「デジタル広告の大部分が詐欺だ」:古参アドテクディベロッパーの告白

プログラマティックはその効率性から、常に称賛されてきた

だが、今回の業界人に匿名で本音を語ってもらう「告白」シリーズでは、それに疑問の声をあげるデジタル業界のベテランに登場してもらう。テックスタックを構築し、管理することに携わってきた人物だ。

パブリッシャーが報告するインプレッションは誤解を生むものが多く、業界グループは自分たちの利益のことしか考えていない。そしてサプライチェーン側は、粗悪なインセンティブ制度によって蝕まれているという。

以下が発言の引用だ。読みやすさのために若干の編集を加えている。

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――広告の現状についてどう感じている?

広告の多くが詐欺だ。私はこの業界にもうずっといる。約20年くらいだ。だから、何が起きているか知っている。そして、この馬鹿みたいな嘘を、ちゃんと嘘だと指摘する人は誰もいないことも分かっている。

――(業界の)人々が大きい問題に取り組まないという意味か?

そうだ。例を挙げると、私がミーティングで「すべてがクッキーをもとにしているが、クッキーが削除されたらどうなるんだ?」と、発言したことがある。そのときの皆のリアクションは、エレベーターで誰かがオナラをしたときよりもひどいものだった。

――特に腹立たしいと思うことは何か?

広告ネットワークからトラフィックを買って、全画面表示のプロンプトを行ったりする。こういった全画面プロンプトではユーザーが見ているウィンドウの下では、もうひとつのウィンドウがポップアップしていて、それは見えることもあるし、見えない仕様になっていることもある。そのウィンドウには動画自動再生のプレイヤーが無音で設置されている。トラフィックを荒稼ぎする単純な方法のひとつがこれだ。

――トラフィックの統計に対して懐疑的ということか?

世に出ているトラフィックのうち、Googleを通っていないトラフィックの量を見てみたら分かる。パブリッシャーたちが主張しているインプレッションの量を証明できるような在庫が世界には存在していない。

――何が原因でそういった行動を生んでしまうのか? インセンティブのシステムが間違っているのか?

まったくもってその通り。同じ会社のなかで売買両方が行われていることだってある。自分たちでテックを運営していて、測定をする第三者グループにお金を握らせていたら、いろいろなことができるだろう。詐欺に関わっている人の数は多い。ほんの小さなオレンジの切れ端を思いっきり絞ってジュースを生み出してるような状況だ。

――そうした詐欺が起きていることに、なぜそこまで確信を持てるのか?

人々はアドテクとフィンテックを比べるのが好きだ。けれどもし、株式のトレードの運営のされかた、規制のされかたをちゃんと見てみると、入札制度のトンネルを上手くくぐり抜ける方法を見つけた人もいることが分かる。広告もそういった種類のコモディティだと自覚されているとしたら、同様の詐欺が行われていることは理解に難くない。

――この詐欺行為にマーケターも関わっていると思うか?

そう思うね。賄賂が存在しないわけはないだろう? リベートって言葉があるんだから。

――業界グループがこれを防ぐことはできないのか?

IABは、メディアをコントロールし、良い業界慣習を運営する、ちゃんとした組織だという理解がある。しかし、パブリッシャー、広告主、テック会社といった大プレーヤーたちがお金を出すことによって、この組織は成り立っているんだ。また、その一方でIABは、広告ユニットを1ページに何個置けるか、サーバーコールを何回できるかといった、スタンダードを確立できていない。

――しかし、彼らはビューアビリティのスタンダードを確立した。

彼らは1秒からビューアビリティとしてカウントするといっている。人間ってのは1秒じゃ何も見られない。何かに反応するのに1秒はかかる。常識で考えることができてない。少なくとも5秒であるべきだ。

Ross Benes(原文 / 訳:塚本 紺)
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