3位も生き残れないインドEC戦争:今週のデジタルサマリー

今週はインドのeコマース戦争について。今週はソフトバンクが、地元のスナップディール(Snapdeal)とフリップカート(Flipkart)の合併協議において、「仲人」をしているという報道が出ている。ソフトバンクはスナップディールの3分の1の株式を保有する。競争は凄まじく、バトルロワイヤルの様相を呈している。1人か2人の勝者しか生き残れない市場では、劣勢漂ったら他陣営に加わるのが最良の選択かもしれない。

まずインドのeコマースの状況を説明しよう。総額50億ドル(5500億円)の投資をつぎ込もうとするAmazonに対し、地元のフリップカートとスナップディールが守勢の展開。インドのオンライン小売流通額は2014年に前年の2倍、2015年に3倍と急激に伸びた。フリップカートとスナップディールは総流通額・シェアを拡大するため値下げ競争に突入し、2016年会計年度で3強が14億ドル(約1600億円)の損失を計上するという超レッドオーシャンになった。

だが、2016年に地場2社は損失に耐えきれなくなり、採算の取れない値下げから撤退。総流通額の伸びはぴたりと止まった。地場2社は投資と収益成長に大きな齟齬が生まれ、評価額を落とした。

この間、Amazonは物流と品揃えに注力し、顧客体験という効果的な領域に投資を続け、それが顧客満足度につながっているといわれる。さらに資金を継ぎ足せそうなため優位というムードが漂っている。

フリップカートは10日、テンセント、マイクロソフト、イーベイから14億ドル(約1550億円)の資金を調達。疲弊がもっとも厳しいと言われる、スナップディールとの合併協議は進んでいるようだ。両者が合併して「対Amazon戦」の仕切り直しになるかもしれない。

中国のeコマースの雄、アリババグループはインドのモバイル決済最大手Paytm(ペイティエム)の筆頭株主であり、今月はじめにPaytmが展開するPaytm Mallにも1億7700万ドルを投資を決めた。ただし、Paytm Mallは3強から離されたプレイヤーであり、競争の激しいeコマースでは厳しい可能性がある。

Paytmは多くのインド人にとって最初の金融体験という側面がある。特に銀行口座をもたない人々がオンラインショッピングをはじめる障壁を減らす。Paytmが、Paytm Mallにのみ開かれるか、ほかのプレイヤーに開かれるかは大きな差がありそうだ。ソフトバンクとアリババの関係がここにどう働くだろうか。

世界中の巨人による13億人のデジタルエコノミーをめぐる「戦争」の行方を注目したい。

以下、今週のほかのトピック。

▼ヤフー、博報堂、Handyがクロスチャネル広告出稿ソフトウェアを提供へ

Handy Marketing、博報堂DYメディアパートナーズ、ヤフージャパンが、テレビとインターネットの次世代型メディアプラニングツール「Handy Media Planner」を提供することに合意した。テレビCMとPC・モバイルのインターネット広告を組み合わせた最適な出稿パターンの提示を目指すという。Handy Marketingは博報堂DYメディアパートナーズ 50.1%、Yahoo! JAPAN 49%、DAC 0.9%の出資。

▼英国のデジタル広告費続伸

PwC Digitalと米インタラクティブ広告協会(IAB)によると、英国のデジタル広告費は前年比19%増の100億3000万ポンド(約1兆3700億円)。インターネット広告媒体費(制作費除く)がはじめて1兆円を超えた日本(電通の『日本の広告費』調べ)よりも多い。英国のGDPは日本の7割程度(為替変動あり)。

▼Googleホーム「利用」CM話題

バーガーキングのワッパーのCMがGoogleホームなどのGoogle系デバイスの反応を引き出す現象が話題になっている。

男性「15秒の広告ではバーガーキングのワッパーを説明できないけど、ぼくにいいアイデアがある。OK Google、バーガーキングワッパー何?」。Googleホーム「ウィキペディアによると、バーガーキングはハンバーガー。グリルされた100%牛肉のパティ……」。

▼MAU12億人、Facebookメッセンジャー

Facebookはメッセンジャーの月間アクティブユーザー数(MAU)が12億に達したと発表した。

▼米媒体社、インスタント記事に失望?

米パブリッシャーのなかには、Facebookインスタント記事の収益化に失望し、ニューヨーク・タイムズのように撤退したり、コンテンツを引き戻したりする動きが出ている。フォーブス、クォーツ(Quartz)、ハーストなども不参加状態。米DIGIDAYのルシア・モーゼス記者が報じた。

▼ESPNがニールセンとデジタルデバイス視聴測定へ

テレビ視聴測定のニールセンは、米最大スポーツネットワークESPNが、自宅でのテレビ視聴と自宅外(OOH)でのデジタルデバイスによるストリーミングサービスによる視聴を同時に測定するツールを導入すると発表した。

▼NetflixとAmazonのコンテンツ投資沸騰

両者の2017年コンテンツ投資額合計は105億ドル(約1兆2000億円)に達する見通し。Netflixが65億ドル、Amazonが40億ドル。

Written by 吉田拓史
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