テスト準備が進む、Facebookの有料サブスクリプション機能

Facebookは、インスタント記事を通じてパブリケーションを有料購読にできる計画を進めている。本件に詳しい情報筋によると、まだ詳細は決まってはいないが、いまのところメーター課金とフリーミアムモデルでパブリッシャーをサポートすることになっているという。これらのオプションは、Facebookに懐疑的なニューヨーク・タイムズ(The New York Times)、ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)、エコノミスト(The Economist)など、メーター課金を導入するパブリッシャーに便宜を図ることになりそうだ。

本施策の具体的な中身

Facebookはパブリッシャーに対して、ほかの譲歩案を出しているという。前述の情報筋によると、自分たちのオーディエンスをよりよく理解できるようにパブリッシャーが要求している、サブスクライバーデータのすべてにアクセスできるようになるらしい。異なる企業のパブリケーションをまとめて人々に購入させるという物議を醸す提案は、いまは出されていない。また、パブリッシャーは、完全に自由に価格を設定できることも期待している。

ペイウォールに関しては現状、制限をより厳しくすることで、パブリッシャーを満足させられないかもしれない。新規有料購読契約を増やそうとペイウォール戦略で試行錯誤しているワシントン・ポスト(Washington Post)は2017年初頭、ひと月に閲覧できる無料記事をそれまでの5本から3本に減らした。しかし、それはFacebookのジレンマを物語っている。パブリッシャーはそれぞれわずかに異なるモデルを持っていて、それぞれFacebook上で独自のモデルを複製したいと考えている。けれども、Facebook側は統一されたユーザーエクスペリエンスを作り出すことに価値を見出している。

サブスクリプション機能の詳細のいくつかは、いまだに未定だ。支払い処理の方法や、Facebookのマージンなどがそれらには含まれている。支払いが複雑なのは、スマートフォンのアプリストアを介した場合、ストアが30%を差し引いているからだ。複雑さを緩和し、アプリストアに手数料を取られず、そして価格とデータに関してパブリッシャーにより高い自由度を持たせることを求めるFacebookは、モバイルウェブを通じて、それらを処理させる方向に傾きはじめていると、あるパブリッシャーは語った。また、自社サイトでは入手可能な、一人ひとりのユーザーに合わせたオファーを提示するのに役立つ、ユーザーの閲覧履歴をパブリッシャーが入手できるのかどうかについても明らかにされていない。

パブリッシャーたちの反応

結局、インスタント記事を静観してきたタイムズやウォールストリート・ジャーナルのようなパブリッシャーたちに問いたいのは、これまでのようにFacebookに投稿して、人々を自社サイトに招きよせて有料購読契約してもらう代わりに、インスタント記事を通して有料購読契約に結び付けることに利点はあるのかということだ。従来のやり方で記事を投稿するよりも、インスタント記事は高いクリックスルー率を持っているとFacebookは主張するだろう。しかし、それで有料購読契約を獲得すれば、パブリッシャーたちは顧客データとメーターレベルのコントロールをある程度、諦めるしかない。

「説明は受けていて、参加するかどうかを継続して評価している。これまでのところ、大きなメリットは見られない」と、ニューヨーク・タイムズのシニアエグゼクティブは述べた。

それでも、同プラットフォームの取り組みは、ウォールストリート・ジャーナルの親会社、ニュースコーポレーション(News Corp)のように長いあいだ批判を繰り返してきた企業でさえ、不承不承ながらも評価する。「誰からも歓迎されるシステムを彼らは作り出そうとしており、それは非常に揺るぎない説明だ」と、同社でWSJメンバーシップのジェネラルマネジャーを務める、カール・ウェルズ氏は先月のインタビューで語っている。

プロジェクトの今後

サブスクリプションツールのロールアウトに関するFacebookのタイムフレームもより具体的になってきている。Facebookは、今年末にパブリッシャーで構成される小さなグループでテストをして、2018年は他社にも拡大することをめざしているという。アイデアとしては、テストグループは、アメリカそして国際的な大小の出版物を代表する多様な組み合わせにすることだ。Facebookはすでに、ニューヨーク・タイムズ、トロニック(Tronc)、ハースト(Hearst)、エコノミスト、ドイツのビルド(Bild)、イギリスのテレグラフ(Telegraph)に対して、対面でブリーフィングをしており、7月10日の週にニューヨークとパリで、さらに多くのメディアエグゼクティブたちとグループミーティングを開いた。

同プラットフォームにおけるコンテンツ収益化能力の低さに不満を募らせているパブリッシャーや、GoogleAppleのNewsなど、ほかのプラットフォーム大手からFacebookよりも良い扱いを受けているパブリッシャーらを納得させようと、Facebookが必死に取り組んでいるなかで、有料購読契約に関するこの動きがはじまった。新聞業界団体のニュースメディアアライアンス(News Media Alliance)がこの取り組みを先導しており、メンバーがFacebookやGoogleと集団で交渉できるよう努めている。

Facebookはアピール攻勢の一環として、ジャーナリズムプロジェクトを1月に開始、こちらにはFacebookのアプリに何が期待されているのかを理解するためにパブリッシャーたちを交えた取り組みも含まれている。パブリッシャーはFacebookが2015年にインスタント記事をロールアウトして以降、有料購読契約を売り込む方法を模索しており、GoogleとFacebookがますます多くのデジタル広告収益の取り分をもっていくなか、広告を通じて同プラットフォーム上でコンテンツを収益化できるように権限の拡張を声高に求めている。

「Facebookでサブスクリプションビジネスモデルをより良くサポートする方法について、いくつかのニュースパブリッシャーと初期の話し合いをもっている」とFacebookの広報担当者を通じて、ニュースパートナーシップ担当者のキャンベル・ブラウン氏は語った。「Facebookのジャーナリズムプロジェクトの一環として、我々は時間をとってパートナーと密に協力し合い、彼らのニーズを理解しようと努めている」。

Lucia Moses(原文 / 訳:Conyac