中国がライブ動画の未来を切り開いている:今週のデジタルサマリー

今週はライブストリーミング。Technode(Tech Chrunch日本語訳によると、中国最大の位置情報ネットワーキングアプリMomo(陌陌)が、2016年第4四半期の収益が前年同期比524%増の2億4600万ドル(約270億円)という驚異的な伸びを見せた。

Momoは2014年にナスダック上場で時価総額70億ドル(約8000億円)とLIXILや住友化学と同水準で評価されている。

2016年第四半期決算によると、同社はデーティングアプリ事業を行っていたが、収益の柱は間違いなくライブストリーミング。第4四半期の収益の79%を稼ぎ出している。同社は2015年の第3四半期にストリーミングをローンチし、短期間で爆発的な伸びを記録した。動画ストリーミングの課金ユーザー数は350万人に達している。

エコノミスト(The Economist)が引用したクレディ・スイスの統計によると、2016年に中国のライブストリーミング市場規模は2倍になった。100社以上がサービスを展開し、収益30億ドルを上げている。7億1000万人の中国ネットユーザーのほぼ半数がライブストリーミングを利用している。2017年には市場規模が50億ドルまで達すると予測している。

ただ、課金型・ギフト型のライブストリーミングでは、パフォーマーの多くが女性で視聴者は男性。女性パフォーマーに対しギフトの体裁で投げ銭をする。一部はアイドル並の人気を誇り、100万ドルの報酬を得る者もいるという。中国政府も特定のパフォーマンスを禁止するなどの措置をとっている。

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米国では2015年にライブ動画モバイルアプリが成長し、16年にFacebookが参入するなど盛り上がりを見せた。

だが、上記のように1番の盛り上がりを見せるのは中国。都市部のスマホ普及率は高く、PC経験のないスマホネイティブの割合が格段に高い。中国でも事業展開するC Channel CEOの森川亮氏はライブストリーミングプラットフォームMeipai(美拍)に注目していた。同社は日本の美容メーカーのために美拍にコンテンツを配信した実績もある。美拍は中国/世界でもっとも成功しているライブ動画プラットフォームでユーチューバーのようなインフルエンサーが競い合う。

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日本市場も今年は波がくるかもしれない。とある動画ストリーミングサービスのデータによると、モバイル視聴の多くがWi-Fiでされており、他国に比べ遅れていたWi-Fi普及が進んでいるなど環境面の改善が見られている。昨年キャリアは大容量のデータプランを開始しており、MVNOの利用比率が高まれば、消費者の通信コストは落ちる。

筆者は同事業を日本で展開するLINE、Twitterの事業担当者にインタビューしており、今後の日本市場の動向の参考にしてほしい。

Periscope CEOのケイヴォン・ベイポー氏
LINE執行役員(LINE Live担当)の佐々木大輔氏

今週はTwitter Japanのラウンドテーブルもあり、広告事業本部長 兼 日本・東アジア事業開発本部長の味澤将宏氏もライブストリーミングに注力し、コンテンツを揃える意欲を示していた(記事は近日公開)

以下、今週のほかのトピック。

▼KDDIとアクセンチュア、データ分析合弁会社設立で合意

新会社「ARISE analytics」はKDDIの連結子会社。資本金は2億円。4月以降、KDDIが85%、残りをアクセンチュアが出資する。KDDIやグループ企業が持つ顧客情報や購買情報などを集めて分析。KDDIグループのデータ利活用の中核的な役割を果たし、通信やEコマース、IoTなどの領域で人工知能 (AI) を含めた先進的なアナリティクス技術を提供するとしている。

▼DeNAは第三者委員会調査報告書を公表

調査報告書は277ページに及んだ。統計処理を加えると、全記事のうち1.9%から5.6%が著作権を侵害している疑いのある記事となり、数にすると7516本から2万1093本の記事が該当するという。

ペロリの中川綾太郎氏はすでに同社の代表取締役を辞任、村田マリ氏もiemo及びFind Travelの代表取締役を辞任する意向を表明した。

▼EC好調でヤマト、27年ぶり全面値上げ

9月末の実施が検討される全面値上げは、消費増税時を除くと27年ぶりで、ヤマトはアマゾンジャパンなど大口顧客と交渉を開始している。長尾裕社長は日経に対し「ネット通販の急成長と労働需給の逼迫で、事業の継続性に危機感を覚えるようになった」と語った。

▼YDNが動画広告開始

ヤフージャパンはYDNでの動画広告で、視聴課金型の課金方式を採用。動画広告を一定秒数視聴することによって課金が行われると説明している。

▼監視目的のFBデータ利用禁止へ

Facebookは13日、FacebookおよびInstagramのデータを監視目的に使用することを明確に禁止するとデベロッパーに通達。同社APIから位置情報を取り出すマーケティングソフトウェアを、治安当局が抗議活動者の監視に利用した件が、人権団体から問題視されていた。

Written by 吉田拓史 / Takushi Yoshida
Photo by GettyImage