マーケターが出会う新たな動画プラットフォーム:Amazon Echo Show

Amazonは6月28日、Echo(エコー)シリーズの最新機種、Echo Show(エコーショー)を正式ローンチさせた。それを受け、パブリッシャー各社は、すぐさま同デバイス向けの動画に最適化したスキルを発表。しかし、Amazonはわずかなブランドとしか提携せず、批評家らは視覚的なスキルが不十分だと批判した。

とはいえ、定価230ドル(約2万5000円)のオーディオ動画デバイスには、熱い視線が集まっている。Amazonのスキルを最新のEcho Show向けに最適化するブランドが増えてきた。

キャンベルの事例

キャンベル(Campbell)とスターバックス(Starbucks)は、Echo Showのローンチから数週間、Echoのスキルに沿ったビジュアルアセットを開発している。カヤック(Kayak)をはじめとする、ほかのブランドも独自の体験を開発中だ。タッチスクリーンでありながら家庭用音声アシスタントでもあるEcho Showは、7インチ(約18センチ)のデバイスとなる。消費者は視覚的に情報を得ることができ、操作は音声および指先のタッチで行う。

キャンベルは2015年、Amazon Echoの立ち上げ当初に「キャンベルズキッチン」というスキルをローンチした初期ブランドの1社だ。いまは同様に先陣を切ってEcho Showに参入するブランドの一角を担う。最新のスキルでは、消費者が「Alexa(アレクサ)、キャンベルズキッチンを開いて」と発話すると、まな板でパプリカをカットする画像とともに「今日はどんなレシピがいい?」と尋ねるテキストが表示される。

スキルは、消費者に対して「夕飯のレシピ」など、いくつかの候補を提示する。そして、レシピの動画や画像および作り方などが画面に表示され、ユーザーはそれを繰り返し再生することが可能だ。同スキルで利用できるレシピ数は3000を超える。また、ユーザーは主な材料や調理法、また難易度ごとに検索することもできる。特定のレシピをあとで見返したい場合は、自分あてにメール送信すればよい。

さまざまなスキル

スターバックスが新たに開発したEcho Showのスキルを使えば、消費者は過去の注文リストを見て、希望の商品の番号を口頭でAlexaに伝え、素早く注文できる。スターバックスのカード残高を確認することも可能だ。

カヤックは7月11日、Echoのホテル予約スキルをリリースし、すでにアップグレード版を設計中だ。カヤックのチーフ・サイエンティストのマティアス・ケラー氏は、同社で同時にこのプロジェクトにかかわる人員は1〜10名だと話した。「カヤックにはAmazon専門チームはない。しかし、当社の人工知能イノベーションチームは、音声検索とAlexaスキルに非常に熱心で、ここ数カ月そこに注力していることは間違いない」。

アップグレード版スキルでキャンベルと提携するクリエイティブエージェンシー、レイン(Rain)の戦略ディレクターを務めるグレッグ・ヘッジ氏は、Echo ShowをAmazonファミリーの「ダーリン(寵児)」と呼ぶ。「音声体験を取り込み、それを多次元化する」と彼は説明する。

Amazonの普及戦略

設立以来、Amazonは積極的により多くの開発者を雇用してきた。同プラットフォームが開発者を誘致した手法のひとつが、必要機材一式を無料提供するというものだ。Amazonは、開発者向けのブログで、7月にスキルを構築した開発者のうち先着5000名に「Echo dotおよびAlexa開発者限定ソックス」を提供すると約束している。そうすれば彼らが「新しいことを試行しつつ、夢にふける」ことができるという触れ込みだ。Amazonはさらに、これから着手する開発者のため、Alexaスキルキットに新機能を追加した。

ヘッジ氏によると、少なくとも現段階では、ブランドは1セントもかけずに無料で視覚的なタッチポイントおよび体験をEcho Show端末に統合できる。その分、互換性のあるほかの事業同様、費用は視覚分野の製造業者そしてマーケターが自社の体験をどれほど安定させたいか、ということによって変化する。Amazonは、リスト、テキスト、画像、動画が組み込まれた9つのテンプレートを用意しており、開発者側はこれを組み合わせて自らのEcho Show体験に取り込むことが可能だ。

Amazonは値をつけないことでブランドがプラットフォーム上で体験を生み出す際に生じる摩擦も排除しており、それこそが人々がAlexaやAmazonに集まる要因だとヘッジ氏はいう。結局のところ、1万5000あるAlexaのスキルの多くは、ディスプレイがあってはじめて最大限の効果を生み出すのだ。その良い例がキャンベルのキッチンスキルだ。

「レシピは非常に視覚的なものだ」とヘッジ氏はいう。「チキンブロッコリーとチキンカッチャトーレの違いを耳で聞き分けるのは大変だ。それを視覚的に確認できるというのは、そのレシピを作りたくなるのか、またそれを選ぶのか、という点で大きな変化をもたらすものだ」。

パートナーサイドの見方

製造供給側もまた、このプロセスにおいてブランドを支援する専用のソフトウェアを売り出している。たとえばブライトコーブ(Brightcove)は7月11日に新しい「ジャンプスタート・フォー・エコーショー」を発表し、すでにブランド各社との協力体制を確立している。

デジタルマーケティングエージェンシーの360iで検索マーケティング担当バイスプレジデントを務めるジェイソン・ハートレー氏は、このデバイスが消費財、特に食品分野の顧客にとってもっとも有益であると確信する。これはブランドにとって、自らのスキルをEcho Showに活用できるチャンスだが、各社がとにかくこれに飛びつけばいいわけではない、と彼はいう。「この業界では、いろいろなものに飛びついてしまいがちだ」と、ハートレー氏は言う。「アプリが必要でスキルも必要。しかし、新しいテクノロジーが台頭してきたときはいつも、それが自分にふさわしいと強く感じるものだ」。

Amazonは新しいデバイスに呼び込もうと、ブランドに接近してくるだろう。だからといって参入ブランドは、多くのフィードバックを期待しない方がいい。Amazonは、消費者データに関しては口が堅いことで知られている。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:Conyac