イン・イメージ広告、コンピュータービジョンとアドの出会い

人間の視覚が行うことをコンピュータの方法で実現しようとするコンピュータビジョン。画像処理フィルターなど近年メディア広告領域への活用が進んでいる。コンピュータビジョンは近年ディープラーニングの採用により、人や顔の認識、物体認識、画像の撮影年代推測などを高い精度で実現しはじめた。ついには与えられた画像から「絵画を描く」ものまで現れた。

記事中の画像を解析して、関連性の高い広告を画像の上に挿入するイン・イメージ広告。サッカーの記事の画像の上にサッカー選手を起用したシャンプーの広告を差し込むことが可能になる。このイン・イメージ広告を米国では大手消費財メーカーに対しても展開するガムガム(GumGum)は今年7月に日本ブランチの開設を目指している。

ガムガム インターナショナルディベロップメント担当シニアバイスプレジデント グレッグ・プリチャード氏はDIGIDAY[日本版]の取材に対し、「我々は日本にチームを作っている最中だ。広告商品に関しても日本のパブリッシャーたちとテストを進めている。現在、イン・イメージ広告の掲出先として日本のプレミアムパブリッシャー15社が参加する見込みだ。5社が参加を確定させ、10社がプロセスの最中だ」と語った。

「オーストラリアではすでに地位を確立した。ニュージランドではパートナーシップを結んでいる。シンガポールなども視野に入れているが、APAC(アジア太平洋)で一番力を注いでいるのが日本だ」。

「日本市場ではふたつの重要な点がある。ひとつは日本のデジタル広告ではブランディングの手段がたくさん存在しない。もうひとつはブランドはデジタル広告におけるブランドセーフティを気にしている。日本市場はこれまでデジタルではダイレクトレスポンスに集中してきたが、今後はブランディングを考えることになる。広告予算もブランディングに向かっていくだろう」。

コンピュータビジョンで完全なブランドセーフティ

「我々はコンピュータビジョンで画像を認識し、文章を自然言語処理によりセマンティック(意味)解析するため、ブランドの考えに沿わないコンテンツを選ぶことがない」。

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画像の上に関連するイン・イメージ広告を挿入する。画像と文章を解析しコンテンツの中身を確かめる。ほかにもモバイル下部に出現するインスクリーン、動画などがある。

大手動画サービスは毎分300時間の動画がアップロードされており、すべてのユーザー生成コンテンツ(UGC)を探索するのは難しい面がある。「我々はそもそも選び抜かれたプレミアムパブリッシャーのコンテンツを利用するので、そういう心配がない。画像のなかに拳銃が登場していれば広告挿入を避けるなどの対応が可能だ」。

文章の意味の解析により、文脈に応じた広告挿入が可能になるという。自動車の画像が記事内に置かれていたとしても、文章の内容が自動車事故なら広告挿入をしない選択がとれる。

しかも、日本市場に対応するため、日本語スピーカーの自然言語処理専門家2人を雇用しているという。「日本語の文章内で『ひな祭り』が何を意味するのか、コンピュータや日本語を理解しない自然言語処理専門家が即座に理解できないことがある」とプリチャード氏は指摘する。周囲に「てにをは」がついていると、それを「ひな祭り」と認識するのが難しい。さらにネイティブではないと「ひな祭り」はまったくピンとこないだろう。

テレビ番組中の看板広告を認識

米国ではスポーツ分野でコンピュータビジョンの活用が一般化している。野球とバスケットボールではチームがコンピュータビジョンでデータを貯め、対戦相手の戦術を解析したり、チームの戦術を決定したりする。

3B0A9996ガムガム インターナショナルディベロップメント担当シニアバイスプレジデント グレッグ・プリチャード氏

ガムガムはスポーツチームの胸スポンサーや競技場看板広告などがどの程度、テレビ番組中に露出されたかを計測する商品も提供している。コンピュータービジョンで計測する。

「クラウドコンピューティングが進化し、誰もがトレーニングデータは手に入れやすくなった。ポイントはそれを実際のビジネスにどう応用するかが重要だ。我々はテクノロジーだけでなくソリューションを提供したい」。

Written by 吉田拓史 / Takushi Yoshida
Photo by GettyImage