年間30社 メガCRMはベンダーを飲み込む:ガートナー サミット

ガートナー ジャパンは2月21〜22日に「ガートナー カスタマー 360サミット 2017」を開催した。

「CRMメガベンダーの最新トレンド」と題されたセッションでは、セールスフォース、SAP、オラクル、マイクロソフトなどのCRMメガベンダーの動向を、ガートナー リサーチ部門 リサーチ バイス プレジデント兼 最上級アナリストのマイケル・マオズ氏が解説した。

マオズ氏は独自の情報網に基づき、CRM(顧客関係管理)市場が堅調に成長し、メガベンダーはハブとして存在し、M&Aで機能を拡張していることを指摘。ビジネス・プロセス構築のプラットフォームとして業種業界の特性に則した利用を求めた。

多様な「CRM」の裾野

CRM市場は成長が予測されている。マルチデバイス化による顧客接点の多様化と人々のデジタル活動の拡大・拡張が要因だ。これらが企業のあり方に大きな変容を求めている。

「平均的な企業は40〜60程度の顧客へのチャネルをもっている。Facebook、LinkedInなどだ。IoTにより利用するすべてのデバイスは接続される。企業はさまざまなタイプのAIを導入することになる。企業は顧客と接するためにとてもイノベーティブでなければならない」。

CRMとひと括りにされるものは極めて多様だ。「CRMアプリケーションは5つの主要なカテゴリー(マーケティング・営業・顧客サービス・フィールドサービス・デジタルコマース)があり、100以上のサブマーケットを抱えている。それぞれの違いは『健康保険会社』と『医療機関』の運営が異なるようなことだ」。

ガートナーが定義するCRM市場(2015年)では、セールスフォースが20%のシェアを占めており、成長率も21%で堅調だ。背後をSAPが10%、オラクルが8%、マイクロソフト4%で追走している(下図)。他方、CRM市場は上位5社のシェアを足しても50%に達していない、多様な市場だ。

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出典:ガートナー(2017年2月)

「市場は成長を続けており、企業が顧客にアプローチしたいという欲求を抱き続ける限り、成長を続ける。20年前にはCRMマーケットは10億ドル市場に過ぎなかった」。

シェア20%のセールスフォースの時価総額を勘案すれば、金融市場がCRM市場がもっと成長すると期待しているとわかるという。現在のCRMの市場規模は260億ドル(2兆9000億円:2015年)のようだ。

市場のカテゴリーの中で、顧客サービス/サポートがもっとも大きなパイを占めており、市場シェア(2015年)は40%に上る(下図)。カテゴリーによってトップベンダーが異なる。セールスフォースは顧客サービス/サポート、営業でトップ。SAPもデジタルコマースでトップ、他分野もまんべんなく上位だ。Adobeはマーケティングのトップを握る。

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出典:ガートナー(2017年2月)

マオズ氏は、メガCRMベンダーがR&D 、M&A、企業買収、独立系開発者の参加などで統合・拡大している、と指摘した。「セールスフォースはひとつのものと考えられているが、同社はM&Aで50社程度を飲み込んだ集合体だ。セールスフォースは企業買収を通じてアプリケーションの研究開発をアウトソースしている」。

SaaSに詳しいトーマス・タンガズ氏のブログによると、セールスフォースの収益に対するR&D費比率は平均値に対して低調に推移してきた。しかし、別項目になっているM&Aによる研究開発のアウトソースや、独立系開発者の参加を含めれば、セールスフォースのR&D費は少ないとは言えない。

プラットフォームの変化は速い

メガベンダーはコアを提供しているが、さまざまな特化型のベンダーが周辺に機能を追加しているという。分析/ モバイル/ソーシャル分野のCRMは最速で変化し、大(メガベンダー)は小を年間30社のペースで取り込むものと想定するそうだ。

「企業はCRMメガベンダーを(デジタルマーケティングの)『答え』だと考えないでほしい。エンドトゥエンドのビジネス・プロセスを構築するためのプラットフォームかハブと考えるべきだ。業種業界によって必要な機能も異なる」。

「現在の4大メガベンダーが2024〜30年も同じ状況にあるとは考えない。新しいメガベンダーが登場することもあり得る。中国のWeChatがプラットフォームになっているかもしれない。もしかしたらAmazon、Facebook、GoogleがCRMプラットフォームの場所を占めているかもしれない」。

Wtitten by 吉田拓史 / Takushi Yoshida
Photo by GettyImage