インスタグラム、ストーリーの「キャンバス広告」を開始:おおむね好評だが制約はあり

Facebookは9月12日、待望の「キャンバス広告」フォーマットをようやくインスタグラムの「ストーリー」に導入した。広告主はひとつの広告枠内にカルーセル式の画像やテキストベースのクリエイティブを掲載し、ストーリーを利用している2億5000万人のユーザーに、自社の製品やサービスのプロモーションを行えるようになった。

筆者が接触した広告エージェンシー9社のうち、インスタグラムのストーリーでキャンバス広告ユニットをテスト済みなのは2社だけだった。だが、大多数はこの動きを歓迎し、インスタグラムの広告がより没入型で購入しやすくなることを見越して、活用してみたいと述べている(このインスタグラムのブログ投稿を見れば、ストーリーのキャンバス広告がどういう雰囲気かわかる)。

エージェンシーの第一印象

エージェンシーのRPAは、インスタグラムのキャンバス広告をいち早く導入した。同社のデジタル戦略担当アソシエイトディレクターであるマイク・ドセット氏によると、うまくやれば、ブランドはストーリーの広告でインスタグラムユーザーの注目を集められたが、注目を集めてそれからどうするかという選択肢が以前は限られていたという。

インスタグラムのストーリー内のキャンバス広告では、ただクリックしてモバイルサイトにアクセスするにとどまらず、より視覚的でインタラクティブな体験によって、広告主がアプリ内で集めたアテンションを活用できるそうだ。同氏は、「ベータ版に関する通常よりも厳しい機密保持契約」により、初期のテストにおけるインスタグラムのキャンバス広告のパフォーマンスを具体的な数字で示すのは避けた。

ソーシャルメディアエージェンシーのエピックシグナル(Epic Signal)は近々、ストーリー内にキャンバス広告を掲載するキャンペーンを開始する。ソーシャル戦略担当ディレクターのジョシュ・ドリューディング氏は、結果がまちまちだったFacebookよりもストーリーのキャンバス広告のほうがエンゲージメントが高くなるだろうと予測している。

「多くのFacebookユーザーにとってまだ新鮮な体験だからだと思う。ユーザーにどのような行動を求めるかに関連するので、その辺を非常に明確にしなければならない。キャンバスを開くと、それはまったく新しい体験でありユーザーを圧倒できる。そして、インスタグラムのストーリーでは、通常のバーティカル(タテ型)広告よりもインタラクティブなバーティカル広告フォーマットの方が成功している。こうしたフォーマットはすでにユーザーに受け入れられているので、ユーザーはインスタグラムでのキャンバス広告体験にも好意的に反応するだろう」と、ドリューディング氏。

コストはいかほど?

メディアバイイングの観点からいえば、Audience Network(オーディエンスネットワーク)で提供されるので、ストーリーのキャンバス広告の料金はオークション形式となる。ドセット氏によると、この広告ユニットでは、CPMやCPV、支出の最低要件が決まっていないという。

ニューヨークを拠点とするエージェンシーのあるメディアディレクターが匿名を条件に語ったところ、広告主にクリエイティブがなく、インスタグラムでは新しい広告ユニットが普及するペースが遅いためだろうが、インスタグラムのストーリーの広告料金は通常、Facebookの平均的なCPMより低いという。Facebookのキャンバス広告の料金は、購入の規模やターゲティング、タイミング、広告ユニットの成功によって異なり、たとえば、CPMが5ドル未満のものもあれば、10ドルのものもあると、この幹部は語る。

インスタグラム向けのキャンバス広告は、最初の試験段階ではそれよりも低料金だが、そのうちに料金が上がると考えられる。

現状、垣間見える課題

メディアバイヤーはストーリーのキャンバス広告をおおむね歓迎しているが、ドセット氏はいまのところ、キャンバス広告はFacebookでもインスタグラムでも体験が同じというわけではないので制約があると指摘する。

「Facebookだとリンクが貼られたキャンバス広告やTilt to Pan画像、動画、360度動画のように、よりインタラクティブな機能もサポートされている。対して、インスタグラムのストーリーのキャンバス広告ではそれらは機能は現在サポートされていない。広告フォーマットをうまく利用し最適化するために、ブランドはクリエイティブの没入性を犠牲にせず、かつ両プラットフォームにうまく対応できる合理的なキャンバス広告の体験を作る必要がある」。

ドリューディング氏によると、Facebookは、クロスプラットフォームのメディア購入の点では効率性と一貫性を生み出し続けているが、広告クリエイティブにおいては、新しい縦長のバーティカルフォーマット(9:16)とともに、標準的な正方形(1:1)や横長の長方形(16:9)の広告フォーマット向けのコンテンツを制作しなくてはならないという課題も生んだ。

「被写体をフレームの中心に収めておく必要があるので、バーティカル広告フォーマットが流行して問題が生じている。1:1や16:9の比率で取り込まれたコンテンツをそのまま転用するわけにはいかないのだ。広告主がバーティカル広告ユニットをテストする機が熟している」と、ドリューディング氏は語る。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)