王子へと寄付をするようにと呼びかけている(電子メールを悪用した国際的な詐欺の手口である「ナイジェリア詐欺」を皮肉った投稿)。

 

安らかに眠れ。レイ・トムリンソン。人類史上もっともポピュラーで、(たぶん)革新的なコミュニケーションツールの創造者よ。

 

トムリンソン氏は自身の発明について、「世界中の人々が1日あたり1000億通もの電子メールをやりとりしている」として、驚きをあらわにしていたという。それは彼の目に、自らが生み出したシステムが世界を征服してしまうようにも見えたのかもしれない。

さらにトムリンソン氏は、「現在の電子メールについて、だいたい自分が想定していたとおりの使われ方をしていると思っている。これは厳密に使用法を定められたツールや、個人的な連絡手段としてだけ使われるべきものではなく、誰もがさまざまな方法で使うべきものだ」とも話す。「そしてそれぞれの使い方によって、きっとタメになる効果を発揮するはずだ」。

昨今ではLINEなどのメッセンジャーが普及して存在感を薄れさせている側面もあるが、企業のサービスではなくインターネットの基幹システムのひとつである電子メール。時代が移っても、長く使われ続けていくことになるであろう一方、前出のナイジェリア詐欺やスパムメールのような問題の温床になってもいる。開発者が残した利用の自由度を、健全に活かすも負の方向へと傾けるのも、現在の利用者の考え方次第ということになりそうだ。

Jordan Valinsky(原文 / 訳:ワタナベダイスケ)
Image via Thinkstock / Getty Images、Wikimedia Commons