インスタ「購入ボタン」、なぜコマース企業に普及しない?:とある広報担当者「そこでの売上は少ない」

インスタグラムとPinterest(ピンタレスト)は昨夏、それぞれのサービス内にて商品購入機能を実装した。その際、ブランド各社は、モバイルサイト閲覧者を買い物客として取り込めるのではないかと、期待を高めた。しかし、ふたを開けてみると、インターネット調査企業のコムスコア(comScore)によれば、2015年のeコマース売上全体に占める割合は、PC利用が84%であるのに対し、モバイル利用はわずか16%であったのだ。

しかも、上記の「購入」ボタンを利用する人は、期待されていたほど多くない。リサーチ会社のフォレスター(Forrester)で主席アナリストを務めるスチャリタ・マルプル氏によると、小売販売額は非常に小さく、大手ブランドにとっては数のうちに入らない程度だという。

「ソーシャルネットワークを顧客獲得ツールとして評価している小売業者は、ほとんどいない」と、マルプル氏は話す。「インスタグラムやPinterestにおけるコンテンツはあまりにも多いため、検索エンジンによる個々の認知度はきわめて低く、コンバージョン率(実際に購入する割合)はさらに低くなる」。

まだ売上に関する評価は低い

ソーシャルメディア内でユーザーが購入できる商品数は限られており、これらのプラットフォームではAmazonのようにブランドの在庫確保をすることもできない。たとえば、閲覧者が画像をクリックしてもリンク切れであったり、商品が購入不可能だったりするのだ。「Pinterestでは人々が買いたいものと実際に購入できるものとのギャップが大きい」と、ムルプル氏は話す。「一番人気のあるアイテムは大概購入できない」。

インスタグラムやPinterestのコマース利用は、一見黙っていても収益が上がるように見えるが、実は売上に関する評価は、まだ低い。リサーチ会社のグローバル・ウェブ・インデックス(Global Web Index)が2015年11月、16歳から64歳のソーシャルメディア利用者を調査したところ、インスタグラムの購入ボタンに関心があると答えたのはわずか14%で、Pinterestについては13%だった。

また、今回の記事執筆に際し、米DIGIDAYが5社に対して行ったインタビューで、前述のプラットフォームに多額の資金を投入していると答えたブランドは、ひとつもなかった。たとえば、新規顧客獲得に向け、Facebook、インスタグラム、Pinterestを利用している、ロードバイクの取扱業者ペロトン(Peloton)は、自社サイトに遷移せず、直接ソーシャルネットワーク内で買い物ができるようなキャンペーンを行ったことは、いまだにないという。

主要な収益獲得ルートではない

一方で、化粧品販売会社のベネフィット・コスメティックス(Benefit Cosmetics)は、インスタグラムとPinterestで購入ボタンを利用するケースは非常に少ないとしている。「そこでの売上は少ない」と、ベネフィットの広報担当者は、米DIGIDAYに語った。

eコマース会社のハブトゥー・ハブイット(Have2Have.It)管理のもと、インスタグラム内ショップを所有するコスメサンプル企業バーチボックス(Birchbox)も、画像・動画共有プラットフォームはブランドにとって大きな収益源にはならないと認めている。「我々にとって主要な収益獲得ルートではない」と、同社のソーシャルメディア部門で、シニア・マネジャーを務めるジュリエット・ダラス・フィーニー氏は話した。

さらに同氏は、購入ボタン機能がないプラットフォームでありながら、Snapchat(スナップチャット)の方が、インスタグラムやPinterestと比べると、見通しは明るいという。バーチボックスはSnapchatを利用して閲覧者とつながり、おすすめ商品の紹介や消費者からフィードバックを受け取るなどしている。

Snapchatの方が見通しは明るい

最近Snapchat内で行われた夏物商品の「開封キャンペーン」でバーチボックスは、閲覧者に対し、短いバニティURLをスクリーンショットしてくれるようにと働きかけた。自社サイトに誘導し、商品を購入してもらうためだ。「とても多くのユーザーが参加して驚いた」と、ダラス・フィーニー氏は話す。「Facebookに投稿するよりSnapchatの方がユーザーと交流を得られる機会が多かった」。

しかし、フォレスターのムルプル氏は、ソーシャル・コマースの場として、Snapchatはまだ若すぎると考えている。eコマースの流行に乗り、同社のネットワークで購買可能な広告を試験的に導入したのは、ここ数カ月なのだ。同時にムルプル氏はPinterestとインスタグラムは、まだ購入ボタンを廃止する時期ではないと考えている。

「購入ボタンを削除してしまうには時期尚早」と、ムルプル氏は述べる。「機能を改善し、小売業者の利益につながるようなものを開発できるかもしれないが、時間と労力はかかることになると思う」。

Yuyu Chen(原文 / 訳:Conyac
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