Facebookが目論む「テレビ化」と 可能性を見出す広告主

テレビ業界は停滞しているように思えるかもしれないが、ソーシャルプラットフォームが模倣を試みるくらい、まだ十分に利益を出している。

Facebookは、ニュースフィードへの広告掲載場所が不足していることから、動画の提供を拡大し、テレビ広告用の予算を呼び込もうとしてきた。だが、そうした取り組みは課題に直面するだろう。

ロングフォーム動画はマーケターの利益になるかもしれないが、ニュースフィードはロングフォーム動画を組み込むのが難しい場所であり、ユーザーはまだフォーマットに慣れる必要がある。さらにFacebookは、テレビ広告予算を獲得する前に、質の高いコンテンツへの支出を増やす必要があるだろう。

広告獲得に一層役立つ

「Facebookの存在がテレビに近づけば近づくほど、そうした広告予算を獲得するうえで一層有利になるのは確かだ」と、メディアエージェンシーのグループM(GroupM)でペイドソーシャルを率いるキーリー・テイラー氏は指摘する。

Facebookは過去1カ月間に、ロングフォーム動画を優先するいくつかの行動を起こしてきた。アルゴリズムを微調整してロングフォーム動画の表示を増やし、90秒以上の動画に差し込まれるミッドロール広告をテストしはじめた

また、テレビ広告とデジタル広告を比較するツールをマーケターに提供し、セットトップボックス向けの動画アプリを開発中だと報じられている。ちなみにFacebookは、本記事に対するコメントを避けた。

必要なのはユーザー教育

「理論的にはうまくいく可能性があるが、ユーザーを引き込むくらい豊かで魅力的なコンテンツでなければならない」と、メディアブランド・ソサエティ(Mediabrands Society)のソーシャルメディア担当エグゼクティブディレクター、ジェームズ・ダグラス氏は語る。

Facebook上では現状、ユーザーはニュースフィードをすぐにスクロールする傾向があり、大半の動画は質が低い。したがって、Facebookは今後ユーザーに対し、フィード内のロングフォーム動画に時間をかける価値があると教え込む必要がある。

Facebookのショートフォーム動画でさえ、ユーザーに数秒以上視聴してもらうのが困難なこともある。グループMが実施した調査では、Facebook動画を10秒以上視聴した人の割合は10%に届かなかった。15秒以下の動画の場合、10秒以上視聴した人は5%未満だったという。

楽観的な一部バイヤー

だが、一部のバイヤーは依然として、コンテンツが向上すれば、Facebookは動画を視聴するつもりのユーザーを取り込めると考えている。

「ユーザーに教え込むというより、コンテンツ制作者の責任が大きくなる」と、エージェンシーのRPAでデジタル戦略スーパーバイザーを務めるレイチェル・フレッチャー氏は指摘する。「ロングフォーム動画は創造性に門戸を開く。それにより制作者は、『これは魅力的だろうか』という自問と『迅速にユーザーに見せる必要がある』というニーズのはざまで、自身のクリエイティブをしっかり吟味することになる」。

しかし、たとえ広告主がロングフォームにお金を出すとしても、長さ数分間の動画を埋め込むのに、ニュースフィードが理想的な場所かどうかは不明だ。

「ニュースフィードには独自の目的がある」と、エージェンシーのポシブル(Possible)のパートナーシップおよび新興メディア担当バイスプレジデント、ジャスティン・マーシャル氏は指摘する。「それに、集中力の持続時間が大きく異なる」。

今後想定される動画戦略

Facebookは、動画アプリのリリースを間近に控え、既存のアプリにも動画タブを追加した。情報筋はそうした状況から、Facebookがその基幹プラットフォームでロングフォーム動画を増やしてユーザーに慣れさせ、そのあとで動画を専用アプリに移行して大々的に宣伝するだろうと推測している。これは、Facebookが「Messenger(メッセンジャー)」をリリースしたときと同じやり方だ。それでもやはり、同プラットフォームは、広告主を引きつける水準の動画を増やす必要がある。

「YouTubeで広告主が出稿を望む動画を調べると、大金をかけて製作されたコンテンツだとわかる」と、テイラー氏は語る。「私の予想では、Facebookはいずれ、動画分野に進出した企業との提携を増やさざるをえないだろう」。

Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)