マーケター必読! ミレニアル世代の高所得者「ヘンリー」5つの実態

まず「ヤッピー」(若い都会派プロフェッショナル)が現れ、続いて「ディンクス」(子どものいない共働き夫婦)」が出現した。そして今度は、経済的にゆとりがある1980年から2000年までに生まれたミレニアル世代の「ヘンリー」(Henry:high earning not rich yet=まだ富裕層とはいえない高所得者)の登場だ。

アメリカ合衆国国勢調査局によると、ミレニアル世代は1982〜2000年に生まれた若年層で8310万人。このうち44.2%が非白人の少数派となり、ヒスパニック系がこの少数派の半数にあたる50.2%を占める。

大半のミレニアル世代は、まだ購買力のピークに達していないかもしれないが、この世代の「ヘンリー」は、経済に対する影響力が大きいサブグループとして浮上してきた。金融大手ゴールドマン・サックスの最近の調査によると、ミレニアル世代の世帯はすでに、1兆ドル(約120兆円)相当以上の金融資産を管理しているようだ。

ミレニアル世代の「ヘンリー」について知っておくべきことを、すべて挙げていく。

1.「ヘンリー」がミレニアル世代で増えている

「ヘンリー」という用語は新しいものではない。2003年に『フォーチュン』誌が、年間世帯所得が10万~25万ドル(約1200万〜3000万円)でもうすぐ富裕層入りしそうな高所得者を分類するために、初めて使用したマーケティング用語だ。ヘンリーは世代の枠を超えて存在するが、ミレニアル世代でその数が増える傾向にある。

2.体験、実家暮らし、つながりを重視

エージェンシーであるディープ・フォーカス(Deep Focus)で最高マーケティング責任者(CMO)を務めるジェイミー・グートフロイント氏によると、旧世代のヘンリーはマイホームやマイカーなどに憧れていたかもしれないが、ミレニアル世代におけるヘンリーは「体験」を追求するという。

グートフロイント氏はこう指摘する。「X世代(日本の団塊ジュニア世代)は、実家に戻ることは社会的に許されないと考えていた。一方、ミレニアル世代は、実家に戻ることを蔑視していない。実家暮らしのおかげで、財産を蓄えてきた者も少なくないのだ。彼らに共通するのは、より良いライフスタイルや旅行のように、生活を豊かにする体験に対する欲求である」。

ゴールドマン・サックスのグローバル投資調査部門のバイス・プレジデント、リンゼー・ドラッカー・マン氏は「この世代は、『つながり』のなかで成長した人たちだ。そのため企業はいままでにないやり方で消費者とつながる必要がある」と指摘する。

3.ブランドはミレニアル世代のヘンリーたちに注目するべき

アメリカのミレニアル世代は、大不況の最中に成人し、景気が徐々に回復していた頃に就職した。米商工会議所による最新報告では、ミレニアル世代の直接的な購買力は年約2000億ドル(約32兆円)で、間接的な購買力は年5000億ドル(約60兆円)になるという。間接的な購買力とは、ミレニアル世代が親の支出に対してもつ影響力によるもの。ミレニアル世代の親は、その大部分がベビーブーム世代だ。

「旧世代の長い歴史を考えれば、出現することは予測できたはずなのに、なぜブランドがこうした層を無視してきたのかわからない」。エージェンシーのヒュージ(Huge)の調査担当責任者であるヤショーダ・サンパス氏は語る。

4.高級ブランドとZARAは同列にみる

ミレニアル世代のヘンリーたちは、品質や職人技、本物であることを求める。必ずしもブランド物を求めているわけではない。「マイケル・コース」や「コーチ」のような、日用品化が進んできた手頃な価格の高級ブランドにとって、これは良いニュースとはいえない。

「特に高級小売店は、アプローチを見直す必要がある」と述べるのは、レッド・ピーク・ブランディング(Red Peak Branding)の1部門であるレッド・ピーク・ユース(Red Peak Youth)の戦略担当ディレクター、ミーガン・ハートマン氏だ。「高級ブランドを買う余裕があるミレニアル世代の富裕層ですら、迅速に流行に対応する『ZARA』や『トップショップ』のようなブランドに影響されている。ヘンリーたちは、高級ブランド品を買うのと同じくらい意欲的に、ZARAでショッピングをするだろう。彼らの態度は変わらないのだ」。

5.資産管理を会社に投げるのは好まない

ゴールドマン・サックスのレポートによると、この分野によく対応しているブランドは、ウェルスフロント(Wealthfront)やベターメント(Betterment)のような資産管理会社だ。この2社は最大手のロボアドバイザー(コンピューターによる資産運用支援)会社で、資産管理をさらに容易にする技術を武器に、ミレニアル世代のヘンリーたちを惹きつけている。証券会社チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)や投資会社バンガード(Vanguard)のような大手企業は、すばやく行動して彼らの忠誠心を勝ち取る必要がある。

ハートマン氏はこう指摘している。「ミレニアル世代は、高所得者であっても、家計管理をしたがる。資金管理に役立つツールを提供し、その際に情報をくれる銀行なら、生涯にわたって彼らの忠誠心を勝ち取ることができるだろう」。

Tanya Dua(原文 / 訳:ガリレオ)※[日本版]編集部で一部加筆した。
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