パフォーム・グループ、テレビ風のライブ動画に成功を確信:新しいスポンサードのあり方

サッカーニュースサイト「ゴール(Goal)」は、Facebookのライブ動画を使ったテレビ番組品質のロングフォーム動画に取り組んでいる。ブランドが提供するセグメント動画(短時間の区切られた動画)のコンテンツを番組内に挿入することで、マネタイズできる点が特徴だ。

メディア企業パフォーム・グループ(Perform Group:2017年より日本のJリーグの有料放送放映権を獲得した「DAZN[ダ・ゾーン]」も運営)傘下の「ゴール」は2月9日、Facebookライブ動画を使ったサッカー番組「スタッズアップ(Studs Up)」の第1回を配信した。今後は週1回のペースでエピソードを追加していく予定だ。

ターゲットは若いサッカーファンで、同メディアがライブ動画番組にスポンサー提供の動画コンテンツを挿入するのははじめて。このコンセプトは、消費財大手ユニリーバ(Unilever)のブランド、シュア(Sure)とともに考案された。

「スタッズアップ」の番組内容

「スタッズアップ」には長さ1~2分間の動画が数回挿入され、その一部は事前に録画されている。YouTube動画プレゼンターのローリー・ジェニングス氏、コメディアンのネイサン・カントン氏、ラジオ番組プレゼンターのエマ・コニビア氏の3人が番組のメインプレゼンターを務め、リアルタイムの反応と討論を交える。

毎週、プレゼンターのほかに特別ゲストが出演し、英プレミアリーグの選手やチームの話題を取り上げる。第1回のゲストは、英ヒップホップバンド「リズル・キックス(Rizzle Kicks)」のメンバーで俳優としても活動するジョーダン・スティーブンス氏だった。

「スタッズアップ」は、従来のテレビ番組の高い製作品質にならいながらも、視聴者とのやり取りの状況に応じて動画の時間を延長したり短縮したりできる。第1話は30分間の配信時間を予定していたが、スティーブンス氏に質問したがる視聴者が相次ぎ、50分間に延長された。

「我々は、従来のテレビ番組形式につきものだった制約に束縛されない」と、「ゴール」のデジタル編集長ジェームズ・マーリー氏は語る。「『ゴール』の理念は新世代のサッカーファンにアピールすることであり、彼らはコンテンツとの関わりを求めている。引き込むコンテンツを制作しなければ、そうしたオーディエンスを獲得できない」と、同氏は付け加えた。

スポンサードのセグメント動画

ユニリーバのブランド、シュアがスポンサードしたセグメント動画は、番組がはじまってから40分後に挿入された。録画済みのこのクリエイティブは「プレッシャーインデックス(Pressure Index)」と題され、シュアを担当するエージェンシーのマインドシェア(Mindshare)、「ゴール」と同じパフォーム・グループ傘下でスポーツデータを提供するオプタ(Opta)、サッカー関連デジタルエージェンシーのゴール・スタジオズ(Goal Studios)が連携して制作にあたっている。

「プレッシャーインデックス」のコーナー

このスポンサードされたセグメント動画「プレッシャーインデックス」は、各選手がプレミアリーグでの競争ストレスにどう対処しているかを100点満点で評価する内容。この指標を算出するために、オプタは毎週、選手のリーグでのポジションやシーズン中の得点、ライバルといった75万種類のデータポイントを収集した。このセグメント動画は「presented by Sure」とラベル表示され、オプタの英コンテンツ部門責任者が数字を読み上げた(画面にも選手名と数字が表示される)。その後、プレゼンターたちが結果について討論する。

「ゴール」はスポンサードライブ動画の配信前、「スタッズアップ」と「プレッシャーインデックス」の予告動画を、Facebookだけでなく、YouTubeやインスタグラムのストーリーズといったほかのソーシャルプラットフォームにも配信した。「ゴール」によると、ライブ配信中に4万2000人が視聴したが、オンデマンドで録画を視聴したユーザーはそれを上回り、計16万6000人に上ったという。「スタッズアップ」はまた、YouTubeでも12日から配信され、視聴回数は2日間で1000回を超えた。

ブランド資産への貢献を重視

ただし、「プレッシャーインデックス」を担当したマインドシェアのマネージングパートナー、ジェッド・ハラム氏によると、この半年間のFacebookによる計算ミスにより、視聴回数の多さにこだわる広告主の傾向はますます弱まっていることが明らかになったという。

「我々はエージェンシーとして、インプレッションの枠にとらわれず、インプレッションからどんなアクションを引き出せるのかを考えたい」と、ハラム氏は語る。マインドシェアは、Facebookライブ動画を使ったキャンペーンの成果を測定する場合、2つの要素をモニターする。ひとつは、動画にエンゲージしている視聴者が、ブランドがターゲットにしたい層と一致しているかどうか。もうひとつは、売上につながっているかどうかだ。「デジタルに短期間のパフォーマンスを求めるべきではない。我々が追求すべきは、どうすればブランド資産のようなものに貢献できるかということだ」と、ハラム氏は付け加えた。

マインドシェアはこの半年間、Facebookライブ動画でブランデッドコンテンツの実験を6回ほど実施した。その一部ではブランドと直接提携し、ほかはパブリッシャーと共同で実施した。「Facebookライブ動画のようなプラットフォームで最初に配信されるテレビ風コンテンツは、量が増えてきたおかげで、広告主にとってますます魅力的になっている」と、ハラム氏は指摘する。

日本でも実施する可能性あり

テレビ風フォーマットは、「ゴール」がいままでに制作したなかでもっとも野心的で、複数台のカメラと6人の番組担当プロデューサーがいる専用スタジオで撮影されている。このフォーマットはいずれ、英国から日本や欧州のようなサッカー熱が高いほかの市場へと広まる可能性がある。「我々はテレビ風フォーマットの規模を拡大できると確信している」と、ゴール・スタジオズの共同マネージングディレクターを務めるマーティン・ジョーンズ氏は語る。

「我々はいま、こうした確信を繰り返し強調できるようになっている。たぶんそれが、今回まで広告主からの投資を受け入れてこなかった理由だ。どうやったらコマーシャライズできるか、その感覚をつかみたかったのだ」と、ジョーンズ氏は語る。「スタッズアップ」での提携は、「ゴール」とシュアのあいだで結ばれているより広範な契約からもたらされたが、将来的にはこの手法でFacebookライブ動画をマネタイズすることを視野に入れている。

「我々がスポンサーおよびパートナーと連携し、ブランデッドコンテンツやセグメント動画を制作する可能性がある。そこでは新しいタイプの本物のブランド体験が実現するだろう」と、ジョーンズ氏は付け加えた。

Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)