「一気観」市場に新たなイノベーションか?:高い視聴完了率を叩き出す、短尺の韓流ドラマが人気

アメリカの韓流ファンは、英語字幕付きで韓流ドラマを楽しめる動画配信サービス「ドラマフィーバー(DramaFever)」に夢中だ。

2009年に創業し、韓国語とスペイン語のコンテンツを配信するドラマフィーバー。同社のユーザーの大半が米国の17〜35歳のミレニアル世代という点を評価し、2014年10月に日本のソフトバンクは、1億ドル(約120億円=WSJ報道)で買収している。

Netflix(ネットリックス)時代の文化「一気観」が、最近のコンテンツ消費の流行だが、ドラマフィーバーはコンテンツを短尺にし、「一気観」を加速させる戦略を採った。

同社は2015年12月、ライセンスを取得した6本のWebドラマを配信。各作品の1エピソードは10〜20分で、韓国のロマンティックドラマ『恋愛細胞2(Love Cells 2)』や、不死身で200年も生きる韓国のポップスターが若い男性と恋に落ちる『彼女は200歳(Never Die)』もそれに含まれている。

両作品とも全エピソードが、短いビデオフォーマットで即座に視聴可能になった。週ごとに新しいエピソードが配信される、ほかのドラマフィーバーのTV番組とは対照的だ。

高い視聴完了率を実現

ドラマフィーバーのライセンシング担当ディレクターのティム・リー氏はこう説明する。「全エピソードを1度に配信すれば、ユーザーはマラソンをするように視聴してくれるのではないかと、我々は仮説を立てた。20本の短いシリーズの方が、20時間ものTVシリーズよりも簡単に夢中になりやすいのは明らかだ」。

2015年9月に『高潔な君(Noble, My Love)』など、このような1エピソードが短いシリーズをリリースしたところ、その仮説が証明された。このシリーズを視聴しはじめた人の60%が、すべてを一気に見たと、リー氏は語る。

サービスとしても同年9月に最高の業績を上げた。視聴完了率は、週ごとに同社が配信する『ああ私の幽霊さま(Oh My Ghostess)』(10%)や『ピノキオ(Pinocchio)』(20%)などの人気ドラマよりもずっと高かった。平均して、短尺の視聴完了率は長尺の倍近い、と言えるのだ。

韓国国内でも「短尺化」

このような成功を背景に、ドラマフィーバーはショートフォームのコンテンツを追加。先述したように、2015年12月には6シリーズを新たにリリースした。

韓国国内では、いままで以上に短尺コンテンツが増えつつある。YouTubeに似たサービスを展開するNaver(ネイバー)のような地元のメディアポータルや、モバイルメッセージアプリのカカオトーク(KakaoTalk)などが制作を行っているという。

日本の漫画に似たスタイルの韓国アニメーションにも触発されている。「このような『Webアニメ』を視聴する人が多く、ストーリーやキャラクターに慣れ親しんでいる」とリー氏は語った。「同時に実写版も観ようという流れになっているのだ」。

ただし、収益化は大変

当初ドラマフィーバーは短尺コンテンツ需要がどのぐらいになるか確信をもてなかった。韓国ドラマや映画に興味をもつ人向けのNetflixになろうとしているが、あらゆるビデオコンテンツに興味を抱くオーディエンス向けのハブも目指している。

短尺コンテンツの収益化は、長尺コンテンツの途中に挿入されるミッドロール広告ほど簡単ではない。ドラマフィーバーにおける長尺コンテンツの場合、1時間当たり5回から6回の広告挿入が常だからだ。

ショートフォームの場合は、各エピソードでプレロール広告を表示する。尺が20分に及ぶ場合には、ミッドロール広告を挿入するという。またドラマフィーバーは、広告付きの無料配信と定額制配信を組み合わせた「Hulu(フールー)モデル」を採用している。

しかし、制作リスクも小さい

「1時間のエピソードに5〜6回の広告を挿入するなら、理論的には短尺コンテンツの5倍は利益が上がる。ユーザーのコンテンツ消費を促すことで、この代償を埋め合わせなければならない」と、リー氏。

ドラマフィーバーは韓流ドラマ以外のコンテンツを配信しようと、中国や日本のプロデューサー、ディストリビューターなどと協議している。ショートフォームのコンテンツを自社で制作する可能性も否定していない。

「制作が簡単で、コスト面でも効果的だ。ドラマ制作でゼロから冒険するとしたら、恐らく短尺のコンテンツになるだろう」。

Sahil Patel(原文 / 訳:南如水)
Images via DramaFever