Facebook、サブスクリプション機能導入を媒体社と検討中:年内にリリース予定か

複数のパブリッシャーによると、Facebookは現在、同社のアプリにサブスクリプション購入機能を2017年中に追加する計画に取り組んでいるという。

2年前、読み込みの速いインスタント記事が導入されて以来、パブリッシャーはそうした機能を追加するようFacebookに働きかけてきた。インスタント記事は、読者をFacebookアプリ内にとどめることを意図した設計であり、パブリッシャーが自らのサイトでサブスクリプションを販売する機会を奪っているからだ。

詰めるべき詳細はまだ多く残っている。具体的には、どんなビジネスモデルを採用するか、購入者のどのデータをパブリッシャーに提供するか、売上をどう分配するかなどだ。Facebookは、まだ確定してはいないが、メーター制モデルに傾きつつあるという。

最新のメーター制の案は、1カ月に記事10本までを無料で閲覧でき、それ以降は有料購読が必要になるというもの。交渉内容を知る関係者によると、どの記事をメーター制の対象にするか、無料記事にするか、完全な有料記事にするかの決定権はパブリッシャーがもつことになりそうだという。

課金方法はまだ検討中

「Facebookは、サブスクリプションが効果的なビジネスモデルであることや、質の高いジャーナリズムが重要であり、読者はそれに対価を払うことを厭わないことを認識している」と、ウォールストリートジャーナル(The Wall Street Journal:以下、WSJ)のWSJメンバーシップ責任者カール・ウェルズ氏は語る。WSJは6月12日、Facebookのサブスクリプション開始について報じた

Facebookの広報担当者は、この計画について以下の声明を発表した。「我々は、パートナー企業と協力して、彼らのビジネスを把握し、各社がFacebookを通じてビジネスの価値を高めるのに役立つ方法を検討している。各社それぞれの目標やニーズを深く理解するため、時間をかけて進めているところだ」。

Facebookは、パブリッシャーに複数のオプションを用意するつもりらしい。当初の案は、定額ですべての媒体へのアクセスが可能になる「Netflix型」だった。この方式には、パブリッシャーへの売上配分をどうするか(閲覧時間ベースにするのか、個別サブスクリプションの価格に比例させるのか)という問題がある。その後、Facebookはメーター制モデルを提案。無料閲覧記事の上限は最初20本だったが、のちに10本になった。それでもまだ懸念は残る。パブリッシャーは、自社サイトとは異なり、ユーザーの閲覧履歴にもとづいてオファーを調整することができないのだ。

「カギになるのは、Facebookがどれだけ束縛してくるか、という点だ」と、あるパブリッシャーは指摘する。

懸念事項はほかにもある

支払い方式についても疑問は残る。インスタント記事を通じてのサブスクリプション販売がはじまると、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)など、 インスタント記事に反発し、撤退したパブリッシャーも利用を再検討するかもしれない。販売経路としてはGoogle PlayやAppleのApp Storeが考えられるが、いずれもデジタルプロダクトの売上の30%を徴収する。Facebookがそこへさらに自分たちの取り分を上乗せするかどうかは不透明だ。

別のやり方として、パブリッシャーがFacebookを通じてペイウォール(課金の壁)とモバイルでのサブスクリプションを導入するという手もある。こちらの場合、Facebookモバイルアプリのユーザーは、クリックでFacebookのアプリ内ブラウザに遷移し、当該パブリッシャーのサブスクリプションアカウントにログインするという手順になる。

さらなる問題は、サブスクリプション購入によって、パブリッシャーがどれだけ購入者のデータを収集できるようにするかという点だ。パブリッシャーにとって、こうしたデータは購入理由を知るために必要となる。検討中の案として、複数の媒体にまとめて有料登録したユーザーには割引を適用するというものがある。この場合、複数タイトルの同時購入であることを理由に、パブリッシャーが登録ユーザーデータへのアクセスを手放すかどうかという問題がある。

「我々は、課金関係とそこから派生するファーストパーティーデータを手放したくない」と、ウェルズ氏は言う。「サブスクリプション事業の目的は、パーソナライズを推し進めることにある。そうでなければ、画一的で機械的な対応になってしまう」。

ライバルたちの対応は?

Facebookのこうした動きは、Googleとは対照的だ。ペイウォールを設けるパブリッシャーによると、Googleは検索結果で彼らの順位を下げ、不当に罰しているという。それが嫌なら、Google検索経由のユーザーにはコンテンツを無料で閲覧できるようにしろ、というわけだ。サブスクリプションの売上を守るため、WSJはこの「抜け穴」を今年2月に塞いだ。その結果、今年5月のGoogleニュースからのトラフィックは前年比マイナス94%の激減となった。

WSJの親会社ニューズ・コーポレーション(News Corp)やフィナンシャルタイムズ(Financial Times)などのパブリッシャーは、Googleに前述のファーストクリックフリー制度の見直しを求めている。「Googleはプレミアム媒体をあからさまに罰している」と、ニューズのCEOを務めるロバート・トムソン氏は最近の講演で非難した。「検索の独占状態を図々しく悪用している」。Googleは2015年、サブスクリプション型パブリッシャーの溜飲を下げようと方針を修正したが、再度の見直しを計画しているようには見えない。

第3のプラットフォームであるApple Newsは、昨年サブスクリプション機能を設置し、パブリッシャーはこれを歓迎した。ただし、パブリッシャーがApple Newsから収益をあげる方法はこれ以外に何もない。また、Apple Newsで選択できる購読オプションはひとつしかなく、参照トラフィックのなかでのApple Newsの重要度は低い。この件についてAppleにコメントを求めたが、返答は得られていない。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)