CNNのモバイルアプリが炎上、1つ星レビュー攻撃の背景:垣間見えるレビューシステムの限界

CNNのモバイルアプリが、ある問題に見舞われている。だが、そのアプリをホスティングしているプラットフォームからは、何の支援も得られていないようだ。

この数週間、CNNのアプリの評価を1つ星にしようという運動がユーザーのあいだで起こっている。彼らは、CNNがフェイクニュースやプロパガンダや嘘の情報を広めていると非難し、同社のモバイルアプリを徹底的に叩いているのだ。最低の評価を付けようという呼びかけは、掲示板サイトの「4チャン(4chan)」や保守的なニュースメディアのTwitterなどさまざまな場所で行われている。その結果、CNNのアプリの評価は、AppleのiOS App StoreとGoogle Playの両方で1つ星に転落した。このままでは、将来ダウンロードしてもらえる機会を損ないかねない状況だ。

この低評価を付けようという運動は、事実かどうか不確かな根拠に基づいて行われていることもあり、AppleとGoogleの双方に有効な解決策の見つからないジレンマをもたらしている。Googleは、CNNの開発チームと共同でスパムレビューの特定に乗り出しているが、「フェイクニュース」を広めているとしてアプリを非難する行為自体は、Google Playの利用規約違反ではない。一方、Appleはこの件に関してコメントを控えている。

「レビューサービスはユーザーに対し、実際のユーザーがレビューや評価を行っていることを保証する義務がある」と、苦情受付機関ベター・ビジネス・ビューロー(Better Business Bureau)の広報担当者、キャサリン・ハット氏はメールで回答した。「これがかなり難しい取り組みになる可能性があることは承知している。だが、評価が信頼のおけるものであることを保証するのはきわめて重要なことだ」。

CNNだけが狙われる理由

見方によっては、CNNが以前から抱えている問題がエスカレートしている状況だといえる。米国では、2016年の大統領選挙が終わってから数週間、民主党寄りだという非難を受け、1つ星のレビューを付ける運動のターゲットにされたパブリッシャーがいくつかあり、CNNはその1社だったのだ。

だが、ビジネスメディアのクォーツ(Quartz)、USAトゥデイ(USA Today)、ミレニアル世代向けニュースサイトのマイク(Mic)など、この運動の標的にされた多くのパブリッシャーと違い、CNNはいまも大統領とその支持者から執拗に狙われている。

最近では、ドナルド・トランプ大統領に扮した人物がCNNに扮した人物へボディスラムをくらわす動画を、トランプ大統領自身がツイートする出来事があった。この動画がインターネットで広まってから間もなく、CNNはこの動画を作成した人を特定し、続報を伝えるためにコンタクトを取った。CNNはこの人物の素性を明らかにしていないが、件の人物は動画を作ったことを自身のレディット(Reddit)アカウントで謝罪し、動画を削除した。

だが、CNNがこの人物の身元を非公開にするという決定を明らかにした声明が、一部の人たちから動画制作者を遠回しに脅迫していると受け取られた。その結果、CNN嫌いの人たちの多くが激怒し、一部の人がアクションを起こすに至ったのだ。

4チャンの「モバイル攻撃作戦」

7月5日(米国時間)には、4チャンのあるユーザーが「モバイル攻撃作戦」と題するスレッドを作成し、CNNのアプリに1つ星評価を付けようと呼びかけをはじめた。それから9時間のうちに、このスレッドでの呼びかけは、レディットの「ザ・ドナルド(the_donald)」板などほかの多くの掲示板に転載され、CNNのアプリには2000件を超える1つ星評価が付けられた。その結果、アプリの全体的な評価が1つ星に下がってしまったのだ。

これを受けて、「作戦完了」と4チャンのスレッド作成者は投稿した。

しかし、この攻撃の効果は長続きしなかった。7月10日、CNNはいくつかのバグを修正した新しいアップデートをリリースしたが、この新しいバージョンは、アプリストアでの評価の点数もリセットされていたのだ。

このリセットの件が広まると、すぐに新たな攻撃の呼びかけが行われた。しかも、マイク・セーノビッチ氏などの保守的なジャーナリストが、CNNに1つ星を付けようという呼びかけをリツイートするなど、呼びかけの範囲がさらに広がったのだ。その結果、CNNのアプリは引き続き影響を受けた。新しいバージョンがリリースされた10日以降、レビューの95%が1つ星なのだ。「偽ニュースのネットワークだ」とあるレビュアーは激しく非難している。

また、「プロパガンダアプリだ」と書いたレビュアーもいる。

GoogleとAppleの対応

CNNの広報担当者によれば、同社はこの問題についてAppleやGoogleと話をしているという。ただし、その結果について詳しい内容を明かすことは拒んだ。

GoogleとAppleは、自分たちのプラットフォームで偽情報の拡散を抑えるための取り組みを、プラットフォーム以外の場所で行っている。たとえば、AppleのCEOティム・クック氏は、フェイクニュースに対抗するための「大規模キャンペーン」を呼びかけたことがある。同氏は2月、デイリー・テレグラフ(The Daily Telegraph)の取材に対し、「我々は現代版の公共広告キャンペーンを必要としている」と述べ、「その意志があれば、(公共広告キャンペーンは)すぐにできる」と語ったのだ。

だが、どちらのプラットフォームでもそうした動きが見られない。このことから、両社がユーザーの発言を監視したり取り締まったりすることに慎重であることがうかがえる。

「ボットなどが関与する不正行為の可能性がある場合は別として、大規模な組織的取り組みを監視したり、怪しいレビューや評価を取り締まったりすることは、プラットフォームにとって難しい」と、モバイルアプリ市場調査会社アップアニー(App Annie)で市場情報担当ディレクターを務めるアミール・ゴドラティ氏は指摘する。「脅迫や侮辱である可能性が高い言葉が使われている場合はともかく、評価やレビューに対して大規模な監視や規制を行うとプラットフォームがほのめかせば、そのほうが大きな懸念をもたらす」。

Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)