日本初のパブリッシャーアライアンス「デルタ」とは何か?:「媒体社収益化の重要戦略」

米ルビコン・プロジェクトは5月末、複数のメディアがオーディエンスデータを共有して共同で広告枠を運用するパブリッシャー・アライアンス「DELTA Publisher Alliance(デルタ・パブリッシャー・アライアンス)」の広告枠を、広告主に提供開始したと発表した。

パブリッシャー・アライアンス(媒体社連合)とは、複数のメディアが共同で運営する単一のプラットフォーム上で、各メディアの広告枠をバイヤーに販売する取り組み。デルタでは「サッカーキング」「ジェイキャストニュース」「オートスポーツ」などが、ルビコン・プロジェクトの協力のもと単一のプラットフォームを運用する。

媒体社3社から在庫の一部を預かる運営母体があり、この母体がデルタでの在庫販売を代行する。ルビコン・プロジェクトの池田智幸日本代表はDIGIDAY[日本版]の取材に対し「パンゲアアライアンス(The Pangaea Alliance)では英ガーディアンが運営主体になるが、媒体間の調整に加え、自社の広告枠の販売を兼ねることになるので、かなり負担が大きいと聞いている。第三者が運営したほうがマネタイズの形を整えやすい」と語った。池田氏は販売する枠は三媒体のパッケージで、「40代男性」のような特定のセグメントのインプレッションと説明する。

ルビコンは「複数のメディアのオーディエンスデータをDMP(データ・マネージメント・プラットフォーム)に集約して一元で分析・管理し、広告配信ではこのデータを活用する。複数のメディアのオーディエンスデータを利用して広告配信できるため、媒体社にとっては広告単価の向上につながり、一方バイヤーにとってはより精度の高い広告配信につながる」と説明している。

オーディエンスデータは、シーセンス(Cxense)社が提供するDMPに集約して一元で分析・管理。ルビコン・プロジェクトはこのDMPに蓄積するオーディエンスデータを組み入れ、PMP(プライベートマーケットプレイス)で広告配信を支援する。

Screen Shot 2016-06-08 at 18.31.36デルタの取引プロセス(ルビコン・プロジェクトのリリース)

海外でもパンゲアアライアンスのような取り組みがあり、ルビコンが技術面を提供。バイヤー(広告主・代理店・DSPなど)側からもアライアンス結成のニーズは大きい、と池田氏は語った。

広告主にとっては、掲出面がわかった上で買い付けできるという利点がある(リアルタイム入札では広告主が掲出面をコントロールできない部分があった)という。「広告主が複合的なキャンペーンを打つ際、ボリュームが欲しいという要望があるが、それに応えることもできる」。

特定のジャンルの媒体も同様のアライアンスを検討しているといい、ジャンル別で媒体社連合が広がることも視野に入れているようだ。池田氏は男性と女性のメディアで分けるかなどもバイヤー側のニーズ次第では、検討する余地があると語った。

先行する欧米ではGoogle、Facebookのデジタル広告市場の寡占への対応という意味合いがある。KPCBのリポートによると、2社はデジタル広告市場の成長の76%を占めている。

池田氏は「今後のパブリッシャーが広告在庫を販売する点で、パブリッシャーアライアンスは重要な戦略になる」と語っている。

Written by 吉田拓史
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