日本の「プログラマティック広告の現状」が判る5つのグラフ:AdRollの調査レポート「SOPM」

プログラマティック後進国の汚名がようやく払拭されようとしている。

パフォーマンス広告テクノロジー企業のAdRoll株式会社は5月30日、デジタルマーケティング業界の現状を浮き彫りにする調査レポート「State of Performance Marketing(SOPM:パフォーマンスマーケティングの現状)」を公表した。2016年度内にグローバルでは2352人、日本国内だけでも200人のマーケターに対して実施された本調査。日本のマーケターにおけるプログラマティック広告に対する意識が、以前より大幅に前向きになっており、海外のマーケターとの意識の差が縮まっていることが判明した。

「広告主はデジタルマーケティングの運用において、自分で管理できる要素を増やしたいと考えている」と、そのニーズの変化について、AdRollの代理店リレーションマネージャー、小林圭介氏は解説する。「KGIに対して、さまざまなKPIを可視化し、その関連性を考察する。その考察に基づいて、運用上のトリガーとなる要素を改善することで、全体の最適化も可能だ」。

本記事では、AdRollの「SOPM」で浮き彫りにされた、日本のマーケターたちの意識変化を、同社の小林氏の解説とともに読み解く。

運用型に対する期待高まる

毎年、定点で実施されているAdRollの「SOPM」(昨年までの名称「State of the Industry:SOTI」を改定)。今回の調査では、81.5%のマーケターが、従来のメディア買い付けよりもプログラマティック広告の方が、投資収益率(ROI)が高くなると回答した。そのため、2017年にはプログラマティック予算を増やすというマーケターも71%存在するという。

また、日本のマーケターのほぼ100%が、プログラマティックにいくばくかの広告予算を費やしたと回答。2015年の「SOPM」調査における同じ設問では、「プログラマティック広告ではない/わからない」と回答したマーケターが74%もいたことを鑑みると、この1年の変化は実に劇的だ。

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このマーケターのプログラマティック広告に対する期待度の高さについて、小林氏は「プログラマティック広告では、性別や年齢などを示すデモグラフィックデータや、ネット上の行動履歴を示すインテントデータなどをかけ合わせて、よりターゲットに近い人物に広告を当てることが可能になった」と、解説する。「そのため、目に見える形で、効果を実感しやすくなったからだ」。

ちなみに、電通が2月に発表したレポート「2016年 日本の広告費」によると、昨年のインターネット広告媒体費1兆378億円のうち、運用型広告(プログラマティック広告)費は7383億円で全体の71%を占めた。同レポートにおいて、まだ歴史の浅い運用型広告費と、それ以外(予約型広告費[主に純広告]、成果報酬型広告費[主にアフィリエイト])の逆転が起きたのは2012年。以降、運用型広告はインターネット広告の成長の力強い牽引力となっている。

リターゲティング予算も増加

そんなプログラマティック広告において、もっとも成果が出ると見られているのがリターゲティング広告だ。今回の「SOPM」の調査でも、日本のマーケターの71%が2017年のリターゲティング広告予算を増加する予定だと回答している。

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しかも、そこに不思議な現象が生じている。本来であればリターゲティング広告とは、見込み客を購入者に変化させるもので、あくまで「購買ファネルの下の方」に活用するものだ。しかし、今回の「SOPM」で、リターゲティング広告の目的も質問したところ、34%のマーケターが「ブランド認知」と回答し、ダントツの1位となったという。

この現象に対して、小林氏は最近、「メディアミックスの施策が増えているから」と類推する。ある特定の期間、テレビCMなどのマス施策を実施し、それとともにプログラマティック広告を利用するマーケターも増えているという。「それで『リード獲得』『リード育成』を促すことで、ブランディングにつなげているマーケターもいる」。

いずれにしても、「さまざまなデータが連携され、広告を配信するユーザーを可視化できるようになったことで、プログラマティック広告のブランディング利用が増えてきた」と、小林氏。「『刈り取りだけ』というムードからの脱却は進んでいる。レポーティングの透明性やブランドセーフティに対する需要の高まりは、その証拠だ」。

しかし、リターゲティング広告のみを実施し、新規ユーザーの獲得が進まないことを問題視している広告主も存在している。これは、リターゲティング広告だけでは新規ユーザーの獲得が進まないことを認識せず、目先のラストクリックCPAのみを追いかけてしまうために生じる現象だ。大きな課題から来る、結果の表面化されたデータと捉えることもできる。

いまだモバイルは発展途上

また、「SOPM」調査によると、モバイルにおけるリターゲティング広告利用も劇的に増えている。2015年の調査では、「モバイルにおいてリターゲティング施策を実施しているか?」という設問に対して、肯定的な回答は32%だったが、今回は83%に激増した。いまやリターゲティングに限らず、デジタル広告の主戦場はモバイルなのだ。

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その一方、モバイルマーケティングについて、いまだ発展途上と捉えるマーケターは多い。「アトリビューション分析の透明度が低い(42.3%)」や「分析するツールがまだ充分でない(34.3%)」などに課題を感じているという。その原因について小林氏は、代理店と広告主のあいだに存在する、モバイル分野の知識の乖離を指摘する。「特にアプリに関しては、専門的な話も多く、知識の差が激しくなってしまう。代理店からすると、広告主にソーシャルとモバイルをいかに理解してもらうかが課題となる」。

とはいえ、確実に効果を見込める、モバイルリターゲティング広告。2017年度も予算を増加すると回答したマーケターは、78%に上るという。

さらに進化するメール施策

モバイルに比べて、メールマーケティングにはアナクロな印象もあるが、いまだ健在だ。というより、むしろ進化している。日本のマーケターの84%は、すでにメールマーケティングへパーソナライズされたダイナミックな仕組みを導入しているという。従来の一括送信は、すでに過去の遺物となりつつある。

「メールマガジンは、自分がその情報を欲しているために取得する。確かに各所から大量に送られてくることに不満を感じる消費者もいるだろう。だが、そのなかでパーソナライズさえされていれば、一転求められる情報になることにマーケターは気づいている」。

また、かつては、メールキャンペーンと広告キャンペーンなどを連携して実施することが難しかった。ところが現在では、さまざまなベンダーが存在し、それらのインテグレーションを支援してくれる。それが、今回の結果につながったと、小林氏は補足した。

なお、メールマーケティングにおいては、各地域における目的の違いが浮き彫りになった。その成功を測る指標として利用したのは、日本では「利益への影響」が35%で1位。しかし、アメリカやAPAC(日本を除く)では、それぞれ2位となっている。

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この結果から、日本のマーケターはいまだラストクリックにこだわっているという現状が浮かび上がる。とはいえ、アトリビューションという考え方は、日本のマーケターにも少しずつ浸透しつつあるようだ。

アトリビューションの重要性

2015年の調査結果では、アトリビューションに対して「不可欠/重要」「ある程度重要」と回答した日本のマーケターは、39%しかいなかった。しかし、2016年の最新調査では、ほぼ全員に近い、97%が「不可欠/重要」「ある程度重要」と回答している。

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管理・可視化できる広告にシフトしたことで、マーケターはクリックコンバージョンだけでは満足しなくなったと、小林氏は指摘する。そのため、個々の施策の貢献度を測定する予算の増加につながっているという。

「最後だけを気にすればいい時代ではなくなった。釣り堀で魚釣りするとき、いくら良い釣り竿を使っても、魚がいなければ一緒。それよりもまず、魚を増やすためには水質を変えれば良いのか、エサを変えればいいのか、釣れる魚を増やす施策を考えなければ意味がない」。

State of Performance Marketing(SOPM:パフォーマンスマーケティングの現状)」では、AdRoll日本支社社長 香村竜一郎氏のインサイトも掲載されている。リンク先にて、さらなる詳細をご自身の目で確かめてもらいたい。

 

Keisuke_profilepic (1)▼小林圭介
AdRoll株式会社
代理店リレーションマネージャー

 

インターネット広告代理店にて運用型広告のチームリードに従事し、その後コンサルティング会社を経て、AdRoll株式会社へ入社。運用型広告の黎明期から運用・提案・実働に携わり、アドテクノロジーの活用に関するコンサルタントとして活動してきた。AdRollでは主に代理店と組んで広告主の課題を解決する、リレーションマネージャーとして活動。

 

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Written by 広告制作チーム
Image by GettyImage