広告需要が高まる「Periscope」、それを活かせないTwitter

ウォール街から失望を買い、精彩を欠くTwitter。だが、広告代理店の間で、密かに注目を浴びる同社関連サービスがある。ライブビデオ配信アプリ「Periscope(ペリスコープ)」だ。

各代理店では、ローンチから8カ月しか経ってない「Periscope」を利用した展開を強化している。インタラクティブで体感性があり、ユーザーの注目を即座に集められるからだ。

小売大手のターゲットやBMW、化粧品大手ベネフィットなどでは、販売プロモーションやオフィスの裏側紹介に利用している。その注目の高まりからすると「Periscope」は、Twitterの反攻の拠点になり得るかもしれない。

偶然がリアル感を生む

「ショーが規定のレールから外れたものになるかもしれないという期待感が、人を引きつけるのだ」と、アメリカの広告代理店ドイッチェ(Deutsch)のエグゼクティブバイスプレジデント兼デジタル戦略ディレクターを務めるザック・ギャラガー氏。

同社では外食大手タコ・ベル(Taco Bell)が行ったビスケットの無料配布サービスなどを発表する記者会見「ブレックファストディフェクターズデイ」で「Periscope」を利用した。「ライブ配信で予期せぬことが起きる。それがリアルなソーシャルカレンシーになる」。

しかし、Twitterの姿勢には一貫性がない。2015年10月に、ブランド各社やクライアント向けに、Twitterで実施できるビデオプロモーションを紹介する「#VideoNow」というイベントを開催したが、小規模で1回きりだったのだ。

一貫しない販売戦略

このため、Twitterは「Periscope」を独立したサービスとした見方をせず、Twitterが提供するビデオ機能の一部という低い位置づけをし、安売りをしていると代理店側では見ている。また、競合となる「Facebook Live」がサービスとして上向くなかで、「Periscope」はもっと自己PRするべきだとも考えている。

「Twitterのデッキに装着し、アイデアとして理想的なフィットを遂げているのに、社として誰も推奨していないというのが、広告代理店業界の理解といったところか」。そうギャラガー氏は残念がり、「なぜそうなのかを問い糾さねばならない」と続けた。

ソーシャルマーケティングを提供するウィー・アー・ソーシャル(We Are Social)のプレジデントを務めるロブ・フィッツジェラルド氏は、「Periscope」を利用した提案を求めるクライアントが増えていることに気づいた。彼らはイノベーションを求めているのだと見ている。

広告会社支援するも

また、ロンドンに本社を置く、国際的な代理店であるアイリス(Iris)のシニアストラテジストのエミリー・カナン氏は、ほかのプラットフォームが成長するに連れて失いつつある部分を保ち、一個人に対してアプローチできるのが「Periscope」だと指摘する。

しかし、デジタルエージェンシーの360iのソーシャルメディア担当バイスプレジデントであるマシュー・ウルスト氏は、Twitterの「Periscope」の販売方法が一貫していないと指摘する。

一方、Twitterは、クライアントと代理店に対し、それぞれに最適化した提案を行ってきたと主張。加えて、「Periscope」も360iがアイデアを立案するに当たり、360iのメディアチームやクリエイティブチームを隔週で現場サポートしたという。アイリスでもTwitterの担当者が使い方について説明を重ねてきたとしている。

広告代理店「売り込みなし」

だが、「Periscope」は、特定の広告代理店に淡泊である。ボストンに本社を置く広告代理店のマレンロー(MullenLowe)と、系列のメディア部門であるメディアハブ(Mediahub)は、ビルボードに「Periscope」でクルーズ船大手のロイヤル・カリビアンのストリーミング配信をする「カムシークライブ(ComeSeekLive:来て探してライブする)」というイノベーティブなキャンペーンを手がけた。

キャンペーン責任者のダスティン・ジョンソン氏によると、Twitter側からの売り込みはまったくなかったという。「プロモーテッドポストのようなTwitterベースでの定期的なインタラクション以外の展開では、広告主へのサポートは極めてわずかだった」。

これまでも、ほかの広告代理店と同じく、ライブデモやショーケースやランチミーティング、「数週間単位での」キャンペーンなど、さまざまな可能性について、「Periscope」側へ打診してきたとジョンソン氏。 ウィー・アー・ソーシャルのフィッツジェラルド氏も、代理店とブランドは、今後ますます「Periscope」を積極活用していきたいと考えているという。

1日に「40年分」視聴

皮肉にも、過去数カ月に渡り、Twitterはユーザー数増加が滞り、将来性に疑問符が付けられているとする複数の報道に苦しんできた。

CEOのジャック・ドーシー氏は、同社のさまざまな課題を列挙し、オーディエンスベースを拡大し、広告掲載のビジネスチャンス増大に取り組むとしていた。同社は、数字についてのコメントを拒否した。

ともあれ、「Periscope」は、状況を解決する大きな手立てのひとつになりうるかもしれないとされている。問題視されているTwitter本体の成長と比較すると、「Periscope」は非常に好ましく伸びているからだ。

開始1週間でのダウンロード数は100万に達した。4カ月後の8月にはアカウント数が1000万を達成。1日当たりの総視聴時間は40年分に相当する。また、巻き戻しや早送りやマップ機能も追加している。

宝の持ち腐れなのか?

小規模で1度切りのイベントに使うブランドが多い現状であるのは確かだ。ターゲットではファッションデザイナーのリリー・プリッツァー氏のコレクションのプロモーションに使った。

一方、フランスでは携帯電話事業者のオレンジ(Orange)が、テレビでのインタラクティブキャンペーンに利用。タコベルでも新しい朝食メニューの「記者会見」で用いた。また、ブランドやセレブが、ニューヨークファッションウィークでの宣伝方法に選んだ。

ジョンソン氏は、「Periscope」側に大々的なブランド参入への準備ができておらず、対策も執っていないので、慎重な取り組みをせずにはいられないと話している。ウルスト氏も同意見で「進化を遂げる時間が、依然として見えないままだ」と、総括した。

Shareen Pathak(原文 / 訳:南如水)
Image Coutesy of Periscope