「おばあちゃん」という人格を与えられた音声アシスタント:スイスのエージェンシーの試み

Google HomeやAmazon Echoなどのスマートスピーカーには、多数の機能が搭載されている。しかしあるエージェンシーは、未来の音声アシスタントに必須の要素が欠けていると考えている。それは「人格」だ。

スイスの制作会社ビーリール(B-Reel)は、スイス人のおばあちゃんの人格を備えたバーチャルアシスタントをデザインした。名前は「サンミ(Sammi)」、同社ロサンゼルスオフィスの壁に掛かった黄色と青の丸型デバイスだ。同社のルーツであるスイスに敬意を表し、ロボット風のスイス訛りでおばあちゃんのようにアドバイスをしてくれる。IBMのワトソン(Watson)の技術を利用したこのロボットのデザインモチーフは、振り子時計(grandfather clock)。市場に出回っている音声アシスタントは、主にジョークを言うときに人格のかけらを垣間見せるが、このロボットはそれとはひと味違う動作をする。

気分次第でおせっかいも

GoogleアシスタントやAlexaは、言葉を正しく認識させると、言われたとおりのことを実行する。しかしサンミは、いつでもそうしてくれるとは限らない。

「サンミは自分の気持ちをはっきりと表現する。本当のおばあちゃんのように、ときによって気分が変わることもある」とペッター・ウェストルンド氏は語った。同氏はビーリールのチーフ・クリエイティブオフィサーであり、サンミの生みの親だ。「面倒見がいいときもあれば、機嫌が悪いときも、やりたいようにやるときもある」。

たとえばカニエ・ウェストの曲をかけるように頼むと、サンミは(「お願い」の言葉を聞いたあとに)その通りにすることもあれば、自分が好きなスイスの民謡を再生することもある。ブリトーを注文するように頼むと、ヘルシーではないという理由で代わりにサラダを注文してしまうこともある。

人格を備えることの効用

さらにサンミは、自分の口に取り付けられたプリンターから、情報を出力することでコミュニケーションを行う。たとえば寒がっている人のために、紙片いっぱいに模様を出力することで、「手編みのマフラー」を作ってくれる。また同社では、会議室の予約、食事の注文、オフィスで流すBGMの変更などの雑務を、サンミに任せている。会議の時間や、毎週開催のハッピーアワーについても知らせてくれる。

 

ビーリールはまだ音声中心のキャンペーンに取り組んだことはないため、サンミは音声アシスタントの活用法のヒントになりそうだ。同社はバーチャルキャンペーンでは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)をよく使ってきた。その好例がゴリラズ(Gorillaz)のアルバム『Humanz』発売キャンペーンだ。ウェストルンド氏は、広告の未来は音声コミュニケーションにかかっているが、人はSiriやAlexaなどのありふれた音声アシスタントには飽きるのではないかと考えている。

「現在の音声アシスタントはとても退屈だ。多数の音声アシスタントが次々と市場に投入されているが、業界をけん引するにはもっとクリエイティブでなければならない。個性や人格をもっと与えると、こうした製品はより魅力的になり、人の生活環境のなかに受け入れられるようになるのではないか」とウェストルンド氏は語った。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:Conyac