データ可視化はビジネス意思決定の質を高める:Tableau CMO エリッサ・フィンク氏

ビジネスとデータが不可分となり、以前のように表計算ソフトを印刷した紙を会議で配るのでは足りなくなった。エンジニアの素養がなくとも、簡単にデータに触れるBIツール「Tableau(タブロー)」はビジネス部門のニーズを掴んで成長してきた。

最高マーケティング責任者 (CMO)のエリッサ・フィンク氏は、Tableauは現行のライセンスユーザーが多数派の状況から、サブスクリプション方式利用者が最終的に50%を超え、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)としての特徴が濃くなると語った。Tableauはデータ量の拡大が続くなか、処理の加速と簡易化を進めるため、M&Aと開発を進めているという。

サブスクリプション移行見込む

「重要な顧客からTableauをSaaSの形で利用したいとの要望を頂いていた。多くの顧客にとって初期導入コストを落とすことになり、企業の予算や財務計画にも定額制がフィットする。企業は『今年は100件のサブスクリプションを申し込もう、来年は150件にしよう』と需要に応じた柔軟な対応ができる」とフィンク氏は語った。

「目標はサブスクリプション比率を年内に25〜35%まで引き上げることだ。一部のユーザーはメンテナンスの必要性が生じるという理由で、ライセンスにとどまるが、最終的には50%を超すだろう。顧客は短期的なリターンも求めているので、カスタマーサクセスプランを強化していきたい」。

BIツールと同様のフルパッケージの機能を提供する競合がいる。Tableauはさまざまなプラットフォームとの連携を強みにしたい。

「データ分析、ビジュアル分析の面で我々は一番でありたいと思っており、ほかのプラットフォームとの連携に力を入れている。60以上のデータ・ソース、APIなど外部環境との接続性を高めており、ビジュアルの共有、コラボレーションなども簡単だ」。

「通常データを扱う場合、専門的な知識が必要になる。難しいインターフェイスを渡して『じゃああとはあなた自身で利用してください』という形ではなく、誰でも簡単に行えるようなユーザー体験を重視している」。

複雑化する分析とのギャップ

データそのものやその分析はますます複雑化しているが、ビジュアライゼーションはシンプルでないといけない。分析とビジュアライゼーションのギャップは拡大を続けている。

「tableauのエンジニアは挑戦を楽しんでいる。スマートアナリティクス、機械学習を適用し、誰でもデータを理解できるようにしている。ユーザー体験の改善に注力している」。

大規模データを抽出するときにデータ・ウェアハウスとtableauのあいだに中間処理をかませる必要があることがある。必ずしも簡単にデータを可視化できるとは限らないかもしれない。

フィンク氏は課題を解決しつつあると話す。「インメモリデータベースでの処理を高速化する技術をもつ企業を買収しました(独のデータベース「HyPer」)。加えて私たちは可視化前のデータ処理をより簡単にする技術も買収しており、いま急いで改良しているところだ。このふたつの機能によりユーザーが取り出したい情報を即座に手に入れられるだろう」。

「我々は今後データ可視化の前処理ツールを出します。データ統合・処理に強みのあるインフォマティカと協業している。複雑なデータ移送が簡単になる」。

ビジネス判断においては速度が重要になりつつある。「tableauはビジネス部門が素早いアクションをとるために役立つ。データビジュアライゼーションや操作を通じて、人間の理解を促すことができる。これが結果としてアクションの速さを担保できる」。

「美しいビジュアライゼーションはときには、人のバイアスや誤った結論を導くかもしれない」と筆者は質問した。

フィンク氏は「リサーチャーも不適切な結論を導くことに神経を尖らしている。急上昇するグラフを描くと、人々は『すごい! 増えている』と驚くだろう。50から60に増えたものを0から100まで増えたように見てしまうことがある。我々は正しい形でデータを見せる努力を繰り返している」と回答した。

先月18、19日開かれた「Tableau Conference on Tour - 東京」 で登壇する、同社最高マーケティング責任者 (CMO)のエリッサ・フィンク氏

先月18、19日開かれた「Tableau Conference on Tour – 東京」で登壇した、同社最高マーケティング責任者 (CMO)のエリッサ・フィンク氏=Tableau提供

フィンク氏は同日、キーノート・スピーチに登壇したリサーチ & エクスペリエンス部門 VPのジョック・マッキンリー氏に言及した。マッキンリー氏はパロアルト研究所でグラフィカル・ユーザー・インタフェイス(GUI)の研究を行っており、常に情報を人にとって理解しやすく、操作されていない形で提供することを追求してきたという。

パロアルト研究所が開発したGUIは、スティーブ・ジョブスがAppleの製品に応用したことで知られる。コンピュータを人にわかりやすくするというのは長いあいだ追いかけられているテーマだ。

「日本では米国よりも早いペースでカンファレンスの参加者が増えている。日本人はビジュアルが好きな印象だ。以前は地図企業に務めていたが、日本市場はかなり進んでいた」。

ビジネスの中心は欧米だがAPAC(アジア太平洋)も成長している。「シンガポールや豪州のような米国と類似性がある国で成功している。英語を公用語とする国で進んだ。中国、インドでも強烈な速度で成長がはじまっている」。

Written by 吉田拓史
Photo by GettyImage