2016年、ターゲティング広告はどうなる? 〜主要プレイヤーの動向から予測

「気持ち悪い」広告の典型例は、いまや古風な趣のようなものまで感じられる。たとえば、とある靴のページを1回ブラウズすると、訪問する先々のサイトで、その靴サイトのバナーが表示されるのだ。

ターゲティング広告は2016年、GoogleやFacebookといったプラットフォームが吸い取る大量のデータのおかげで、さらなる洗練が進むだろう。ターゲティングをどこまで進めるのかという問題は、業界が2016年に直面する最重要課題のひとつになるはずだ。2015年には、アドブロックが重要な課題だという議論があったが、広告に対抗するソフトウェアの興隆は、プライバシーと深くかかわってくる。

広告世界2位オムニコム系のエージェンシー、トライバル・ワールドワイド(Tribal Worldwide)で北米業務担当プレジデントを務めるリチャード・ゲスト氏は、「顧客のリアクションと期待に基づいて広告主がやるべきことと、実際にできることには、微妙な違いがある」と語っている。

高度にパーソナライズされた戦術

高度にパーソナライズされた戦術が、広告主にとって魅力的なのは変わらない。Facebookでは、年齢や家族構成や財力がさまざまなオーディエンス1000人に対し、高度なターゲティングを行い、1000通りの広告を作ることができる。

広告主は、順序立てたメッセージをクロスデバイスに展開することが可能で、これにより広告を、位置に基づいた精密誘導のマーケティングミサイルに変えることができるのだ。広告は、Facebook、Web、モバイルデバイス、クレジットカード履歴、店舗での購入など、あらゆるところで収集されたデータに基づいたものになる。

またPinterest(ピンタレスト)では、生後6カ月、1歳児、2歳児、幼児、あるいはティーンの母親に対するターゲティングができるという。Pinterestと関係が深いデジタルエージェンシー幹部は、「新しい母親と、生後6カ月の赤ん坊の母親、そして1歳児の母親とでは、購買傾向が大きく異なる。ブランドにとっては、ビジネス的判断に役立つ定性的アウトプットを促進するためにできることは膨大にある」と語る。

Google、Snapchatも時間の問題

そしてGoogleだ。ターゲット広告の新しい手法を各種そろえた検索大手のGoogleにはおそらく、これまでにオンラインで探されたすべてに関する最良の履歴情報がある。

マーケティング技術に携わる非常に多くの関係者が、Googleは「検索をターゲット広告にもっと活用するべきだ」というプレシャーの高まりに降参せざるを得なくなるかもしれないとしている。それは、過去にはほとんど想像もできなかったことだ。

データの消滅を前提に作られたSnapchat(スナップチャット)までもが、現在広告事業を構築している。同社は最初、広告を敬遠していたが、その後、ターゲティングを用いない広範囲のキャンペーンには同意した。多くの広告主は、Snapchatが成長のために、特定オーディエンスへの広告カスタマイズのより進んだ方式を導入するのは時間の問題だと見ている。

あるデジタルメディアの購買担当幹部は、「いずれ水門を開き、開店を告げることが必要になるだろう。Google、Yahoo!、Facebookがそうだった」と語る。

アドブロックとプライバシー

いっぽう、アドブロッカーの興隆により、「いい」広告という課題が注目を集めている。広告業界は長い間、「個人を特定できる情報」はターゲティングに用いないという恣意的な一文と、自己規制に依存してきた。

そんななか、デジタル広告アライアンス(DAA)は11月、クロスデバイストラッキングをオプトアウトできる仕組みをはじめて開発した。顧客はこれを使うと、ほかのデバイスで収集された行動に関するデータに基づいた広告を、コンピューターやスマートフォンで受け取るのを停止できる。

DAAには、行動トラッキングにおけるオプトアウトのためのWebサイトも用意されている。これらは、広告業界外部の監視役や政府によるさらなる監視の阻止を意図したものだ。

もちろん、自己規制だけでは、広告主とインターネット企業に、こうした圧力をいっさい寄せ付けないのは難しい。Facebookは2015年、保存しているユーザーと非ユーザーに関するデータの種類をめぐって、ヨーロッパ規制当局による強い圧力に直面した。

実際に気にする人は多くはない?

ベライゾンは2015年にAOLを買収し、現在この地球上でもっとも強力なデータに基づく広告プラットフォームのひとつを構築しつつある。AOLのアドテクノロジーとベライゾンの顧客データが一緒になるわけだ。膨大な数の世帯と、その世帯への請求情報が、彼らのメディアでの振る舞い、そして、デバイスのIDと組み合わされることになる。

ただし、プロのプライバシー擁護派を除けば、実際に気にする人は多くはないと、広告業界は踏んでいる。

Garett Sloane(原文 / 訳:ガリレオ)
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