Amazon 、新しいヘッダー入札ラッパーを限定テスト:「Unified Ad Marketplace」の魅力

Amazonは一部のパブリッシャーと、「ユニファイド・アド・マーケットプレイス(Unified Ad Marketplace:UAM)」というヘッダー入札ソリューションのテストを進めている。同製品に近い消息筋、3人から情報を得た。

UAMは、ほかのエクスチェンジやサプライサイドプラットフォーム(以下、SSP)が同じディスプレイ広告インベントリー(在庫)に同時に入札できるヘッダー入札コンテナ。現在、限定テストが行われているという。

アップネクサス(AppNexus)やルビコン・プロジェクト(The Rubicon Project)が採用しているオープンソースのヘッダー入札ソリューション「Prebid.js」との連携はないようだ。この記事のために話を聞いたパブリッシャー幹部2人によると、Prebid.jsのソリューションと一緒に使うパブリッシャーは、UAM用に別のラインアイテムを設定する必要がある。

米DIGIDAYは、AmazonによるUAMのパブリッシャー向け説明書を入手した。以下のキャプチャーを見れば、UAMが現在、招待制のプログラムであることがわかる。

UAMを使うべきなのは?
ブラウザで閲覧されるWebサイトを所有し、ディスプレイ広告のヘッダー入札でマネタイズしたいデジタルパブリッシャー。

対応地域は?
UAMを使えば、世界中のパブリッシャーが米国のトラフィックをマネタイズできる。

対応広告フォーマットは?
UAMはディスプレイ広告に対応。動画広告とネイティブアドには対応していない。

UAMを使う要件は?
Webサイトを所有し、Googleのアドサーバー「Doubleclick for Publishers(DFP)」を使っていること。UAM参加の招待状も必要。

UAMは、ほかのヘッダー入札ソリューションと一緒に使える?
使える。UAMはほかのヘッダー入札ソリューションと同時に機能する。UAMはほかのヘッダー入札ソリューションのなかに入れてはいけない。

インテグレーション

UAMを使う要件は?
Webサイトを所有し、Googleのアドサーバー「Doubleclick for Publishers(DFP)」を使っていること。UAM参加の招待状も必要。招待状がない人は、以下のフォームに入力してほしい。

アドサーバーの通貨は?
アドサーバーは、米ドルでオークションを実施するように設定しなければならない。

大きな付加価値

中規模パブリッシャーの幹部は、この11月からUAMのテストを開始したと語ってくれた。まだ新しいことから、UAMのパフォーマンスに関する情報は多くはないが、利点は多い、とこの幹部は語る。たとえば、「Amazon独自の広告需要」は大きな付加価値だ。Amazonには、ほかのSSPにはない、ユーザーのメール、クレジットカード、および買い物のデータがあり、すべてのデータポイントを結びつけて高度にターゲティングした広告を配信できる。さらに、この幹部によると、クラウドベースのUAMは入札要求への反応が迅速だ。また、大半のSSPが、インプレッション単価(CPM)によるパブリッシャーへの支払いが90日ごとなのに対し、Amazonは60日ごとだという。

「パブリッシャーなので、支払期間に関してSSPへの交渉力があまりない。そのため、SSPとの請求書の調整にAmazonが協力し、より早く払ってくれるのは素晴らしいことだ」とこの幹部は語る。「さらに、Amazonはデマンドが安全だ。UAMには、オープンエクスチェンジによくあるようなインバナー動画やモバイルのリダイレクトがない」。

Amazonは、UAMによってアドテク製品がまたひとつ加わり、Googleによるプログラマティック支配に対するより強力な脅威になる。サーバーサイドのヘッダー入札ツールを手がけるサーバービッド(ServerBid)によると、Amazonには、業界でもっとも人気のあるサーバー・ トゥ・サーバーのラッパーがすでにある。また、デマンドサイドプラットフォーム(DSP)事業もこの1年間でかなり大きくなった。UAMは、これまでGoogleが完全に支配してきた中小パブリッシャーのアドテクの市場に、Amazonが浸透する力になるだろう。

不十分なポイント

UAMの開発に詳しい消息筋によると、UAMが実施するのはファーストプライスオークションであり、Amazonはパブリッシャーにオークションレベルのデータを提供する。つまりパブリッシャーは、インベントリーで可能な最高額を確実に得られる。しかし、パブリッシャーからすると、これではまだ不十分なようだ。

先ほどの中規模パブリッシャーの幹部は、Amazonのレポートはごく基本的なもので、これはUAMの大きな短所だと考えている。「Amazon以外の入札データが入手できない。パブリッシャーは通常、SSPからレポートを入手し、データツールを使ってその情報を視覚化するが、UAMはレポートのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)を提供していない」と、この幹部はいう。

別の大手パブリッシャー幹部(同じくUAMについてオンレコでは語りたがらなかった)は、Amazonが提供するデータが「最小限度」であることに同意したうえで、AmazonはもうすぐUAMをセルフサービスにすると語った。

AmazonのUAMは、パブリッシャーの利用は無料だが、インプレッション販売料金の一部がAmazonに入る。米DIGIDAYはパブリッシャー向けのUAMの説明書を入手したが、そこには、「UAMには10%の取引手数料がかかる。この際には、ファーストプライスオークション実施前のSSPの入札価格から10%が差し引かれる」と書かれている。

中小パブリッシャー向け

もちろん、Amazonがヘッダー入札に進出するのは、UAMが初めてではない。Amazonは2016年12月に「Transparent Ad Marketplace(TAM)」というヘッダー入札ラッパーを導入した。UAMとTAMは機能が似ており、どちらもAmazon Publisher Services(APS)の一部だが、パブリッシャー幹部たちによると、TAMは、すでにAmazonを通じて連携しているエクスチェンジを管理したい大手パブリッシャー向けのサービスであるのに対して、UAMは主に、大手エクスチェンジと必ずしも提携していない、中小規模のパブリッシャー向けとして開発されているようだ。

「うちは(Amazonが)TAMを開くほど大きくないが、うちより小さいパブリッシャーであっても、TAMを使っているところがあるのは知っている」と、最初に登場したパブリッシャー幹部は語る。「だから(TAMは)、誰もが望む多くのアドテク連携とおそらく同じなのだろう。大事なのは誰を知っているかであり、規模だけの話ではないのだ」。

Yuyu Chen (原文 / 訳:ガリレオ)