「成功するデジタル施策には、『連携力』が欠かせない」:AdRoll 小林圭介氏

どの企業においても、戦略的マーケターの最大の関心事は売上の増加だろう。

デジタルマーケティングにおいて、それを達成するには、組織を横断した俯瞰の視点が求められる。だが、その考え方が浸透しきるには、まだしばらく時間が必要そうだ。

「ラストクリックコンバージョンにとらわれるあまり、なかなか新規獲得できないことを悩むマーケターは多い」と、グローバルでフルファネルソリューションを展開するアドテク企業AdRollで、代理店リレーションマネージャーを務める小林圭介氏は語る。「そこでカギとなるのは、やはり『連携力』だ」。

広告主、広告会社、媒体の3者の立場に精通するという小林氏。そんな同氏に、デジタルマーケティングを成功に導くための組織作りや「連携力」とは何かを聞いた。

◆ ◆ ◆

――マーケターのデジタル意識も、ずいぶん向上してきましたね。

そうですね。たとえば、アトリビューションという言葉は、もうずいぶん前から存在しているのですが、ここのところさらに注目されているようです。AdRollが5月30日に公表した調査レポート「State of Performance Marketing(SOPM:パフォーマンスマーケティングの現状)」でも、アトリビューションの重要性が高まっている現状が浮かび上がりました。

そんななか、最近よく、ラストクリックCPA(Cost Per Action)を重視するあまり、CV(Conversion)が伸びない、ビジネスが大きくならないというお問い合せをいただくことがあります。我々は、インプレッションの「質」を重視し、インプレッションの間接効果を加味したうえで、ビジネスを大きくさせる提案を行うことが多いのですが、こうした取り組みを通じて、広告主と広告会社、媒体の3者において、うまくいくケースと、そうでないケースがあることがわかってきました。

――広告主、広告会社、媒体、それぞれの問題点とは?

AdRollに属する私は現在、媒体側の存在です。以前は広告会社にいました。広告主側での常駐経験もあります。それぞれの立場を見てきたなかで、問題点として感じることは、まずは「データの分断」です。広告主の立場においてだと、データが部門間で分断され、連携されていないケース。なのに「とりあえずリードが取れればいい」と、獲得後のユーザーのことを考慮していない状況です。

これは広告主自身のためになりません。しかし、広告会社もそうした状況を強く是正できずに、なんとなくリード獲得施策のみが進んでしまうのです。

それ以外にも、デジタルに慣れていないチームだと、テストでリード獲得施策を行うときに期間や獲得単価について、あらかじめ制限を設けたはずなのに、その方針がぶれてしまうケースもあります。たとえば、獲得単価の上限を2万円に設定したのに、途中の1万5000円くらいで、我慢しきれなくなって、施策をやめてしまうような形ですね。

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――それは指標の設定に問題があるということでしょうか?

決めた指標に対して、結果が伴わないときに「ここは踏ん張りどころだ」と納得していただけるデータや材料というのを、我々媒体側が示せていないのが問題なのでしょう。

これについては、ビューアビリティやアトリビューションといった間接効果が可視化できる指標がだいぶ整備されてきました。それらをクライアントのビジネスに直結するような施策の手法に根拠づけていくことが、媒体や広告会社の今後の課題となってきます。

そこでカギとなるのは、やはり「連携力」です。部門間、または広告会社、媒体などのパートナーとの連携力が強いチームが、デジタルマーケティングでも勝ち残っていけると思います。

――なるほど。では、成功するチームの条件とは?

具体的な事例としては、ある金融会社の話が上げられます。そこでは、かつてカードローンの「申込み」をCVに設定し、CV獲得単価をKPI(Key Performance Indicator)に設定していました。しかし、発生したCVが、実際に確定しているか(承認されているか)については、部署が違うなどの問題で、なかなか追跡できない状況に陥っていたのです。

我々は、広告主、広告会社と3者でミーティングの場を持ち、「ラストクリックだけを追いかけるのではなく、承認率を高めていくことが大事」という認識を共有することができました。そこで、広告会社と連携して承認率を高める施策を検討・実施したところ、広告の表示についても間接効果を確認できたのです。

それにより、ラストクリックCVではなく、ビュースルーCVに特化した方が良いのではないかという仮説が生まれ、当初はラストクリックCVの獲得単価だけが重視されていたのが、承認率を上げるため、ビューもクリックも追いかけていくという運用に変わっていったのです。

このような組織改善にあたって重要なポイントは、人のアサインでしょう。広告主側が、広告会社、媒体に通じた人をアサインできるか、そして、きちんと指標を定義して、長期スパンで見ていくことができるかが大事です。そのためには、広告会社や媒体が、きちんと広告主に納得していただけるファクトを示していくことも必要ですね。

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――AdRollは、そういうシーンでも力になりそうですね。

ええ。AdRollには大きくふたつの使い方があります。ダイレクトレスポンスを得るためのリターゲティング機能と、リードジェネレーションのためのオーディエンス拡張機能です。

リターゲティングにおいては、個々のユーザーの閲覧パターンをもとに、動的にパーソナライズされた広告を配信できる「ダイナミッククリエイティブ」。そして、サイト訪問者の閲覧行動をもとに、パーソナライズされた広告メールを送信したり、ECサイトなどでユーザーに「カート落ち」したことをリマインドメールで通知できる「AdRoll Email」というプロダクトがあります。これらは、ラストクリックにフォーカスし、通常のリタゲ広告よりも、CPA、CV率の効率を高めることができます。

オーディエンス拡張については「AdRoll Prospecting」があります。我々は、世界最大規模となる12億以上のオーディエンスデータを格納したデータプールを保有しており、CVしたオーディエンスと同じような行動・嗜好をもつ新規ユーザーにアプローチできます。これらを組み合わせることで、フルファネルで顧客総数を増やしていくことができるのです。

――どういう業種、業態で導入が進んでいますか?

特に好評を得ているのは金融業界です。そのほかには、マーケティングファネル全般をカバーする意味で、購入単価が高く、検討期間の長いBtoB系商材に強みを発揮します。

BtoBビジネスですと、資料請求や問い合わせ、ホワイトペーパーダウンロードなどによるメールアドレス収集がスタートとなりますが、獲得したリードに対して「AdRoll Email」を使う場合もありますし、外部のMAツールと連携して、広告を出し分けることも可能です。「AdRoll Email」の場合は、サイト訪問から1日後にはステップメールを出すことができます。瞬発的な掘り起こしから長期的な育成まで、目的に応じて細かく配信できます。

我々は短期的な成果だけを重視するのではなく、適度な期間に、適切にコンタクトしていくことを重視しています。極端なところだと、たとえば、通常の検討期間が20日間くらいのところを、100日間くらいまで見ていき、最終的にコンバージョンに至った事例もあります。

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――アトリビューション分析における、AdRollの強みは?

お客様からも「アトリビューション分析をやりたい」という問い合わせを多くいただいています。ただ、アトリビューションそのものは目的とはなり得ません。大事なのはアトリビューションで「何がしたいのか」という部分です。

我々は、自社運用のノウハウも豊富ですので、アトリビューションの目的・評価方法の設計を、お客様と一緒に決めることが可能です。たとえば、ブランディング目的で新規ユーザーに広告配信したときに、低いCPC単価で新規ユーザーを連れて来ても、そのほとんどは直帰ユーザーだったことがありました。

我々は、単なる新規ユーザーだけでなく、より広告主のサイトに興味を持ってくれたことを判定できるエンゲージドビジターを可視化できます。エンゲージドビジター単価がわかれば、より「質の高い」ユーザーの獲得単価が可視化できます。これらは、AdRollのコンソール画面で閲覧できます。

CTRとエンゲージドビジター単価の両方を見ることで、たとえばエンゲージド単価が高ければ、ランディングページは良いが、広告が良くないかもしれないという仮説が立ち、広告のクリエイティブを差し替える施策を行うことが可能になります。

――あらためて、今後のデジタルに期待することは?

個人的に、広告主のデジタルを介したビジネスをさらに大きくしたいという思いがあります。私がAdRollに入社した理由のひとつが、「ラストクリックにばかり特化した結果、新規獲得ができない」というジレンマを払拭したいという思いです。つまり、そうしたデジタルマーケティングに関する課題を解決する方向性や信念をもっているのがAdRollだと信じています。

もちろん、ラストクリックCVを追っていくことは重要です。しかし、Web全体でビジネスを大きくしていくためには、ラストクリック以外の、ビュースルー、媒体CV、あるいはリアル店舗からのCVまでも踏まえたうえで、あらゆる接点を最適化していく必要があります。

ですから、まずはWeb全体のCVを上げていき、その先にあるリアルでのCVを上げていく施策までを推進していきたいです。そのためには、データ連携がカギ。どうやってデータ連携を進めるか、広告主と広告会社とのあいだで考えていきたいと思います。

――ところで、なぜTOP画像で寝転がっているのですか?

一見意味のなさそうなことでも、「普通」じゃないと、理由を知りたくなりませんか? いままで、当たり前と思ってきた鉄板指標を変えて、次の航海に出てみる。真剣だけど楽しく。それを体現してみました。

――なるほど……

 

digiday2017_1264_fin▼小林圭介
AdRoll株式会社 代理店リレーションマネージャー  

 

インターネット広告代理店にて運用型広告のチームリードに従事し、その後コンサルティング会社を経て、AdRoll株式会社へ入社。運用型広告の黎明期から運用・提案・実働に携わり、アドテクノロジーの活用に関するコンサルタントとして活動してきた。AdRollでは主に代理店と組んで広告主の課題を解決する、リレーションマネージャーとして活動。

 

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Written by 阿部欽一
Photo by 渡部幸和