LINE上場、いまこそ確認しておきたい6つのグラフ:スケール、収益性、機能など

全米が「ポケモンGO」フィーバーに浮かれるなか、ニューヨーク証券取引所で14日、LINEが上場を果たした。NHKの報道によると、時価総額は9000億円となり、日米あわせて2016年最大の上場になるという。

日本人に向けて、LINEを説明するのに多くの言葉は必要ない。Facebookの「Messenger(メッセンジャー)」「WhatsApp(ワッツアップ)」、中国で巨大帝国を築き上げるテンセントの「WeChat(微信)」を差し置き、日本国内およびアジアの一部地域で絶大な支持を受けているメッセージングアプリだ。

より多くの人々が、自身のモバイルライフにおいて、こうしたアプリに依存するようになったいま、ブランドやパブリッシャーのグロースはそれをいかに有効活用するかにかかっている。いまこそ、そんなLINEの置かれた状況を、以下の6つのグラフで再確認しておきたい。

スケール

東北大震災に見舞われた2011年、新しい通信手段としてLINEは日本で誕生した。グローバルウェブインデックスのデータによれば、日本におけるLINEのシェア率は、ほぼ100%に近い。タイ、台湾、インドネシアでも、ほぼ同様のシェア率となっている。アメリカでは、約12%のシェア率だ。

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IPOによってLINEは、WhatsAppやSnapchat(スナップチャット)、Facebook Messengerのような競合他社を抑え、アジア以外の地域にも拡大したいと考えているのだろう。

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LINEの月間ユニークユーザーは、およそ2.18億人。いま現在もその成長は続いているが、WhatsAppの月間10億ユーザー、Facebook Messengerの月間9億ユーザーと比較すると、かなり見劣りはする。

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LINEのユーザー数は、増加しているが、同社の資料によると頭打ちしている様子だ。クォーツの記事においてジョシュ・ホロウィッツ氏は、このような成長の鈍化に先駆けて、LINEは2年前にIPOするべきだったのではないかと指摘している。

機能性

しかし、調査会社IHSテクノロジー(IHS Technology)のモバイル関連ディレクターのジャック・ケント氏は、巨大なグローバルプレイヤーと比較するよりも、特異性がLINEを救うを信じているという。

「LINEはメッセージングやコミュニケーションという枠を超えて、コンテンツやサービスのプラットフォームを提供することで、日本市場における足場を確立している」と、ケント氏は米DIGIDAYに語った。「スタンプやパーソナライズ機能のリリースは序章に過ぎなかった。そのあとすぐに、ゲームや音楽、ペイメント、タクシーサービスなどを統合している」。

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ブランドにとっては、メッセージングアプリのエコシステムを有効活用できる、多くの手段が存在している。チャットボットなどだ。LINEのCEO、出澤剛氏は4月、シンガポールで開催された「テックインアジア」で、こう語った。

「ボットの存在はより大きくなるだろう。そして、我々はそれらを積極的に拡大していく」と、出澤氏。「ボットを活用することで、より高いユーザー数を与えることができる」。

パブリッシャー向けには、競合他社と比べて、さらに多くの機能を提供している。エコノミストは、週刊誌のコンテンツをシェアするために、LINEを利用。CNNはパーソナライズニュースを配信するために、LINEのボットを使った。BBCは、アニメーションの動画を、LINEのタイムラインへ提供している。スタンプや絵文字、GIFなどを通して、コンテンツを提供したり、個別に語りかけるためのオプションは、たとえばFacebook Messengerよりも進んでいるといっていいだろう。

先述のアナリスト、ジャック・ケント氏はこのように指摘する。「多くのハイテク企業は、ユーザー獲得によって成長を加速させる必要がある。収益化の実現と収益性の向上を成し得なくてはいけないからだ」。

収益性

LINEの収益は、2014年から2015年にかけて40%増加した。比較すると、Facebook Messengerはまだ収益化を計画している段階で、WhatsAppはおよそ4900万ドル(約51億円)しか収益化できていない。しかし、これらのプレイヤーは2020年にはLINEよりも高い収益率に達するとドイツ銀行は予測している(WhatsAppは48億ドル[約5000億円]、Messengerは42億ドル[約4400億円])。

ドイツ銀行はまた、LINEがユニークユーザーから得られる収益の量は9ドルであることも計算した。WhatsAppとFacebook Messengerは、これが3ドルに落ちる。

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LINEの収益は、投資家に安心材料となっている。だが、同社の資料によると、それが利益には反映されてはいないようだ。プラス面としては、多様な収益口があることがあげられる。広告だけでなく、グッズやデジタル関連商品などだ。

収益の内容としては、まずゲームやLINEミュージック、LINE TVなどのコンテンツ収益。そして、スタンプの販売などによる、コミュニケーション収益。さらにブランドボットの提供、LINEタクシー、LINEペイ(オフライン支払いシステム)、そして実店舗によるブランドグッズの販売など、その他の収益も挙げられる。

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グローバルにすべてのサービスを展開するのは、コスト高になる。そして、スタンプの販売は、日本のユーザーに特化したものだ。したがって、他国の市場に同じような戦略で打って出ることは難しいことが予想される。

「LINEは、地域に特化したコンテンツやサービスを提供しなくてはいけない。それがうまく機能すれば、競争することはできるだろう」と、ケント氏は付け加えた。

Lucinda Southern(原文 / 訳:長田真)