2016年に判明した、OTTビジネス 5つの重要動向

現在、ニュース見だしは、Facebookが大半を押さえているかもしれないが、ソーシャルプラットフォームの外側に存在するストリーミング動画ビジネス、すなわちOTT(オーバーザトップ)ビジネスも重要性が増してきた。大手や小規模な配信業者が増え、コンテンツと選択肢は市場にあふれている。

これは消費者にとって、素晴らしいことであるのは間違いない。しかし、消費者の注目とサブスクリプション料を争っている業界各社からすると、信じられないくらい不安定な時代だ。この記事では、市場の成熟が進み、競争が激化した2016年に判明した、ストリーミング動画ビジネスの重要動向を5つ紹介する。

1. 「ビッグ4」支配が続く

大衆レベルでは、ストリーミング動画といえばNetflix(ネットフリックス)、 Amazon、Hulu(フールー)、YouTubeの4つだ。調査会社であるeマーケター(eMarketer)のデータによると、これらが米国におけるストリーミング動画視聴の4大プラットフォームということになる。トップは、OTT動画視聴者の95%が利用するYouTubeで、60%のNetflix、36%のAmazon、31.4%のHuluと続く。

この4つが、ほかを圧倒している理由は単純だ。考えられる、あらゆる視聴者に対応できるコンテンツを備えた、大衆向けのエンターテインメントプラットフォームだからだ。

Netflix、Amazon、およびHuluは、ライブラリーは変化するものの、現在放送されているテレビ番組のほぼすべてと、それよりずっとたくさんの過去何年間かのテレビ番組を提供している。そしてYouTubeは、あらゆるコンテンツを一カ所に取り揃えた最大プラットフォームだ。テレビ番組や映画作品(レンタル形式もあるし、YouTube Redのオリジナルコンテンツもある)だけでなく、映画スタジオやテレビネットワークが配信する短い動画など、あらゆるコンテンツが揃っている。

2015年から2020年までのOTTサービスプロバイダーとユーザーの推移予測

上から、OTTユーザーの推移、OTTユーザーの成長率、各OTTサービスのユーザーへの浸透率を表している。

上から、OTTユーザーの推移、OTTユーザーの成長率、各OTTサービスのユーザーへの浸透率

2. 新規参入は困難

ビッグ4の支配によって、大衆向けエンターテインメントストリーミング市場への新規参入は、不可能ではないとはいえ、途方もなく難しくなっている。

たとえば、ベライゾン(Verizon)のゴー90(Go90)は、デジタル動画クリエイターが作る短い番組やクリップから、テレビ番組やスポーツ中継まで、あらゆるものを入手することで、この市場への参入をもくろんだ。ゴー90には何億ドルもの資金が投じられたが、運営開始後1年経ってもまだ、消費者にインパクトをまったく与えられていない

大きな話題になった、ジェイソン・キラール氏による動画スタートアップのベッセル(Vessel)も、YouTubeのプレミアム版になろうとしたがうまくいかず。結局、ベライゾンに買収され閉鎖された。

調査会社ピボータル(Pivotal)のシニアアナリスト、ブライアン・ウィーザー氏は、「新参者として競争力で勝るために、かなりのスケールが必要なビジネスは、資本のもっともよい使い道ではない」と語る。

3. 従来のネットワークも参入

従来のテレビネットワークから、ストリーミングサービスのサブスクリプションが出てきた。

たとえば、CBSのテレビ番組放送と、(最近では)NFLの試合を提供するCBSオールアクセス(CBS All-Access)は、有料サブスクリプションの契約数が120万件を超えた。HBOナウ(HBO Now)は、サブスクリプション契約数が約100万件で推移しており、ショータイム(Showtime)の単独サブスクリプション契約も同程度だという。

いずれも、世界のサブスクリプション契約数が920万件あるNetflixには遠くおよばないが、こうしたテレビネットワークはそれでかまわない。収益の大半はまだテレビだからだ。彼らはこうしたデジタルサービスで、ケーブルテレビを解約した視聴者や、そもそもテレビに課金したことのない視聴者にリーチすることができる。

4. 有料ビジネスは競争が激化

有料テレビはかねてより、独占的な企業が牽引していることが批判されてきた。契約したいケーブルテレビや衛星放送の選択肢は多いに越したことはない。それが、インターネットを使ったテレビサービスの登場で変わりはじめている。

ディッシュネットワーク(Dish Network)が、2015年に「Sling TV」をローンチし、数カ月後にソニーの「プレイステーションビュー(PlayStation Vue)」が続いた。2016年はじめには、AT&Tが「ディレクTVナウ(DirecTV Now)」で、デジタル有料テレビに参入し、100チャンネルでさまざまな価格設定を提供している。2017年にはHuluが独自のインターネット生配信のテレビサービスをローンチするし、YouTubeも独自に取り組んでいる。

消費者はいきなり、たくさんの選択肢を手にすることになる。メディアに関して助言するクリエイティービー・メディア(Creatv Media)の創業者、ピーター・セイシー氏は、「こうしたバーチャル企業(有料テレビ配信者)により、『テレビプロバイダー』の選択肢は少なくとも倍増するだろう。これは消費者にとっては素晴らしいことだが、レガシー(従来の有料テレビ企業)としてはそうはいかない」と語る。

「しかし悪いばかりではない。そんな会社もあらゆるコンテンツを流すブロードバンドの経路を提供しており、それが、マージンの大きいますますもうかるビジネスになってきている」。

5. Amazonには要注意

Amazonは、Facebookなどのほかの多くのプラットフォームができていない、動画パブリッシャーに収益を生み出すということを、(比較的)静かに実行している。Amazonの「チャンネル(Channels)」プログラムを通してサブスクリプションサービスを配信するパブリッシャーや、Amazonの「ビデオダイレクト(Video Direct)」プログラムを通じて直接コンテンツを配信するパブリッシャーに、お金が入りはじめているのだ。

2016年はじめの段階で、Amazonを通してストリーミングサービスを配信する複数のパブリッシャーが、全サブスクリプション契約の30~40%をAmazonが占めていると証言している。

「Amazonのプライムビデオは巨大な存在だ」と、動画パブリッシャーであるモータートレンド(Motor Trend)の親会社、TENのCMOを務めるジョナサン・アナスタス氏は米DIGIDAYに認めている。「あまりに重要なエコシステムであり、もはや避けては通れない」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by Thinkstock / GettyImage